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話を「聴く」試験

あまり一般の方には知られていないのですが、
今や国家資格となったキャリアコンサルタント試験では、
学科試験や論述試験の他に、相談者役の方を相手に、話を傾聴して訴えを捉える実技試験があります。
15分間なので導入部分ではありますが、実際に話を聴くことを試験で評価している国家資格はとても珍しいですね。

そこで試験のためにロールプレイという形で傾聴練習を重ねるのですが、試験となれば、多くの試験対策が林立するのが現実で、いろんな映像や対策本・対策講座があふれています。
実務と試験は別!と言い切って、現場では使えないであろうパターンを、あたかも「試験対策」として指導している話が耳に入ってくることもあります。

初めて会う方の話を聴く傾聴の練習なのに、
「この質問をしたら」「このかかわりをしたら」合格する!と言われ、
試験であるがために、何とか受かるために!と取り入れたり練習したり。
試験となると合否が出るので必然だとは思いますが、
私としてはモヤモヤします。

そしていろんな指摘やフィードバックを受け、「じゃあ、どうしたらいいの??」と迷走している方に出会うこともよくあります。

どうしてこんなことになっているの?と考えると、
面談には正解がないのに正解を追い求めたり、正解と決めてパターン(行動)を覚えようとするからではないかと思います。

何をするかという行動を取り上げると、相手やその場に応じた無限のパターンを覚えて使いこなさないといけません。
相手に応じて対応を変える必要もありますし、その瞬間によって何が効果的かが変わります。使いこなすのは大変…。
そして指摘やフィードバックを受けるたびに、違う点を「できていない!」と言われ、迷走するという流れでしょうか。

本当は、どう相手と向き合うか(態度や姿勢)を大切にして、その瞬間ごとに判断してかかわることが、実務にも活かせる傾聴力になります。

でも、結局難しくややこしい。
だから、手っ取り早く「誰にでも」「いつでも」役に立つ(かもしれない)コツを学ぶ…。

一見楽そうですが、
相談者の役に立つために、思いを持って学び始めた方も多いだけに、
相談相手をパターンにはめ込んだり、自分のパターンを練習したりするのは、もったいないな…と思います。

もし自分が相談者だったら、大切に自分と向き合って欲しいですし、
人と向き合うかかわりに、ショートカットはそぐわないかな、と。

難しいけれど、キャリア支援をする方が自分らしく話を聴けることが、
結果として相談される方の力になると信じ、
私も微力ながら、サポートを続けたいと思います。

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