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働き方改革再考① 「業務プロセス見える化~学校BPR⁉︎~」という打ち手

H29夏に文部科学省が、働き方改革の緊急提言を発出。
当時、そこに指示された内容が文字通り進んだらという淡い期待を感じながら、その緊急提言を読み、できる限り実行してみたいと思った。

ちょうど学校長として、中核市の小学校を預かるようになって1年目の夏のこと。
働き方改革、もっと根源的には、豊かな働き方が自分の人生の中で、ライフワークのような大きなテーマだったこともあり、提言にあった「教員が授業や授業準備等に集中し,教員が健康でいきいきとやりがいをもって勤務でき,教育の質を高められる環境を構築することが必要である。」というフレーズは至極もっともに感じられた。

【緊急提言】
1.校長及び教育委員会は学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること
2.全ての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取組を強く推進していくこと
3.国として持続可能な勤務環境整備のための支援を充実させること
H29.8学校における働き方改革に係る緊急提言

という3点が、緊急提言に掲げられていた。

『教職員の長時間勤務の看過できない実態の改善に向けて「今できることは直ちに行う」という認識を教育に携わる全ての関係者が共有するとともに,必ず解決するという強い意識を持って,それぞれの立場から取組を実行し,教職員がその効果を確実に実感できるようにするため,今回,以下のとおり緊急提言をまとめたものである。』
H29.8学校における働き方改革に係る研究提言

とも記されていた。

「今できることは直ちに行う」ということから、まずは、
1.「勤務時間」を意識した働き方を進めるという提言を受け、エクセルのシートを自作して、学校在校時間等の掌握に努めるように取り組んでみた。

行政も文科省の提言を受けて、いずれそうした歩みを進めることも指向されていることは承知していたが、「今できることは直ちに行う」とした姿勢を持ちたく思って、行政の了解も得て、学校独自で在校時間等の掌握に努めたことが懐かしい。

また、放課後際限なく寄せられる電話対応にも18:00以降の電話連絡は控えてほしいというお願いも保護者に向けて学校だよりを通じて、お願いをしてみたりもした。その後、学校の在校時間管理システムも留守番電話機能も学校現場に導入され、一定の改善が図られた。

しかしながら、その後の学校現場は、こうした取り組みだけでは解決しえない問題(教員不足等による欠員問題)が加わり過労死ラインを超える人も溢れる異常な状況が続いている。

留守番電話機能は、設定した時間以降に電話を受けることがなくなり、落ち着いてその後の時間を業務に専念する時間を生み出すことにはつながった。(とはいえ、多くの学校では終業時間にあわせるどころか18:00以降な度という設定になっている場合が多い。)

実際に学校在校時間等を管理することで、それなりの実態を把握できるようになったもののそのデータをもとに新しい打ち手がなされたような話は殆ど耳にしない。

簡単に言ってしまえば、データを取るだけで、そこから先の分析や打ち手を考える判断には、結び付いていない。さらに、そこで過労死ラインを超えるようなことがあってはならないという意識が働き、教委からの指導等を恐れて、現場の実態を隠蔽、あるいは改竄するような実態もみられるということも耳にする。

学校や働く教職員を守るためにもそのようなことがあってはならないと思う。また、在校時間を掌握するデータにアクセスするのは。おそらく教委の担当や管理職に限られており、余程、積極的な姿勢にならない限り、そのデータから見えてくることを踏まえて何らかの手を打つということもなされないと思う。

ましてや、労働基準法が適用される面があるとはいえ、公立の学校は労働基準監督署の監督下にないために労基署が入ることがないために、民間企業が、労基署の立ち入り調査、尋問、さらには逮捕権の行使を恐れ、労働基準法を順守する力学が働くようなことが学校現場では、全く見られない。(※1)ここに、大きな問題点が存しているとも言える。

※1 私立学校は、そもそも労働基準監督署の管理下でした。国立大学附属小中学校に勤務する教員は、教育公務員として給特法を適用していましたが、法人化以降は、労基法の適用を受け、是正勧告がなされ「時間外手当て」が支給されています。
給特法が外れ、「勤務時間管理に馴染まない」とされていた教育現場でも時間外勤務の概念が適用されています。公立学校だけが、いまだに労働基準監督署の管轄外となっています。

加えていえば、文科省も定期的に勤務実態調査なる調査をし、結果をまとめて公表はしていますが、学校が大きく改善されるまでの対応がなされているとも言い難い状況です。文科省のみならず、県単位の勤務実態調査はなされていると思いますが、このことも調査後の流れは同じようなものになっている。

実態を調査した後の分析、改善へ向けての診断、判断が行政任せである上に機能しているようには思えません。ここにも学校の働き方改革が沈滞しているかのように思える要因があると考えている。

こうした停滞しているかのようにも思える学校現場の働き方改革に、「学校BPR(ビジネス プロセス エンジニアリング)」的なアプローチが一つの解決策にならないものかと考えています。

こうした取り組みを容易に予算を投入し難い学校現場を念頭におき、エクセルベースで出来る限り容易なビジュアルベースの入力で、同じような分析、診断をして学校現場に役立てることができないものかと考えています。

現在、いくつかの小中学校で実証的に取り組めないか検討を進めています。
具体的なイメージは、改めて書いてみたいと思います。~つづく~

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