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働き方改革研究 ~改革の進め方とコアチーム~

前回に引き続き、取り組みの糸口について考えてみたいと思います。
2018年度から、中原淳先生の研究室では、横浜市教育委員会とともに働き方に関する共同研究(調査研究)をされていたことがネット上にも公開されています。
横浜市の先生方に聞き取りにあたるような質問を取りまとめ、その結果のフィードバックをもとにして、現場の先生方がどのような働き方をしていくべきかを考えていくという実践研究だったと記されています。調査研究は、立教大学大学院:辻和洋先生、同大学助教:町支大祐先生が関わっていたそうで、その内容は、「データから見る教師の働き方入門」(辻和洋、町支大祐編著、中原淳監修)という書籍で知ることができます。
また、この内容も参照させていただいている中原淳研究室でも色々と公開されています。

http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/9839

その中で今回目を引いたのは、次のくだりです。

…今、考えている研修の概要は下記の通りです。

1.管理職の方に、横浜市の先生方の「働き方」の現状のデータをおかえしする研修を行う。この研修では、自分の学校をサーベイする簡単な診断ツールを提供し、学校の働き方改革をどのようにすすめたらよいのかに関するデータ、ツールを提供する。

2.学校のなかに働き方改革をすすめるコアチームをつくる。
 1を受講していない学校のキーマンの先生方には、1の研修のミニチュア化したオンデマンドビデオを視聴していただき(10分間)、その後、1で研修を受講した先生方と対話をしていただき、コアチームをつくっていただく。

3.自校で簡単なミニミニサーベイを行い、これをもとに対話を進める。
 1と2の先生方が、まずは自校の状況を、簡易診断ツールで「見える化」していただき、それをもとに学校を巻き込みながら、何をこれから見直していくかを対話していただく機会をもつ。

 おおよそ、上記3つのようなプロセスで、横浜市流の働き方改革をスタートさせていただこうとしています。
立教大学 経営学部 中原淳研究室

先のnote のにも書いた通り

勤める学校に曲がりなりにもこうした機能する組織、あるいは動き出せる組織があるかどうかを働き方方改革の糸口、スタートラインとして考えてみてはいかがでしょうか。
天邪鬼の眼 働き方改革再考⑥ ~取り組みの糸口~
https://note.com/e_vortex/n/n402a042b3e16

1とも重なってくる「学校のなかに働き方改革をすすめるコアチームをつくる。」というスタイルは、有益、必須だとも考えています。さらに、横浜市の実践では、

前段として、①調査したデータを先生方へフィードバックするにあたり、まずは管理職にその実態を知らせる研修を行なっています。👉続けて、学校をサーベイする簡単な診断ツールを提供するとしています。そうして、学校の働き方改革をどのようにすすめたらよいのかをデータ、ツールによって得ようという流れをとっていたようです。

次のステップとして、②管理職を対象に行う研修のミニ研修版を10分のオンデマンド映像として、その裾野を広げ、コアチームを組成していく。

最終的に③ 自校で簡単なミニミニサーベイを行い、これをもとに対話をする。

管理職👉キーマンを組み込んだコアチーム(働き方推進委員会etc)👉全職員での対話というステップをとるというのです。見直しに関しては、働き方、業務を見える化し、そのデータをもとにして対話をするところがポインとになっているとも思います。いつも現場で、何か変革を起こす時には、“渦🌀”を作り出すように語り続けていますが、まさに“渦🌀”を作る手法だと感じます。

数多くの研究者も言うように、働き方改革に特効薬はないと思います。薄紙を重ねたものも束なればぶ厚くなるというイメージを失なわずに取り組んでいかなくてはならないのが働き方改革への取り組みですが、横浜市と中原淳先生の研究所が実践された一連のステップは応用が効くと思っています。

実際のデータは、自校のものがベストだと思いますが、全てを自校のデータでなくともあちこちでなされる研究の結果も取り入れていくことで賄うことができるのではないでしょうか。幸いにして、時間外在校時間等の記録は、ここ数年で記録されているはずですから、自校の生データに必要なデータを添えて、第一段階をスタートして、ステップを踏んでいくことは可能だと考えています。

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