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仰天!アメリカの介護事情(2)

米国で20年程暮らしているが、日本より「介護の苦労話」を見聞きすることが少ない気がする。米国社会の高齢化* は着実に進んでいるし、日本のような”皆”介護保険がある訳ではない。貯蓄額も日本より遥かに低いこの国で、介護が必要になった高齢者(特に中・低所得者)は、一体どうしているのだろう。今回はこの点について考えてみた。

まず日本と違う点は、自宅介護の割合が9割* という高率である点だ(日本では施設での介護が8割* )。それも、家族による介護を受けている人々が7割であり、プロのヘルパーさんを”常時”雇っている人は少ない。家族の介護者は、週平均20時間、4年間を介護に費やしている*。これはひとえに、訪問介護費用が全国平均月額$6000(約66万円)*と高額だからだ。

またこれも日本と違う点なのだが、自宅で介護を受ける人々の7割が、自分の家族以外の人々(隣人やボランティア)にもヘルプを受けているという*。隣人が見守り、病院への送迎、食事のサポートをしている例が珍しくない。例えば、筆者の知人の祖母は、足腰が不自由になる前にシニア向けのアパートに移り、食事は近所の教会でのフードサービス(非常に安価)を利用し、自分の娘・息子・孫の支援も受けつつ、ボランティアにもお世話になっていた。この辺がキリスト教徒の多い国という側面を示している。

「介護離職」という言葉はないし、それがメディアのトピックに上がることもない。私の住む世界が狭いからかもしれないが、親の介護をフルタイムでやっているという人の話を聞いたことがない。介護休暇という点でも米国は日本より遥かに手厚い。日本の場合「要介護家族が一人の場合は、年5日まで」らしいが、筆者の住むカリフォルニア州では、6週間から最長12ヶ月間、給料の7割が保証される*。

低所得者は、低所得者用の保険があり、それで介護費用を賄うことができる。65歳以上の国民が皆入れる「メディケア」という保険はあくまで”健康保険”であり、介護や長期リハビリなどは全くカバーされない(ホスピスケアーは除く。)長期介護用の民間保険もあるが、かなりの高額だ。ということで、介護という点で一番苦しいのは中流層(特に中の下の層)だ。(この話は次回に)
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仰天!アメリカの介護(1)
仰天!アメリカの介護(3)


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