『イタリア式クリスマスの3日間 ~作って、食べて、しゃべって エンドレス~』
少し前にイタリアのクリスマス期間について書きましたが、いよいよクリスマスの食事がやってきました。
イタリアでは、この期間に日本のお正月同様、家族、親戚が一同に会します。日本に次ぐ少子高齢化、核家族化が進む国ですが、この時期は3代、4代が集まるのが一般的です。
南北に長いイタリア、その上、郷土色が特濃な国なので、一般論はなかなか難しいですが、24日から26日によく食べられるものをご紹介します。
24日の夕食からクリスマスの食事が始まる家庭が多く、集まる人数も多いため、12月に入るとクリスマス期間にかかせないものがスーパーの特売品として並びます。イタリアの面白いところは、台所をあずかるひと、家計をあずかるひとがそれぞれ仕切りを発揮するところです。
現在は共働きが一般的ですが、その昔、特に南イタリアでは、家計は男性が握っていることが多く、クリスマスの買い出しにも仕切りたがるので、イタリアのスーパーは家族連れで激混み状態となります。台所を仕切るひとは、メニューをもとに食材を調達するのですが、家庭の味を継承すると同時に、人数が多い食事をどう仕切るかもシミレーションするので、双方がぶつかることが頻発します。
結婚している場合、カップルの場合、24日、25日をどちらの家族と過ごすかも予め決めておきます。これも毎年のことながら同じシーンを再現するイタリア人は、ある種コメディアンかもしれません。これも含みクリスマスなのでしょう。
買い物が一件落着するわけですが、24日は朝から、料理の仕込みやテーブルセッティング、綺麗好きなイタリア人はお掃除もします。この日のお昼は、バタバタした中なので、比較的出来合い、切り売りのピザやハム・サラミ類とチーズなどで簡単に済ませます。
南イタリアの場合、24日の夕飯からしっかりいただくので、お魚を中心としたお料理が食卓に並びます。
イタリア人は、海のものを食べるときに、山のものを口にしないので、前菜、パスタ、メインまでが魚料理です。
以前、お掃除好きなイタリア人に触れた記事はこちら👇
25日は、夕食ではなく、イースターのとき同様、お昼ご飯がメインの食事になります。
この日はお肉料理です、前菜、パスタ、メインがお肉料理です。ちなみに、わが家は超手抜きなので、前菜はハム・サラミ類を並べ、パスタはラザニア、メインはお肉をオーブンと言う魔法の箱に入れて調理です。
ここで終わらないのがイタリア式、どこまでも食事にどん欲、そしてワイワイとにぎやかにおしゃべりを楽しむイタリア人、ドルチェに突入します。
ドルチェはクリスマスにかかせない『パネットーネ』や『パンドーロ』、こちらの2つはもともと北イタリアのお菓子ですが、今では全国区のお菓子、南イタリアでは、この他に揚げ菓子、アーモンドやナッツ類を使用したお菓子も並びます。
美味しいパネットーネのお話はこちら👇
「あぁ、もうお腹がいっぱい。1ミリもスペースがない。」とイタリア人は口ぐちに言いながらも、チョコレート、ドライフルーツ、ナッツ類を口にしながらおしゃべりを続けています。
極めつけがこの直後に「今晩、どうする?」の発言です。
夕飯を大々的に準備することはありませんが、残ったものなどをテーブルに並べ、再びドルチェへと進むループです。
もう胃袋が限界の26日に全国的にスープ類を口にします。
この日は『サント・ステファノ』の祭日であるイタリア、お肉のスープにトルテッリーニなどのパスタを浮かべていただきます。スープの種類やパスタを入れる場合はその種類は地域や家庭により異なります。
一応、軽めの食事のようですが、それでも、前菜を準備、スープで束の間の休息、そしてドルチェに突入します。
イタリア人のパートナー、家族がいるひとならこの3日間を容易に想像できると思いますが、食べることが大好きなひとにとっても『修行並みの期間』だと言えます。お腹が満たされたところで、散歩に出かけるのがイタリア式、町中のお店は閉まっていますが、あてもなくおしゃべりしながら歩いてカロリー消費に努めます。もちろん、食べるだけではなく、敬虔なカトリックは教会のミサに与ります。
さて、この3日間が終わるとまた日常に戻るはずですが、大晦日にも親戚や友だちと集まり、食べて、しゃべっての時間が待っています。
クリスマス期間に何を食べたかをイタリア人にきいてみると、出身地がわかるので、日本のお雑煮を思い出します。その前の大晦日にお蕎麦をいただきたいなと思いつつ、この数日間に『強靭な胃袋』を持つイタリア人もしばし休息するのでしょうかしらなどと思うのでした。
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