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第1回伊豆高原ひとり旅①

2014年春。

あまり、旅行が好きではなかったオノミチが、初めてひとり旅をしたときの話。

この頃のオノミチは、舞台の稽古中。

何をやってもうまくいかず、あれをやってもこれをやっても、ダメだ良くないと言われ。演出家や共演者と顔を合わせるのも恐ろしく、毎日稽古場に行くのが怖かった。

きっと、色々と限界だったのだと思う。

どうしても1人になりたい、とことん1人になりたい!と思い、2日続けて稽古が休みになる時に、旅に出ることにしたのです。


テーマは1人になること。

お金はないから電車でさくっといける場所。

できれば温泉に入りたい。

と、いうことで選んだのが伊豆高原。

うまくいかないことから逃げ出したくて衝動的に旅に出たわけですが、これがなかなか良い旅になったので、ここに記しておこうと思います。



朝早くに家を出て、通勤する人たちにまぎれて電車に揺られながら、私は旅に出るのだ!温泉へ行くのだ!というものすごい高揚感を味わいました。だんだんと車内の人が減っていき、乗り換えるたびに窓の外の建物が低くなっていきます。海が見える頃にはすでに、あぁ、来てよかった!!と思っていました。



電車とバスで3時間ほど。最初に向かったのは一碧湖。1時間もあれば歩いて一周できる、小さな湖です。

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ひとりでのんびり湖畔を散歩。なんて素敵なんでしょう。

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聞こえるのは水の音、風が木々を揺らす音、自分が落ち葉を踏みしめる音、虫や鳥の声。ガサガサっと音がしたと思ったらリスでした。

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すれ違ったのは3〜4組。ほとんど人はいませんでした。気づくと独り言が。すごーい、とか。綺麗!とか。自然と言葉が溢れます。

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ところどころにベンチがあって、ただただ湖を眺めて。

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自然の中を歩くのって、こんなに楽しいのだな、と気づく。

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とにかく静かで、心地が良くて。湖がこんなに心をときめかせてくれるなんて知らなかったな。



人とすれ違うとき、「こんにちは」と挨拶をした。この湖で出会った人みんな声をかけてくれた。とても新鮮で、驚いた。普段東京で生活している中で、知らない人にすれ違いざまに挨拶はしない。されたらちょっと怖いとも思う。でもこういう場所では、黙って通り過ぎることのほうが不自然に思った。自分から声をかけるのにはちょっと勇気がいるけど、会釈くらいは自然としている。そんなことに気がついた旅のはじめ。



一碧湖。優しい湖。好きです。

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つづく。



オノミチ


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