見出し画像

教員|愛媛の国語科教員が教える! 楽しい"アレ"の作り方

nhkk事務局スタッフ:
済美平成中等教育学校の堀雄貴(俳号:高尾里甫)先生より届きました教員向けセミナーの登壇レポートをご紹介します。(前回同様、副会長のブログへの特派員報告をnoteへ掲載するものです)
このセミナーは、副会長(組長)のブログでもご紹介しておりましたもので、11月18日に、高松中央高校にて開催されました「ロイロ認定ティーチャーと学ぶ勉強会 “分かりやすい”のその先へ〜授業づくりのアップデート〜」の分科会にて発表されたレポートです。

※ レポートの最後に、解説動画や授業案のリンクもご案内しておりますので、ぜひ参考になさってください。


堀雄貴(俳号:高尾里甫)先生:
先日、高松中央高校で開かれた教職員向けのセミナーにて登壇して参りました!

演目は「愛媛の国語科教員が教える! 楽しい"アレ"の作り方」。"アレ"とは某浪速の球団日本一……ではなくもちろん俳句のこと。生徒たちと取り組んだ授業実践を、参加者の先生方にも実際に体験していただきながら紹介しました。

その時に紹介した授業の内容は以下の通りです。

1.シートを配布して、俳句創作の授業であることを明かさずにテーマを設けて写真を撮らせる

2.写真に撮った内容を、SNSなどで用いるハッシュタグとしてまとめさせる

3.ハッシュタグの情報だけで写真の状況が伝わるか生徒同士で吟味させる

4.俳句創作の授業であることを明かし「#」の中から最も重要な言葉を2~3選ばせる

5.選んだ言葉に必要に応じて季語をつけさせて俳句を完成させる

6.句会を行う

さて、なぜ演目で最初から俳句と言わず"アレ"と言ってぼやかしたのかというと、昨年度に俳句創作の授業を行った際の失敗が念頭にあったためです。

昨年度に俳句創作の授業を行った際、生徒のリアクションは大きく二つに分かれました。一つ目は、そもそも俳句なんて面倒くさい、堅苦しい、つまらないというもの。二つ目は、いい俳句を詠もうと一生懸命に張りきるもの。さて、それぞれのリアクションをした生徒たちは、その後どうなったでしょうか?

一つ目のリアクションをした生徒たちは言わずもがな。渋々参加しているので終始つまらなさそう。それもそうです。組長の句会ライブに参加する方々は多かれ少なかれ俳句に興味があって参加しているので、組長の話にもしっかり興味を示しますし、いざ俳句を作る段階になっても最終的にはちゃんと俳句を提出するのです。ただ、生徒たちはそうじゃない。いくら松山の学校とはいえ俳句に興味のない生徒はいますし、そんななかでルールを説明しただけで急に作れと言われてもモチベーションが上がらないのです。

では、二つ目のリアクションをした生徒たちはどうなったのでしょう。高いモチベーションで秀句を連発したのでしょうか。

実は、二つ目のリアクションをした生徒たちの作品も、クオリティの面では一つ目のリアクションをした生徒たちとほぼ同等でした。むしろ、一つ目のリアクションをした生徒たちのほうが句会での点数が上だったのです。

それもそのはず。モチベーションが高い生徒たちは、そのモチベーションが「良い句を作る」ことに向かっていたのです。そのため、俳句を心ではなく頭で詠もうとしてしまう。その結果、提出された句はどこかで聞いたような類想ばかりとなってしまいました。

いずれの生徒にも共通していたのが、俳句に対して先入観を持っていたことでした。一つ目の生徒たちは、俳句はつまらないものだという先入観。二つ目の生徒たちは、俳句とは「良い句」を詠まなくてはならないものだという先入観。いつき組の皆さまなら、それらの考えが俳句に当てはまらないことは承知のことと思います。私もそうでした。だからこそ、生徒たちの俳句に対する先入観を少しでも取り除き、素直で自由な俳句づくりを楽しんでもらえる授業をなんとしてでも作りたかったのです。俳句を、表現を、長く楽しんでもらうために。

そうした思いの末に考え抜いた今年度の授業。生徒たちはめいっぱい楽しんでくれました。「秋」というテーマのもと、自由な眼差しで、素直な言葉を紡いでくれました。正直なことを言えば、完成した句のクオリティはまばらです。上手く言葉にすることができずに、プレバト風に言うのであれば「才能ナシ」の句は昨年度よりもむしろ増えました。それでも良いのです。楽しんでくれた。句会も去年より盛り上がった。何人かの生徒から笑顔で「私の俳句、いいでしょ?」と言ってもらえた。それだけで充分「才能アリ」です。

というわけで、本当なら来年度の「全国教室俳句コンテスト」まで温存しておきたかった授業案を大放出! 全国の学校で使われている授業支援ツール「ロイロノート」の公式HPに掲載していただきました!
添付のURLから授業案を閲覧・DLできますのでご笑覧ください。

①解説動画
【授業案解説】中3 国語 書くこと 済美平成中等教育学校 堀雄貴

②授業案
中3 国語 客観写生の俳句を詠もう 俳句創作【授業案】済美平成中等教育学校 堀雄貴


nhkk事務局スタッフ:
堀雄貴(俳号:高尾里甫)先生、「全国教室俳句コンテスト」前の解禁を、ありがとうございました! 解説動画を拝見し、句会での生徒たちへの評価の指導方法なども、興味深く拝見いたしました。
また「アレ」との流行語にて先入観を払拭する経緯も、導入に頭を悩ませている教員として、なるほど! と面白く読ませていただきました。
来年度から始まります「全国教室俳句コンテスト」もどうぞよろしくお願いいたします。

■日本俳句教育研究会(nhkk)
「俳句」を教材とした様々な教育の可能性を研究する日本俳句教育研究会は、「俳句」を教材に教育活動を展開しようとする教師や俳句愛好家の情報交換の場になりたいと活動する任意団体です。

ご連絡は、HPの「お便り・お問い合わせ」からお願いいたします。