池田晶子『41歳からの哲学』
『14歳からの哲学』『14歳の君へ』の14→41と数字を入れ替えた続編? と思いながら手に取ったのですが、読んでみると『14歳~』の大人版の趣ではありませんでした。
それもそのはず、どうやら『週刊新潮』での連載「死に方上手」を収録したもので、1回で読み切るという連載のスタイルが、哲学でありながらエッセイならではの読みやすさを作り出しています。中心テーマは、連載のタイトル通り「死」。人間に平等に与えられている「死」をテーマにするにあたり、「不惑」を越え、「死」を考え始める年齢の「41歳」なのかなと勝手に理解しました。(もちろん、14との言葉遊びや、40代の著者の哲学の意味もあるのでしょうが……)
「人生とは」、「生きて死ぬとは」、「存在して無でないとは」。いわゆる哲学的命題を、今現実として目の前にある「自分」「世界」といった「当たり前のこと」を例にとって、この「最も当たり前のことこそが、もっともわからないこと」だと気付かせてくれます。日常でさえも「わからない」神秘である、などなど、もちろん池田節は健在です。
私たちがいかに勝手に作り出した観念の中に生きている(信じている)かにたどり着けます。