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【読書記録】マチネの終わりに(著:平野 啓一郎)

最後、泣きながら終わりました。

あぁ、どうなっていったのだろう。二人は。

普通の自分なら考えもしない「縁を復活させて欲しい」と思った作品。

もう別れて数年経過しているけれど、人の手によって引き裂かれた(色んな復縁方法はあったかも知れないけれど)のを知っているからこそ、主人公の二人にはどうしようもなく惹かれてしまう、その気持ちを復活させて欲しいと。

それとは別に、互いに違う人生を歩む中で結婚をし(洋子は離婚したが)子供を育てている身としては会っても「そこまで」としているかも知れない、という気持ちもある。気持ちの整理ができて、お互いに「ありがとう」だけでも伝えられる関係。会ったら話すし食事にも行くけれどそれまで、という関係。


最後のシーンを読み終え、最初に思ったのは、どうしようもない気持ちに動いてしまう方を考えた。「そうしていいよ」「やっぱり運命の相手なんだ、と思っていい」って勝手に許可を与えてしまってる自分が居た。どうしようもなく、動いてしまう気持ちがあった相手だったし。蒔野はまだ家庭があるのにも関わらず。結婚した相手には悪いけど。
そんな気持ちになっていた自分にもびっくりだけど。それが知人だったらどうなんだろう。同じ気持ちになるのかな?本当に小説と同じような内容だったら「仕方ないか」って思うかも。

最初の方を読んでいた私は2人の素敵な、時に衝突はしてしまうだろうけれど、最後には「読んでいて幸せになった」という気持ちで終わるものだと考えていた。愛の描写も美しく、時に官能的なものもあるのだろう、なんて読んでいた。

でも、6章を読んだ時それは覆された。

なんとーーー!!!!!!
ってなってる。
マジか!!!なんてこった!!!
と電車の中で思ってて、グワ~っとなってる。
ああああ...
の6章。

ー私のFacebookの投稿からー


これを書いた時、相当頭を抱えて悶絶したい状態だったけど、通勤中だったからマスクしながらとにかく書かずにはいられなくなっていた。
そしてどうなっていくのか動揺しながら読むスピードは格段に上がっていった。

一瞬、内容は似てないけれど昔のドラマ『想い出に変わるまで』ってやつを思い出した。あのドラマは妹に婚約していた彼氏を結局は取られてしまう話だった筈だけど、今回の小説も同じように横取りするパターン(私にはそう感じた)だった。
小説の早苗の気持ちはほんの少しわかるけど「それはやっちゃいかんよ。」という気持ち。私も支える事が多い人生だけど、やっちゃいかんのだよ、運命は携帯電話が壊れることで早苗の思うような人生へうまく行ってしまったけれど、結局は罪悪感が付き纏う。「勝者」のような振る舞いに見えるが「勝者」にはなれない。きっとまた事件は起こると思ってしまう。

あぁ、どうにか蒔野と洋子が再び会った事で、結局の赤い糸が幾年かの年を経て結びつきますように、と祈ってしまう。

こう書いていると自分が正常でない事を考えてしまっているように思う。

あぁ、苦しいよう。


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今回、kindleにて読みました。kindleを使用して小説をしっかりと読み終わった事がないのです。今回は知人と「秋の読書」のような企画で読むことになってこの本が課題図書の1つだったので読みました。
この作品は映画化されたのは知っていて、少し前に安く買えた時にkindleで購入した記憶があります。ずっと気になってました。私は主人公を演じたお2人を役として当てはめながら読んでいました。なので多少頭の中で想像しやすくもありました。
そして先に書いた通り映画化されていたので、私が作品に出てきた曲を調べていたら、Spotifyで(私が使用してるのがSpotify)サウンドトラックが聴けることがわかり、それを聴きつつkindleで読んでいました。実際にある曲を聴けるのって凄いですし、想像できますよね。最後はアンコールの曲に合わせてそれを聴きながら読んでいました。(リンクはAmazonになりますが)

私が今住んでいる家は親戚が住んでいました。
そのご夫婦は共通としてクラシックギターで繋がります。ギターを弾いてるような写真もあったし、勿論クラシックギターもあったのです。何かの縁だなぁ、と思いつつ、しかも10月には命日もあったので、何かこう繋がりというか、今更ながらこの家でクラシックギターの曲を聴くことになるとは。びっくりしてるかな。

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今回この作品を読んでみて、本格的な文章というか表現方法がとても私が普段読んでいる本とは違っていました。漢字の使い方とか「文学」って感じがする文章。大人の文章を読んでいる感じがしました。

自分も同じ年齢位です。もっと前に会ってないといけないけれど、そういう出会いがあったらどんな事になるだろう。広い世界なのにそれでも会ってしまい動かされる、気持ちが合うということ。そういう相手がこの世にいる事、ちょっと期待してもいいのかな、なんて思ったりして。


あぁ、最後、あれを読んでしまって、気になって仕方ない。
貴方はあの二人がどういう人生を歩んでいると思いますか?



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