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07_開校、そして第1期生入学 【山の日本語学校物語】

これは、とある町に開校した「山の日本語学校」(仮名)の物語です。ITエンジニアの専門日本語教育、プロジェクト型のカリキュラム、地域との連携などなど、新たな言語教育の実践とその可能性について、当時の記録をもとに綴っていきます。最後までお付き合いください。

この連載を始めるに至った経緯については、「00_はじめに」をお読みください。

01〜06までは、学校の理念やコースデザインなど、運営方針全般に関わることを書いてきました。「山の日本語学校」は、一般的な日本語学校とずいぶん異なるコンセプトで運営されていたため、この部分をしっかり伝えておかないと、いきなり実践だけを見せても、誤解を生んでしまうと思ったからです。ここからは、いよいよ、具体的な実践に触れていこうと思います。今回は、2017年10月に入学した第1期生を中心に開校当時の様子について、書きたいと思います。

第1期生の入国まで

日本語学校を開校することに対して、地域住民からかなり抵抗があったことは、01で書きました。それは、これまで接したことがない日本語学校の外国人留学生が、近隣に暮らすことへの不安があったのだと思います。実際に日本語学校については、ネガティブな報道が多いことも事実です。

(あえて、先に書いておきますが、開校後、住民の方が「開校前、なぜあんなに不安を感じたのか、今となっては不思議だよね」とおっしゃっていたくらい、町の人に理解していただくことができました。というよりむしろ、町の人に支えていただいたと思っています)

開校前には、反対意見も多くあったことから、1期生の選考には、慎重にならざるを得ませんでした。一方で、学生の視点から見ると、交通の便も悪く、近くに店もない、決して便利とは言えない町で、ちゃんと生活できるのだろうかという不安もありました。

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