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16_ケーススタディ:読みへの挑戦【山の日本語学校物語】

これは、とある町に開校した「山の日本語学校(仮名)」の物語です。ITエンジニアの専門日本語教育、プロジェクト型のカリキュラム、地域との連携などなど、新たな言語教育の実践とその可能性について、当時の記録をもとに綴っていきます。最後までお付き合いください。

この連載を始めるに至った経緯については、「00_はじめに」をお読みください。

前回(15回)までは、「みどり町(仮名)を知る」ことを目的として、活動を進めてきました。町が主催するイベント「ふれあいまつり」に参加し、インタビュー調査やアンケート調査を行いました(第1ステージ)。さらに、地域の人を招いた「調査発表会」という場を創設し、その調査結果を報告するという活動を行いました(第2ステージ)。これら4週間程度をかけて行った活動を通し、「みどり町」について知るだけでなく、地域の方々とのつながりが生まれ、具体的な「町の課題」に触れることができました。また、各活動の後には、丁寧な振り返りの時間を設け、自分たちの活動やプロジェクト、また日本語について考える時間をとりました。

今回からは、いよいよ第3ステージに入ります。この第3ステージでは、「ケーススタディ」を行うことにしました。プロジェクト開始時のスケジュールでは、「解決方法の着想」に進む予定でした。(プロジェクト開始時に想定したスケジュールは、第8回に掲載しています)しかし、実際には、解決方法を考える以前の「課題」が依然として明確になっておらず、漠然と「こんなものを作りたい」という作りたいもののイメージが先行している状況でした。開発の基本である「ユーザーの課題を解決する」という視点が抜けているのではないかという印象を持っていました。これでは、プロジェクトを行う意味がありません。

学生たちは、プログラミングの経験はありましたが、実際に開発に至るまでのプロセス全体に関わった経験はあまり多くないと感じました。プログラミング言語を扱うことはできるけれども、何のためにプログラミングを行っているのかを考える機会がこれまでなかったのではないかと思います。「ユーザーの課題を解決する」とはどういうことかというプロジェクトの全体像を、まず知っておく必要があるのではないかと思いました。そこで、できるだけ具体的な同じような事例にあたってみるのがいいのではないかと考え、ケーススタディの時間を持つことにしたのです。

今回の16回では、教師側から提供した事例を使った「読み」の授業を、17回では、学生たちが自分で探した事例についてプレゼンするという2つの活動を取り上げたいと思います。

取り上げた事例の概要

16回では、4日間にわたって行った「事例を読む」というケーススタディについて書きたいと思います。この具体的な事例については、私が調べて提供しました。「地方創生」と「IT」という観点で事例を探し、以下を扱うことにしました。(当時扱ったwebサイトのページはすでに削除されており、以下の最新の取り組みしか掲載されていませんでした)

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