”終身雇用制”から”学び直し”ついて考える

 世界の中でも特徴のある雇用形態と言える”終身雇用制度”。果たしてこの制度がどの程度社会に寄与し、その一方で課題はないのかについて考えてみました。ちなみに筆者である私は”公務員を離職した身分”です。公務員から民間に身を移した人間としての一見解をまとめたいと思います。

 まず、”終身雇用を保障する公務員の仕事はなくてはならない仕事である”ということは先に述べておきます。特に、日本社会にあっては。なぜなら、あまりにも根づいてしまったことにより、公務員無くして日本社会は成り立たないということがはっきりしているからです。行政関連の仕事然り、今から大きく方向転換することが難しいことを踏まえて大切な仕事であるとは言えるでしょう。

 ところが・・・です。これからの日本社会にとって本当に終身雇用が守られなければならないものかと聞かれたら、私は「NO」と答えます。その理由は、行政でも民間でもこれから求められるのは「情報の刷新」や「再教育」だからです。

 公務員の社会では情報の刷新や更新が求められません。厳密には無理強いされません。独自に挑戦していける人なら良いですが、終身雇用の世界には努力を求められないから大丈夫と勘違いしてしまった人が一定数いて、挑戦的な試みをしないことは十分想定できるかと思います。そして実際にはそのような人が多いのです。

 教員を例に挙げても同様のことが言えます。50代の先生方でどれだけの人がエクセルを使えるのか。「関数ってなに?」「パワーポイント?私は使えないから、みんな私に合わせてね。」なんてことはよく聞く話です。

 さて、ここまでの話で筆者がどの立場かは推察していただけると思いますが、大切なのは「これからどういった社会にすることが重要か」ということだと思います。そういう意味では公務員にはその視点が欠如しているケースが多いように感じています。

 私が大切だと感じているのは「いつでも誰でも学び直しができる社会であり、それを受け入れられる社会にすること」です。常に学び続けるからこそ新しいものを作り続けていけるのです。しかし、今の日本を支える方々の多くは「転職なんて、、、」とか「高卒なんて、、、」といった肩書きや社会的立場にあまりにも引っ張られすぎだと思うのです。「これから何ができるか?」が重要なはずなのに、過去の立場や事実に対する印象に影響されすぎるのです。

 このことは多くの弊害を生み出していると思います。例えば、リストラされた方の再就職が困難であること。一企業の中で立場を失った人が再び信頼を得るようになるのが難しいこと。技能の不足によって職を失った人は再挑戦する場すら与えられないなどです。

 正直なところ、40歳の新人でも良いではありませんか。職を転々としていても良いではありませんか。もちろん、大切なのは「経験を活かして何を生み出せるのか?」ですが、そういう意味では人生の中で何度も学び直しをすることは有意義であると思います。そして学び直しをネガティブに捉えないでほしいと思います。長い人生で3回くらい歩みを止めて考え直しても良いではないですか。それによって新しい視点が生まれるのならそれは望ましいことだと思います。

 さて、長くなりましたがこの記事で大切なことは「『学びなおす』ということがいかに重要か」ということです。そういう意味では、筆者は終身雇用制の必然性を感じていないために否定的な立場をとっているということです。ただし、民間でも同じ指摘ができます。すなわち、人が社会に貢献していくためには「学びなおし」は絶対に必要だということです。少なくとも10年ごとに自身のアップデートや情報の整理は必要ではないでしょうか?知識だけではありません。技能も同様のことが言えます。

 自ら自己分析を行うことで足りない部分を補い、いっそう自分を成長させ、そして社会に貢献していく体制が求められると思うのです。あなたは成長してますか?周りの成長についていっていますか?社会のニーズに応えていますか?新しいものを生み出せていますか?

 なかなかハードルは高いように思われるかもしれません。でも、そこにこそ生きる楽しさやいかに社会に貢献しているかを実感していけるヒントが隠されていると思うのです。

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