とりおる

はじめまして。 息をするために字を書いている。 目標:「すなおに生きる」 好きなこ…

とりおる

はじめまして。 息をするために字を書いている。 目標:「すなおに生きる」 好きなこと:歩き回る、読み書きする、食べる、ゲームする

最近の記事

ひとりで沈む

吹き出した苦しみ。過去と今をないまぜにして、深く暗い色をしたそれは、私をずぶりと沈める。 急にあらゆるよろこびが遠のき、暗くつめたい痛みがみぞおちを刺し貫く。世界が恐ろしくなり、涙で視界が歪んでいく。助けを呼びたい。怖い、と、話をしたい。何が辛いのか、誰かに縋りたい。 でも、そうはいかない。 私は一人で沈んでいく。自分をいたぶる自分の内へと、ひとりで歯を食いしばって沈んでいく。 誇り高い自分は痛みを声に出さない。他者は救いではないと冷静に理解している自分は、己の感情を分配し

    • ノブレス・オブリージュ

      私は弱って話しかけてくる他人に常にエネルギーを奪われてきたと思っている。 自分はあんな軟弱者共とは違う、助けを欲するのは自分の馬鹿さ加減を世間に披露するようなものだ、一人を耐えられない弱いものはただ死ね!と、周囲を見下している。 自分は高潔だ。 弱った様など人に見せるものではない。そこを刺されて殺されても文句は言えないのだ。 他人があなたに何をしてくれるというのだ。あなたは何をすれば自分を落ち着けられるか探求するのをサボっている。救われるための努力の中で他人を消費している。そ

      • みんな不真面目すぎる

        他人と話したいとは思うが話してろくなことになった試しがない。基本的に話し損である。こちらの望み通りの反応ができる他者は存在しない。それどころか的外れ、あるいは追い打ちのような反応ばかりで、ただ消耗するだけである。期待をするなとは言うが、そもそも期待せずに会話をすることに意味はない。他の存在にわざわざカロリー消費をして話しかける理由は自己の中にない何かを探すためなのだから、期待など当たり前にするし、それに叶わない相手、あるいはこちらを害してくる相手ならば話す価値などない。期待に

        • 20240429

          さてどっこい今日も生きている、私である。 数日前の投稿について、結論から言えば服用した薬は一般的に言うところの睡眠薬などには該当せず、自然な眠りをアシストするものであった。怖いものではない。そもそも薬はどれもこれもどこかしら怖いものではあるのだろうが、適切に処方された医薬品を用法用量を守り飲む分には基本的に問題がないのである。 あまりに眠れていなかったためか私は追い詰められ、不安に沈み、恐慌し、考えなくてもいいことをいつもより多めに考えた。そうしたところあんなごちゃごちゃの文

        ひとりで沈む

          葬式

          埋葬 あしたから 私は私でないのかもしれない、というあり得ない妄想が 自分の死体を思い描く 閉じられたまなこ以外なにひとつ正しく想像できない これから薬を飲む お医者さんに処方された薬を 用法用量使途時間 すべて守ってしっかり飲む 明日の私は救われるだろうか でも今日までの私 薬に頼ることなく不安で夜を超えてきた ただ目ばかりを光らす私は 今夜で 死んでしまうかもしれないのだ 明日の私はほんものだろうか そもそもどちらがほんものだろうか 世界との齟齬に苦しみもがいて

          褒め方

          ねぇ、なんて言って褒められたい? 何をもらったら嬉しい? 君の得意なこと 君の好きなこと 君の 負けたくないと思っていること どういう言葉で持ち上げられたら 君は喜べるのかな? 的確に 何より正しく 努力を 才能を 在り方を 完璧に肯定して飾る 認められる 素直に受け取れる言葉のかたち 丁寧にかたどって慎重に投げかけるから ベストな形状を教えて 心に穴が空いているね それに似せて ぴったり埋まるように これでいいかな?違う? 違うって 違うって 試行錯誤を繰り返せども “ぴ

          好きなことがない

          好きなことがなくて悔しい。 好きなこととは、それをするために頑張れることだ。 死にものぐるいになるほどのめりこめる何かが自分にはない。それが恥ずかしい。 この四角い板べらの向こうには、同年代の意欲的な生き物がいくらでもいて、ほんの僅かしかいない知り合いたちですらなんとか命を消耗してやりたいことに日々向き合っている。 劣等感。焦り。どうしてそんなに夢中になれる?それの何が好き?それが君に何をくれた?問い詰めて暴きたい。そんなことしたって意味はないのに自分の中に強烈な暴力衝動が巡

          好きなことがない

          ディズニーランド嫌いな俺のまんまで生きてちゃだめですか

          子どもの頃地区会か何かで行った記憶があるディズニーランド。集団行動が苦手で親密な友人もいなかった自分はいい思い出が作れなかった。バスを降りて人を待つのも嫌で単身乗り込み、携帯電話なんかも持っていなかったから誰とも合流できず、並ぶのが嫌でアトラクションにもろくに乗れず、低い背丈のせいで迷子と間違われ(間違いではないだろうけれど一人で平気だったから余計なお世話だとおもっ…思ってなかった。面白がっていた。だって思い通りの反応するんだもんね。自分が年より幼く見られることが周囲を意のま

          ディズニーランド嫌いな俺のまんまで生きてちゃだめですか

          ぬるい部屋

          うっすら湿っていてぬるい部屋 カップ麺の匂いがする ゴミがそこここに落ちている うんざり 自分にうんざり 消費期限が今日のひき肉が冷蔵庫の中で朽ちていくのを感じる 早くなんとか起き上がって 調理をせねばならないのに 現実逃避に始めたゲームが終わらない いらいらする やりながらずっと冷静にこれはまずいなと分析している 本が読めなくなった ストーリーのあるゲームも進めなくなってもう一年は経つ 自分がつまらない人間になっていくのを感じる この間語彙力のテストを後輩から挑まれた 僅差

          孤独じゃない

          いつもより嗄れた低い声で 自分が自分に話しかける 大丈夫だよと声をかけて 無理をせず休むように促す 褒める 慰める 励ます そのすべてのことを 自分は自分に的確に行う 姿を思い描く事はない 明確に己は一人だと自覚している けれどぶつぶつと小声で会話をしている ひとりなんだから演じているとすら思っていない 会話形式の独り言だというだけだ 自分には自分がいる どんなになっても最後までいる だから大丈夫だ どんなときも 自分だけはいる そう思って 乗り越えてきた 自分の声を聞く ひ

          孤独じゃない

          縮むバスタオル

          スマホで音ゲーをやっている最中、ふと目を上げると干してあるバスタオルが映った。 なんだか変だ。裾がうにうにと動いて少しずつ上へ上がっていく。…そんなわけ。 そんなわけがない。怪現象にもほどがある。しかしたしかにそう見えるのだ。緞帳が上がる様よろしくバスタオルの裾が視界の中で上方向に移動していく。…ように、見える。 よもや幻覚、やっと私もそこまできたかと目を瞬く。やっぱりなんか少しずつ裾が縮み上がっていっている。音ゲーに戻り、また見る。やっぱり動いている。 しかし私は冷静である

          縮むバスタオル

          宇宙に行く人

          宇宙飛行士の引退がニュースになっていた 5回も宇宙に行ったらしい 人類の9割は自分の住む星の外へ出ることなんてないのだし 5回も行ったのはすごいなぁと思った 宇宙飛行士はすごい ところで宇宙飛行士は 地球に帰ってきたとき「やっぱりうちが一番」って思うんだろうか? 旅を終えて玄関についたときの「あぁ落ち着く」という感じ あれが地球の重力にあったりするんだろうか それとも「帰ってきちゃった、また行きたい」って、思うのかしらん

          宇宙に行く人

          追いつく

          感情が走ってきた 息を切らして走ってきた 結構な後ろから 汗まみれになりながら かなり必死の形相で 知らんふりでいかせるものかと 足音高くやってきた 肩を掴んで振り向かせてきた 結構力強く強引に こっちと無理やり目を合わせてきた 感情 あのとき わたしが体裁や 思いやりや 場の空気なんていう 正体のないものにかまけて 置き去りにしてきた感情 酷い顔で 誰のためにもなりはしないのに なかったことにはさせないぞと 追い縋ってきた あのときの 感情 何も感じてなかったようで

          3月の中ならどこでも

          目次 親知らず かさぶた 誕生日 夜の電車の窓の瞳の タイトル 親知らず 抜いた親知らずを食べたい。 噛み砕いたり味わったりは無理であろうから、よくよく口の中で舐め転がしてから呑み込む。そうすることで私は今一度親知らずを体内に取り込む。 自身の身体を構成していた部品の一つなのだから、元の場所に戻せなくとも栄養として取り込みたいという気持ちは自然なものではないだろうか。特に親知らずなんて、半分骨のようなものである。長い時間をかけ、ゆっくりと生え育ったそれを、邪魔になるからと

          3月の中ならどこでも

          暴言

          ああ苦しい ふざけんなちくしょう 誰がわかってくれるもんか どうせ結局一人ぼっちだ あなたがいても人生になんの得もない 早いところ消えちまってくれ 無駄に期待をさせないでくれ どうせ今までも損のほうが多いんだ 俺のことを思うってんなら とっととどっかへ行っちまってくれ 俺に誰かが近づけば近づくほど 「ほんとはちがう」って冷たい苦しさが 俺の人生を重くするんだ ここにいていいなんて思えたことないよ はやいとこ離れてくれないか 誰といても楽になんかなんないよ 別にあなただって

          希望

          ほんとうはあると信じたいのだ 世界はうつくしくて 人はいとおしくて ほんとうは、生きていてよかったと 未来はきっと良いものだと ほんとうは信じていたいのだ それがほんとうであったなら、どんなに素晴らしいだろう ほんとうってなんなのか、わからないけれど 希望はあると信じたい 人のあるべき姿が 善なるものだと信じたい けれどほんとうは、本当は知っている 本当のことなんて見えないということを あなたも私の敵であることを 明日目が覚めたときにはもう 幸福が去っているかもしれない