スモールワールズ

2022、3位

「光のとこにいてね」がすごく良かったから一穂ミチ先生の作品がもっと読みたいなって手に取った。
一穂先生の本って本当に不思議でなんかページを捲る手が止まらないんだよね。面白いとかワクワクする謎解きみたいな感覚とは違ってなんか自然と当たり前のように読み進めてしまう不思議。

面白かった。
短編集なんだけど、いくつか書き留めておきたい言葉があったから残しておく。

「気持ちって物理なんだと思う」
「わたしたちは赤ちゃんの時にすべてを持っていて、成長とともにすこしずつ失っていっているのかもしれません」
「平安の祈り」
「嫌われたらそこで終わりじゃん。好かれたら始まっちゃうから、そっちのが怖いよ」

展開が読めなくて、思わず一旦本を閉じて落ち着いたことが何度もあった。

全編を通して、マンションの明かりに似てるなと思った。
きっとこの先関わることもない人間の営みを確かに感じるマンションの明かりのような温度。そんなことを思っていたら『「私はこれからも、小さな窓からそこで暮らす人たちのことを覗き込んで書くんだろうな、と思います」』なんて解説に書かれてるもんだからびっくり。
一穂先生が何を伝えたくて文字にしているのか分からないけど、少しでも伝えたいことを受け取れているのかな、そうならいいなと思った。

おわり

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