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電子カルテの標準化は未来の負担を軽減する

政府は目標として、2030年までにほぼ全ての医療機関に電子カルテの導入を目指しているが、導入状況は20年の時点で400床以上の病院は約91%、200〜399床の病院で75%、200床未満の小規模な病院と診療所はそれぞれ50%弱となる。

目標の達成には小規模な病院や診療所の参加が欠かせないが、導入コストが重荷となる。そこで政府は規模の小さい病院や診療所でも導入コストや負担が少なくなるよう、機能を絞り込み、端末やネット回線の性能が高くなくても使用ができる簡易版電子カルテのシステム開発を2024年度から始める。
システムの初期モデルはデジタル庁が開発し、医療DXに向けて24年度中に整備をしたい考えだ。

マイナンバーカードと健康保険証が一体になった「マイナ保険証」を活用し、診療・投薬などのカルテ情報を病院間で共有することができればメリットは大きい。
患者は病院にかかるたびに同じ検査を受けなくて済むようになり、医師にとっては患者の持病などを素早く把握でき、医療の質の向上や、医療費の抑制にも繋がる。

もちろんどの情報も患者の同意が条件だが、これら共有された情報は患者自身も個人向けの「マイナポータル」で閲覧ができ、より細かく自分自身の健康を管理することができるだろう。
近い将来、集まったPHR(Personal Health Record)の情報はウェアラブルデバイスの進化とともに、未来の自分自身の健康作りにも大いに活用されると思われる。

これまでの画一的な電子カルテプログラムは、今後も進歩する医療データに対応ができないことは容易に想像ができる。
標準化されたデータ連携の仕様に基づいた医療情報システムの活用が急がれる。T.W.

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