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微小な難治性がんを見つけ、即治療する遠くない未来

11日、国立がん研究センターは1cm未満の小さな腫瘍を発見するための新たな画像診断技術の臨床試験を始めたと発表した。
実用化となれば、難治性で5年生存率が約13%と低い膵がんの早期発見、治療につながる期待が高まる。

現在、一般的な検査はCTや超音波内視鏡などだが、1cm未満の小さな腫瘍を見つけることは難しく、初期の膵がんは自覚症状もほとんどない。進行速度も早く、気がつかないうちに手術が難しい段階にまで進んでしまう患者が少なくない。
アップル社のスティーブ・ジョブズ氏が膵がんで亡くなったニュースを記憶されている方も多いと思う。

研究チームはがん細胞表面のタンパク質「EGFR」だけに強く結合する抗体を使って、陽電子放射断層撮影装置(PET)検査に応用できる薬剤を開発。マウス実験では従来の検査で捉えられなかった3mmの微小な膵がんを検出できたため、サルなどの動物実験で安全性を検証し、2025年9月までに第Ⅰ相試験を完了させ、第Ⅱ相試験に向けた投与量などを検討する。
これまでは検査担当者の経験や技術に依存していた膵がんの検査だが、新たな検査法で診断技術の均てん化(標準化)に繋げたい考えだ。

将来的にはがん自体の治療にも応用し、診断と治療を同時にできる医薬品の開発を目指している。
午前中にがん検診を行い、午後に治療をする。そんな未来も夢ではない。(T.W)

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