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認知症治療に向けて加速する未来

エーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ(製品名レケンビ)」の国内での販売が始まり、20日から東京都健康長寿医療センターでは外来受診予約の受け付けを始めた。
臨床試験では病気の進行スピードを27%緩やかにする効果が確認されたという。

厚生労働省の認知症施策推進大綱では、【基本的考え方】として

認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら、「共生」と「予防」※1を車の両輪として施策を推進
※1:「予防」とは、「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000076236_00002.html

を掲げており、一歩を踏み出したと言えそうだ。

投与対象は早期のアルツハイマー病患者や軽度の認知障害がある人に限られ、意思疎通が難しくなった「中等度」や「重度」の患者には使用できない。
上記の認知症施策推進大綱内の「我が国の認知症有病率等について」では、2012年時点の調査で高齢者の4人に1人は認知症または軽度認知障害とされている。
治療薬が登場したことは選択肢が増えることになり、未来への安心に繋がる。
とても大事だが、予防も重要だ。
大綱でも

運動不足の改善、糖尿病や高血圧症等の生活習慣病の予防、社会参加による社会的孤立の解消や役割の保持等が、認知症の発症を遅らせることができる可能性が示唆されていることを踏まえ、予防に関するエビデンスを収集・普及し、正しい理解に基づき、予防を含めた認知症への「備え」としての取組を促す。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000076236_00002.html

とある。
劇的な治療薬の登場はまだ遠いかもしれないが、まずは「共生」と「予防」。
この進行は加速させていきたい。(T.W)

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