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電子処方箋はまだ来ぬ未来なのか

9月4日付けの日本経済新聞によると、2023年1月26日から始まった電子処方箋だが、半年が過ぎ、8月27日時点での普及率は2.6%とのこと。
厚生労働省での調査では、大学病院では三重大医学部付属病院のみが導入し、病床20床以上の病院でも17か所で、東京、神奈川、埼玉には1か所もない。これでは利用したくてもできないのが現状だ。

導入が進まないのは費用の問題のようだ。施設の規模にもよるが、1000万以上かかる場合もあり、簡単に導入することはできないのだろう。
国はシステム導入の支援として予算を組んでおり、病床数200床以上の病院の場合、導入額の1/3に最大約160万円の補助を出す。しかし、十分とは言えずこれでは導入が進まないのも頷ける。

電子処方箋を導入するメリットとして期待されているのは重複投薬の抑制だ。処方された薬の情報はこれまでお薬手帳アプリや電子カルテで管理されているが、複数の医療機関や薬局を利用した場合、共有されず無駄に処方されていることが考えられる。
その点、電子処方箋であれば同種の薬剤が処方されているかのチェックが容易になる。
厚生労働省の試算では、多重投薬の抑制で約600億円の削減効果があるという。

今までと違う仕組みに変える時、コストがかかるのはいわば必然だ。やり方も変える必要があり、正直大変だと思う。ただそこで足踏みし、先延ばしにすればそのコストすらかけられなくなり、一番影響を受けるのは患者だろう。
薬剤も医療費も限りある資源と考えれば、必要な時に必要な分だけかけることが重要だ。(T.W.)

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