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COVID-19ワクチンの効果が下がる人を予測

 COVID-19ワクチン接種後の抗体獲得や維持の程度には個人差があることが明らかになっています。接種から時間が経つと抗体の量が減り、感染を予防する効果が大きく落ちる人がいるようです。

 広島大学の大段秀樹教授ら研究チームは、米ファイザー社の製造したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを接種済みの日本の医療従事者約200人の血液を分析し、接種から一定期間後に感染を防ぐ抗体がどの程度残っているかを調べました。
 各々の遺伝子も解析したところ、抗体をつくるのに関わるとみられる一部の遺伝子にSNP(一塩基多型)の特徴があると抗体が減りやすいことがわかりました。

 その手法では、特定のSNPの有無や性別をもとに、ワクチン接種から5カ月後に抗体が減り感染予防効果が下がりやすい人を高い精度で予測できるそうです。例えば、2回目の接種から3週間後の抗体量やSNP、性別をもとに約8割の精度で予測できたそうです。
 また、抗体の量がわからなくても、SNP、年齢、性別から7~8割の精度で予測できるそうで、接種時にSNPを調べれば効果的な接種頻度を導き出せる可能性があります。今回の分析で抗体が減りやすい人は1割ほどいたことがわかりました。

 COVID-19ワクチン接種後に感染する人、感染しない人がいることをずっと不思議に思っていましたが、遺伝子の特徴も一つの要因ということで納得しました。
 今後この研究が発展することで、将来的にはワクチン開発やワクチン接種スケジュールのパーソナライズ化につながるかもしれません。(H. S)

参照:日本経済新聞(2023年10月27日付)
   広島大学HP
   遺伝性疾患プラスHP