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回答の評価手段について(リッカート尺度、マトリクス設問の場合)

こんにちは!
Dynataです!

リッカート形式(法、尺度)

アンケート調査の選択肢において、あらかじめ設定された評価段階(スケール)により、ある特定の事物や事象について判断や評価を問う方法のことを「評定尺度法」といい、その評価段階(スケール)のことを「リッカート尺度」といいます。このリッカート尺度は、アメリカの社会学者であるレンシス・リッカートに由来しており、回答者の意見・認識・行動の程度を測定する代表的な手段になっています。

リッカート尺度では、回答者にとって、白か黒か、はっきり回答しにくいような質問について、その程度や幅を聴取することができるため、アンケートのむにおいて正確で深い考察が可能となります。例として特定と商品について問う設問は以下のようになります。

Q.下記商品についてどう思いますか。

  • とても購入したい

  • 購入したい

  • どちらでもない

  • あまり購入したくない

  • まったく購入したくない

スケールの検討

上記の例は商品購入についての意向を5つの段階で評価しました。この5段階のスケールは代表的な尺度ですが、その他には3段階、4段階、7段階などの例もあります。

例えば、3段階評価の場合は、「そう思う/どちらともいえない/そう思わない」など、回答者を3つに分けることが可能となり、大まかな考察をしたいときに有効となります。
4段階評価の場合は、「とてもそう思う/ややそう思う/あまりそう思わない/全くそう思わない」などの選択肢となり、3段階評価より詳細な評価と考察が可能となります。
また4段階にすることで、5段階の真ん中の選択肢である「どちらともいえない」の選択肢がなくなることで、回答者に対して必ず白黒どちらかの回答を促すことが可能となります。
さらに7段階評価では、選択肢の程度を一層細かく分類するため、より詳細に回答データを分析、考察できます。

5段階スケールの留意点

リッカート尺度の選択肢を検討する際には、「どちらともいえない」の回答の扱いに留意が必要です。
選択肢が段階とるす場合には、中立の「どちらともいえない(どちらでもない)」のような尺度が必ず必要となります。この中立的尺度は、判断に迷ったり、曖昧に回答したいような場合に回答者を落ち着かせる側面もあるため、回答者の心理的な負担を軽減できますが、他方で結果的に当該選択肢に回答が集中しやすくなる可能性もあります。
特に、質問に対し中立的という意味合いではなく、よくわからない、どちらでもいい、といった意思で選択される可能性もあります。そうなると、結果が歪む可能性があります。

そうならないために、アンケートの構成をはじめ、意図がきちんと伝わる内容や言葉選びになっているのかどうか、回答者が回答しやすいアンケートになっているのかどうかといった視点を意識的に取り入れていくことも重要です。なお、一般的に米国やカナダなど個人主義の文化圏に比べて、日本や中国など集団主義の文化圏は中立的選択肢を選ぶ確率が高い傾向にあると言われています。

数値化

リッカート尺度の回答を段階に応じて数値化することで、例えば複数商品を同一尺で意見聴取して、結果を段階に応じて数値化することで、相対的な評価も可能となります。例えば「とても購入したい」を5、「まったく購入したくない」を1として平均値を算定することで、製品間での比較も可能となります。

マトリクス設問

マトリクス設問とは、設問項目に対し、同一の選択肢を同じ回答方法で聴取する場合に使う表形式の設問を言います。複数商品の評価やイメージ比較などを調査する際によく用いられる方法です。

縦軸と横軸の組み合わせで選択肢を設定して、回答を求める形式で、調査票の見た目はすっきりしますが、マトリクス回答形式を多用すると回答者の回答負荷が高まることがあるので注意が必要です。

以下、イベント開催を想定した正常者に対するマトリクス設問の例です。

複数選択肢的との違い

マトリクス設問とは異なる方法で複数選択肢による評価もあります

■本イベントについて伺います。各項目で、良かった点についてあてはまるもの全てを選択してください。

  • 申し込みしやすさ

  • 会場へのアクセス

  • 施設・設備

  • スタッフの対応

  • 配布資料

  • 料金

上記のような設問と選択肢でも同様にイベントにおいてどの点が来場者に評価されたのかの確認は可能です。この場合、1つ1つの項目に対して回答する必要はないので、マトリクス形式と比べると回答者の負担は少ないことが利点です。

他方で、野場合には各項目の「重み」がわからないというデメリットがあります。上記の複数選択式の質問だと、例えば「申し込みしやすさ」にチェックが入ったとしても、回答者がそれを他と比較としてどのくらい重視したのかはわかりませんよね。

そのため、より詳しい評価を実施するのであれば、複数選択式よりもマトリクス形式で質問を組み立てた方がより詳細なデータを取ることが可能です。また、高度な統計分析(因子分析やクラスター分析)を行う場合には、マトリクス形式での回答が適切です。

アフターコーディング

アンケート調査において、選択肢のうちの「その他」を回答した方に対して具体的な記載を求める場合や、アンケート調査の最後に自由意見や要望などを求める場合に限定的に自由記述が設定されます。自由記述は回答者の生の声を聴取できる一方で、そのままでは定量的な集計は行うことができません。

自由回答の内容を意味の似通ったカテゴリーごとに分類し、コード化する作業のことを「アフターコーディング」と言います。それによって定性情報を定量化することで集計することで結果を可視化することが可能となります。

アフターコーディングの手順

アフターコーディングはデータマイニングのように特定のソフトウェアを利用するのではなく、分析担当が行います。

まず自由記述の回答結果を表計算ソフトを利用して表形式にて一覧化します。次に回答内容について意味の似通ったカテゴリーごとに分類し、コード化します。例えば、レストランの利用者の声を修正する場合には、以下のような点について着目して、個々の回答結果を整理します。

  • 料理、味

  • 立地・アクセス

  • 分量

  • 価格

  • 店内の環境

  • 季節限定メニュー

  • クーポン

  • 営業時間

  • その他

そして整理された項目ごとに回答件数を集計します。

アフターコーディング一例です

アフターコーディングは機械ではなく人の作業での対応が基本となります。そのため一定の経験も求められます。一般的にはモニター調査会社に依頼することも可能です。

リサーチに関することでしたら、Dynataにご連絡ください!
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