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特別講義 捌:実はすごいぞ、システムから見るSuica

我々の交通を支えているSuicaはなかなかにすごい。毎日止まらず、金額を保持し、オンラインでデータ収集も行っている。今回はこのSuicaをシステムの視点から、どのようにして十分なサービスを提供しているのか見ていく。

何がすごいか

①超高速処理
②とにかく止まらない
③長期間の利用が可能

①超高速処理
世界一過密な通勤をしている日本では、超高速でICカードの情報を読み取ったうえで、処理を行う必要がある。その処理は6段階にもおよび、「タッチされたことの検知」「認証」「読みだし」「判定」「書き込み」「書き込み確認」の工程を行っている。超早歩きだとさすがに引っかかりが発生するが、普通に歩く分には全く止まらずに歩けることは驚異的だ。

②とにかく止まらない
システムと言えば停止はつきものだ。つい最近ではみずほ銀行のシステムが停止したこともあり、どんなにお金をかけていても、仕組みが相当にしっかりしていないとまずいことになることはご存じだろう。
https://www.mizuhobank.co.jp/release/pdf/20210405_2release_jp.pdf

ちなみに障害自体は何度か発生しているが、これはモバイルのログインなどがメインであり、Suica本体に影響は出ていない。

③長期間の利用が可能
お金をチャージしたり、使ったりと何回でも動かせる
。カードの方は、充電もしていないのに、いつでもこの機能は利用可能だ。電池の持ちで比較すると、スマホであれば1日程度、ウェアラブル端末でも1週間程度の持ちであり、都度充電が必要だが、Suicaはメンテ不要である。

①②③のようになかなかにできるシステムではない。ということはここを読み解くと、何か面白い仕組みがあるはずだ。
そんなわけで、ここからはどのようにしてSuicaが上記を実現しているか見ていく。
それでは行こう!


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