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[4月第3週] DAOレポート Vol.15

イントロ

ステーブルコインは、規制されている方が「危ない」という時代になってきているのかもしれない。

米ドル連動の2大ステーブルコインであるテザー(USDT)とUSDコイン(USDC)の明暗がはっきりと分かれ始めている。ステーブルコインの時価総額全体に占める割合(ドミナンス)において、USDCが低下する一方、USDTが上昇している。

出典 : CoinGecko 「ステーブルコインのドミナンス 過去90日間」

年初はUSDT50%に対してUSDCは32%ほどだったが、現在はUSDT64%に対してUSDCは24%。3月10日のシリコンバレー銀行の破綻ニュースが報じられ、USDCを発行するサークル社が資金の一部をシリコンバレー銀行に預けていたことが明らかになった。その際、一時的にUSDCがデペッグしたが、現在は回復。しかし、回復した後もUSDCのドミナンスは下がりつづけている。

なぜだろうか?

USDCはDeFiの担保手段としてUSDTよりよく使われる傾向がある。しかし、DeFiのマーケットは拡大はしていないものの、縮小はしていない。DeFiLlamaによると、DeFi全体のTVL(預かり資産合計)は490億ドルで年初来でほぼ横ばいだ。先週お伝えした通り、DEXの取引量はCEXと比較して増加傾向にある。

背景にあるのは、米国の仮想通貨規制強化かもしれない。米国関連の銘柄にエクスポージャーを持ちたくないからUSDTを買うという動きが出ている可能性だ。

一昔前までUSDTには怪しいイメージがつきまとっていた。USDTを支える準備金に関する透明性の欠如が批判され、テザーはニューヨーク司法当局に起訴されたこともあった。現在、そういった問題は投資家にとっては「米国への露出」より低リスクと判断されているようだ。

ちなみに、年初の11%から5%までドミナンスが下がったバイナンスUSD(BUSD)に関しては、2月にニューヨーク州の規制当局が発行体のパクソスに対して取り扱いを止めるように命じた。

サークル社のジェレミー・アライアーCEOは、最近の流れを次のように分析する

「米国の規制や銀行システムに近いポジションを取っていたプレイヤーが『安全じゃない』と思われているのは皮肉なことだ。投資家は、管理監督者のいない完全に不透明でリスクの高いプラットフォームに移っている」

@jerallaire

先週、米国に拠点を置く取引所のコインベースとジェミナイがオフショアで仮想通貨デリバティブの立ち上げを計画していることが分かった。米国に近いことは仮想通貨プレイヤーにとってリスクという流れは続きそうだ。

今週のプロポーザル

  • Uniswap 他チェーン展開に関する説明責任委員会の設置 | Uniswap Deployments Accountability Committee 

    • UniswapのDAOは、Uniswap V3の他チェーンへの展開を運用面で管理する Accountability Committee for Deploymentsの設置を賛成多数で承認した。

    • 同委員会は、関連する提案がUniswapのコンプラに沿っているか審査し、コミュニティに対して推薦するかどうかを決定する。

    • 背景には4月1日にUniswapのビジネスライセンスが失効したことがある。これによりUniswap V3を使った展開はどのプロジェクトも可能になった。

    • 同委員会の初期メンバーは5名で期間は6ヶ月間。報酬は6ヶ月間の固定費が3500ドルで、一つのプロジェクト審査につき6500ドルの手数料となっている。

      ✅ 投票開始: 4月13日
      ⏰ 投票終了: 4月23日
      ⚡ 投票の種類: Tally
      💬 議論:https://gov.uniswap.org/t/governance-proposal-create-the-uniswap-accountability-committee/21043
      ✍ 提案者: she256.eth 

  • Arbitrum グラント(助成金) 失敗しないための枠組みについて議論開始 | Grants Funding Framework Discussion - How To Excel at Being a DAO

    • Arbitrum DAOのDisruptionJoeが、他のDAOのグラントプログラムでの失敗を踏まえて、Arbitrum DAOにおける理想的なグラントプログラムについて議論を始めた。

    • 例えば、他のグラントは最初に巨額の資金を使って後で説明責任の部分で苦戦している。その後、投票者が興味を失い、イノベーションが生まれにくくなっている。

    • DisruptionJoeは、解決策として、一つの方法を全てのグラント審査に当てはめるのではなく、固定された予算を複数のプロジェクトに振り分けるQuadratic Fundingや結果を残したプロジェクトに後から予算を振り分けるRetroactive fundingが提案。

    • また、トレジャリーの10%をステーブルコインに交換してグラント用に割り当て、今後10年間のDAOの成長を保証するべきと述べた。

      ✅ 投票開始: 未定
      ⏰ 投票終了: 未定
      ⚡ 投票:  未定
      💬 議論:https://forum.arbitrum.foundation/t/grants-funding-framework-discussion-how-to-excel-at-being-a-dao/13818/1
      ✍ 提案者: DisruptionJoe

話題のTweet

先週は、SECのゲリー・ゲンスラー委員長が米議会で詰められている場面がたくさんTweetされていましたね。

データ振り返り

トレジャリー総額

DeepDAOによると、4月21日時点でDAOトレジャリーの総額は24億9000万ドル。内訳は、流動性のある資産(Liquid)が207億ドル、権利が確定していない資産(Vesting)が33億ドルだった。 アクティブDAOユーザー数は、690万人。ガバナンストークン保有者数は、210万人だった。

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