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PMBOKガイド第7版を意味分節理論で読む(番外編)〜価値とはなにか〜
プロジェクト世界の対立と両義的媒介項との出会いを求めて、
躓き(つまづき)ながら創造的に誤読していく。
横文字の美術館で、平凡に見えて奥深い絵画を探す。
鑑賞の中で集団・労働・価値の意味を問う。
価値の間に足を伸ばす。
前回の記事
第3回でプロジェクト・マネジャーに期待されていることを引用し、そこで重要な言葉として「価値」を取り上げました。
プロジェクト・マネジャーに期待されているのは、組織への価値、そして組織の価値実現システム内に存在するステークホルダーへの価値を生み出すプロジェクトを実行することである。
+プロジェクトマネジメント標準
今回はPMBOKガイド第7版ではなく、法哲学者であり、道徳哲学者、政治哲学者でもあるジョセフ・ラズ氏の「価値があるとはどのようなことか」を引用しながら価値について考えていきたいと思います。
この本ははじめからわかりやすく価値について説明はしていないです。入り口がどこかわかりません。はじめからよんでも途中から読んでいる気分になる本です。
いくつか印象に残ったところを挙げます。
普遍性と多様性
未来への希望は、普遍性への信念と、価値の真の多様性についての理解とを調和させることにかかっている
価値がそれでも人と人とをつなげることができるのか、といったことである。つまり私にとってと他社にとって、ともに合理的に理解可能な形で、価値があるとはどのようなことかーこうした問いに対する答えならば本書にある。
価値の理解可能性は[前提として]普遍性を要求する一方で、価値の社会依存性は価値が普遍的でないことを要求しません。そこで私たちは、〈この二つは調停可能である。必然的に価値は理解可能で、したがって普遍的であり、かつ、社会に依存している〉と結論づけるべきではないでしょうか?
価値において普遍性と多様性の二面性見られます。いつ、どこでも変わらないものであるが故、理解可能である価値が、時と場所によって異なる社会の状況に依存した多様性と対立します。
普遍性 / 多様性
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理解可能性 / 社会依存性
「価値は理解可能で、したがって普遍的であり、かつ、社会に依存している」によって、価値は多様性によって理解できないという結論は避けうることを示しています。プロジェクトにおいて価値が理解不可能だと困るので助かりました。
真に普遍的
普遍性を強調することは、〈人々が「真に普遍的な」諸価値だと考えるに至った他の諸価値に包摂されるがゆえにそうなのだ〉ということを示そうとする
「真に普遍的な」諸価値 / 他の諸価値
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上モノ / 土台
私達が普段、普遍的な価値と考えているものも、文化・慣習・思想といった土台となる価値が存在しており、普遍的な価値が独立して存在するわけではないのです。
本来的・手段的
〈それを善たらしめるのは、それが誰かにとって、あるいは何かにとって善でありえるということだ〉ということを意味していません。本来的善はこの点で、手段的善とはことあります。
本来的善 / 手段的善
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終着 / 連鎖
価値を考えるにあたり、何かの役に立つものが手段的善(善=価値)となり、そのもの自体が価値となるものが本来的善となる。手段的善は連鎖的であり、本来的善は終着となる。終着の先が自分自身となることもある。
本質的善
それ自体で価値あるものという観念そのものが、適切な仕方で価値と関係することのできる者という観念なのです。
価値あるもの / 否-価値あるもの
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非-価値あるもの / 非-否-価値あるもの
それ自体に価値があるものは、それ以外を強力に分離する体験なりロジックが存在する。それ自体が価値をもつとき、普遍的なものとなる。
本書ではまったくそのようなことは書かれていないのですが、普遍的、多様性、社会依存性といった言葉の中から、価値自体を1つの側面で語るのではなく、主観 / 客観 / 俯瞰して多面的に価値を捉えることが、プロジェクトにおいて価値を記述ためには重要ではないかと感じました。
つづく?
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