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おやすみ


数日前のこと。
コンスタ(会場スタッフ)をしていた。

共に働いたバイトの友達が、その日の夜、
近くの駅まで車で送ってくれた。

駅に着き、車から降りる。
「ありがとう」を伝え、私は手を振った。

その友達は車の窓を開け、
少し車を走らせつつ、笑顔で「おやすみ」と。

───

数日経った今でも、
その「おやすみ」がずっと頭に残っている。

同い歳の男の子なのだけれど、
なんだかとても、それが素敵で。

私が彼の立場だとして、
そんな言葉はサラッと出せない。

根拠の無い「またね」とか、
手を振るだけとか。
きっとそれくらいしか。

些細なことで、一瞬だった。

憧れた頃には、車の中の彼はもう見えなくて。
けれど、たしかに強く憧れた。

そのひとことで満たされた。
私にも出来たなら。

───

忘れられなかったので書いた。
本当に、それだけ。

「おやすみ」のひとことが
ただただ、嬉しかっただけ。

忘れられないだけ。

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