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【現地ルポ】 セルフドライブするコミュニティ育成の秘訣まとめ

概要


本レポートは、KTさんの「セルフドライブするコミュニティ育成の秘訣」の内容を体系化したものです。テーマは「セルフドライブ」であり、個々の行動を変え、コミュニティを通じてよりよい未来を作るためのプレゼンをまとめました。

キーワード「セルフドライブ」

主軸は「セルフドライブ」という言葉に集約され、何か一つでもこの会、この記事で見聞きしたことを実践し、次の日の行動を少しでも変えてほしい。ことあるごとに「ここだけで2時間話せる」という言葉が頻繁に登場し、コミュニティ運営の奥深さが強調された。

コミュニティが必要な理由

「現代は、物が溢れ、技術が急速に進化している。その中で愛され、選ばれるための唯一の方法が「コミュニティ」の存在。製品の価値は、コミュニティがあるからこそ輝く。単に「イケてる製品」があるからコミュニティが形成されるのではなく、コミュニティそのものが製品の魅力を引き立てる」

製品の数が増える中、コミュニティを通じて製品の価値が強化されていくのだという熱量がすごかった。実際にtableauやsnowflakeはそうやって「イケてる製品」という認知を得ていっている。特に初期のユーザーが持つ情熱を広げ、そのプロダクトがもたらす世界を明確にすることが大切。
コミュニティには「スキル」、「ビジョン(どんな世界を実現したいか)」、「コネクション」という3つの柱があり、これらを軸に成長していく。 そして、コミュニティは参加してくれる人の第3の家、ホームであること。いつでも帰ってきいいし、巣立っていける環境と関係づくりがキモになる。こちらの記事も要参照。

コミュニティ運営の極意


コミュニティ運営の極意は、コアユーザーの発見継続的なエンゲージメントにある。信頼できるリーダーをコミュニティの中から見つけ、透明なコミュニケーションを保ちながらメンバーの多様なスキルやニーズに応じた支援を行うことが重要。リーダーの交代や成長を促進する仕組みを整え、コミュニティが自己駆動型で持続的に進化する基盤を築くことが成功の鍵。

ここからはコミュニティを成長段階段階ごとに見ていき、各段階でどんな行動が必要で課題があるか、その課題の解決方法を解説していく。

創設期


コアなユーザーを見つける

コミュニティ運営の最初のステップは、10人のコアユーザーを見つけること。彼らは製品やサービスに対して強い思い入れを持っているので、運営や拡散のキーマンになる。この指とまれで集めてもいいし、営業さんに声をかけてもらうのもあり。

イベントの理念と対象

コミュニティイベントには、単なる参加者数の増加ではなく、理念と目的が必要。どんな人を対象に、何を目的としているかを明確にすることが重要で、将来的な目標設定があるとなおよし。リーダーや信頼できる社員と話せる関係性の構築が運営の鍵になる。

継続の重要性

イベントを開催する頻度や回数が、参加者数よりも重要。また、初心者向けのコンテンツを取り入れて裾野を広げ、オーディエンスが求める内容を提供することが大事なポイント。初めての段階では完璧な計画ではなく、試しに実施し、徐々に形を整えていくアプローチをしていくのがいい。

第一次成長期


コミュニティリーダーとのコミュニケーション

コミュニティを大きくするところ囚われると数字に拘ってしまう。コミュニティマネージャーは「この人は何をしたいかな」と考え、同時に貢献して貰っているのでベネフィットを提供することを忘れないようにする。リーダー候補たちとの1 on 1のコミュニケーションを通じて、信頼関係を構築し、彼らの「やりたい」を具現化することが、運営の鍵。

スキルの差

コミュニティが成長すると、参加者間で経験やスキルの差が生じてくる。これが第一の「成長痛」。この段階では、分科会を開設や技術レベルや興味関心、地域ごとにコミュニティを分けたりとコミュニティリーダーの重要性が増していく。

いつメンの登場

この時期になってくると顔馴染みが増えてきてそのグループで固まり出すという状態が出てくる。いい面ではあるがコミュニティ初心者の方で「入り方がわからない」となってしまうので放置は厳禁。初心者が入りやすいように「コミュニティにはこうやって入っていく」という入り方を見せてあげる。一回参加すれば次回は「コミュニティ初心者」ではない状況を目指して、初心者同士で楽しかったねが生まれれば最高。

アクティブ率

初期は8割、徐々に5割。拡大して増えても5割を目指して、毎回の開催の比率としては新規・リピーターが半々であるのが好ましい。リピートが多すぎるということは新規が入りにくい要因があることであり、新規が多いとリピーターが根付いていないということになるのでどちらも問題。

ハレの日を作る

年に一度はみんなで集まる「ハレの日」を作る。大人の文化祭で、普段とは違う非日常を演出し、コミュニティとしての盛り上がりをこの日に持ってくるのがいい。開催内容としてはコミュニティのミッションやビジョンと一致するものが好ましく、参加してくれる人に「ああなりたい」を見せる、演出、コミュニティリーダーたちに「俺たちここまできたんだな」と感じられるイベントにする。

感謝祭

貢献者に対してお礼を言う機会をつくる。もちろん、向き合えるキャパはあるがコピペで使い回した言葉を送るよりは向き合えるキャパに対して心を込めて感謝を伝える機会があるといい。

低迷期


あんなに盛り上がってたのに…

原因

  • ネタ切れ

    • 毎回同じ人がスピーカー

    • 難易度調整の難しさ。簡単すぎると言う人もいれば、難しすぎると言う人がいる

  • 幹事の自然消滅

  • 有益さがなくなるって責任だけで続いている

    • 運営もインプットアウトプットどちらもできるのが大事

    • ずっと話し手だった場合は話すだけで見返りがなくなってしまう

  • 私物化

    • ここまでほおっておいたコミュニティマネジャーのないしは組織の責任 (私物化してる人ではない)

脱出方法

基本的に低迷期になる前に回避するのがいい。立て直し方は1からコミュニティを作る時と一緒。しかし、ここで一番重要なのは今まで頑張ってきてくれと人たちへの配慮。この人たちは傷ついている。とても傷ついている。最初からいる人に恩義があるからこそ配慮をしながら新しい人を増やしていく。

代替わり期


リーダーの新陳代謝

コミュニティを持続させるためには、新しいリーダーが定期的に登場することが必要。リーダーの交代や継承を円滑に行うため、卒業制度を導入し、新しいメンバーに運営を引き継ぐセレモニーを開催。この時期に、情熱や仕組みを次世代に伝えることが運営の成功に繋がる。

新しい人たちの「自分ごと化」

次世代は継承されたコミュニティのリーダーになることで「自分ごと化」していき、コミュニティをより発展させていく。新しいリーダーを選ぶ際は初めは声掛けベースがいいが徐々にになぜリーダーに選ばれたのかわかるようにする。
マジックワード「あとは頼みましたよ」。任されて嬉しいコミュニティとその信頼関係を構築していく。

第二次発展期


仕組みと情熱の継承
情熱:私が受け継ぐのだ (火を灯す)
仕組み:誰でも運用できるように仕組み化
誰でも運用できるように素材を整えて、コミュニティへの入り方をパブリックに宣言し、誰でも参加できるようにする。その仕組みを整える。

コミュニティ運営のTips


イベントが盛り上がらない!

A. 初心者をベテランのいるところに混ぜる。いつも一緒にいる人、一緒に来た人はバラす。
初参加者には特に気を配り、既存メンバーとの交流の場を設け、「うちはこういう雰囲気でやっているんで」を発動してコミュニティってこう言うものという雰囲気を作っておく。誰かと話せたら、次はコミュニティの経験者になれる。具体的には、一緒に来た人は必ずバラす、バラさなくても新しい人を追加したりするなどいろんな人と繋がれる状態にする。

参加者が集まらない!

A. そもそも死力を尽くしていない人が多すぎる
誘ったとはマスで呼びかけるのではなく、個々に呼びかけて「あなたに来て欲しい」と伝えること。集まらなかったら最後はダイレクトメール。来れなかったとしても繋がりを作ると言う意味でも継続的な個別声掛けと公開募集が大事。営業に個別に連絡してもらってお客さんに連絡してもらう効果もあり。

リーダーが見つからない!

A. リーダーの候補者を見つけるには、まず「やって見せる」ことが重要。
サポートを必要とする人に実際の運営を見せ、徐々に役割を任せる。完璧を求めず、少しずつ成長させていくプロセスを大切に。懇親会の場やXのポストなどでグループや企画の予兆を見つけたら即実行宣言させる。お願いされたから仕方ないな、言われたからやるでOK。可能な限り本人でうやって発言してもらう。
私は見つけたらその場でSlackやXで宣言させてる」 By KTさん

アンバサダープログラム

アンバサダーはコミュニティの顔となり、活動を推進してくれる存在。プログラムを早期に立ち上げ、適切なメンバーを認定することで、コミュニティ全体の発展が期待できる。また、主要メンバーには製品開発者やエグゼクティブとのミーティングなど、特別なインセンティブを提供することが効果的。

外部コミュニティとの連携

他のコミュニティと協力する際には、そのコミュニティの文化やルールを尊重し、相手側に貢献する。相手のコミュニティに価値を提供することが第一であり、自身のコミュニティの利益を優先させることは避けるべき。

コミュニティメンバーに仕事を任せることで親密性を高める

コミュニティメンバーに対して、イベント運営などのサポートを依頼することで、彼らが「仲間」としての意識を持ちやすくなる。仕事を任されることで責任感とやりがいを感じてもらい、コミュニティへの一体感が高まる。

主要コミュニティメンバーへのインセンティブ

コミュニティの主要メンバーには、創業者やエグゼクティブとのミーティングをセットすることで、「大切にされている」という感覚を与える。特に、海外のエグゼクティブが訪問する際は、その機会を最大限に活用。エグゼクティブメンバーに会えなくとも開発者と直接話し、意見を交わす機会を提供するだけでも嬉しいもの。

コミュニケーションTips


DMの使い方

スパムのようなDMを送るのではなく、個別のメッセージを丁寧に送ることを推奨。短くてもよいので、相手に自分宛てだと分かるようなメッセージを心がけること。敬語がいいケースとカジュアルの方が高い効果があるケースもあるのでケースバイケースで使い分ける。

Slackワークスペース運営:よくある課題と対策

空っぽのSlackチャンネル
不活発なチャンネルは定期的にアーカイブし、活発な場所に焦点を絞る。Slackのログが後から見えづらくなることを防ぐため、外部にまとめたナレッジベースを定期的に更新し、重要な情報は誰でもアクセスできるように。

発言が特定のメンバーに偏っている
メンバーが自然に投稿したくなるような共創イベントやディスカッションを定期的に企画。日常的に活用されていない場合、Slack以外のプラットフォーム、たとえばDiscordへの移行を検討することも一つの手。ただし、消極的な選択ではなく、ニーズに合わせた最適なツール選びが必要。日常使いされるのがベスト。

スタンプやリアクションが全然つかない
コミュニティマネージャーが率先してコメントやリアクションを行う。各チャンネルに専属のリーダーを指名し、会話をリードしてもらう。リーダーが定期的に話題を提供することで、他のメンバーの参加を促す。

X(旧Twitter)のポスト文化の醸成:いいね、リポストの推奨

反応が少ない
遠慮せず、まずは「いいね」から始めようとメンバーに明確に伝える。発言するだけでなく、いいねやリポストもタイムラインを盛り上げる。アンバサダーとなるメンバーに、引用リツイート(RT)やリプライを積極的に行ってもらうよう奨励する。

SNSに慣れていないメンバーが多い / ROM専
SNSに不慣れなメンバーに、いいねやリポストがコミュニティを活性化させる重要な要素であり、Xのアルゴリズムに影響を与えることを説明。

まとめ


コミュニティ運営は、一歩を踏み出すことから始まる。
重要なのは、「情熱」「仕組み」の両方を継承し、次世代に引き継ぐこと。コミュニティの活動を通じて、人生を変える人、そういった人を生み出せる人をどれだけ育てられるかが楽しいし醍醐味。
コミュニティ運営は決して一過性のものではなく、持続的に成長し、変化する環境に適応していく必要がある。そのために、常に「自分ごと化」し、情熱を持ち続けることが大切。


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