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社会保険料と消費税

最近の政治を眺めていると、社会保険料引き下げと消費税の廃止に関する議論が活発になってきている。政府はこれまで(十分とはいえないが)さまざまな経済対策を打ち出しているものの、この「社会保険料引き下げ」と「消費税の廃止」は本丸とも言える議論だ。

企業にとって負担の重い制度

私も一経営者として会社を経営しているが、この社会保険料の負担というのがとても重く感じる。サラリーマンにはわかりにくいかもしれないが、役員報酬を含め従業員の給与を支払う場合には、必ず社会保険料の支払いがつきまとう。

社会保険料は支払う給与の総額によって決まり、それも無条件に毎月銀行口座から引き落とされる。

加えて従業員が働くことによって「生み出される付加価値」には消費税がのしかかる。また、その付加価値によってもたらされる利益には法人税が課されることになる。

そのうえで利益を出してゆかねば内部留保は増えないし、次への投資もできない。こう考えるといかに利益を出すことが今の制度で難しいかということがわかる。

そうなると、経営者は何を考えるかといえば、正規雇用者の人数を減らし、パート・アルバイトで代替するか、外部へ業務委託することで従業員の給与を減らし社会保険料の支払いを圧縮しようとするのは当然のなりゆきだ。

こうして非正規雇用者の数は年々増加し、フリーランスが委託先として非常に不安定な生活を強いられるようになる。そして一人当たりの可処分所得はどんどん目減りしてゆき、やがて貧困化へと進んでゆく。

この20年余、この国はそうした流れに向かってひたすら歩んできた。結果、GDP(国内総生産)は一向に増えず、他の先進国から大きく引き離される結果となったわけである。

3月で終った税、社会保険料支払い猶予期間

政府が新型コロナウイルス対策の一環として支払いを1年間猶予していた税と社会保険料の特例期限が切れ、利用企業や個人の支払いが4月から本格的に始まる。猶予が適用された金額は約2.8兆円に上る。最初の緊急事態宣言の発出から1年が経過した今もコロナ禍は長引き、飲食業やサービス業などの業況はなお厳しい。今年度分と二重払いを迫られるケースもあり、後払いの負担は企業や個人に重くのしかかる。恐らく、これが引き金となり倒産、廃業する企業も増えると思われる。

なぜ本丸か?

社会保険料や消費税は国の社会保障(年金、医療、介護福祉など)の原資となっており、現在年間120兆円規模まで膨れ上がっている。これを賄うためにはこの2つの財源を縮小するわけにはいかないというのが政府の見解だ。

だから、社会保険料の引き下げ、消費税の廃止は絶対ゆずれない要求だということである。しかし、このままではシニア世代の生活を保障するのが精一杯で未来の若い世代に投資することを怠ることこそ、未来への負債を残すことになるはずである。

私たちはなにをするべきなのか

これまで私たちはあまりにもこのような構造的なゆがみについて、知らなさすぎたし、考えることすらしてこなかった。まずは、このような現状をしっかりと理解するべきだろう。

そして、あとは政治家の英断を後押しするために、しっかりと政治家を選び自分の1票を投じることである。この国の民主主義がこの先、維持出来るかどうかとても大きな問題ととらまえ、しっかりと私たちの責任を果たすべきだろう。

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