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てのひらサイズの物語

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リアルの中に一瞬のファンタジー 短編ならぬ掌編小説と詩集
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【詩】横顔の恋愛学 

【詩】横顔の恋愛学 

君に見つめられると

つい目を逸らしてしまう

遠くで見守るなら

まともに見ても平気なのに

長い髪 薫る景色

とても素敵な後ろ姿

合うことのない視線は

ただ風に溶けて游ぐ

【詩】てふてふ

【詩】てふてふ

あなたがわたしの周りをひらひらと舞う
真っ白な羽を揺らして

わたしもあなたの周りをひらひらと舞う
黄色い羽を揺らして

ふたりは鱗粉を交わらせてひらひらと舞う

でも あなたはどこかへ飛んでいってしまうから

わたしは ただあなたを追いかけて
探しても探しても見つからなくて

あなたを見つけた時には
真っ白なラナンキュラスの花びらになっていた

わたしの羽は白い花には融けず
わたしは ただ
その

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【詩】まっすぐに明日へと続く道の歩き方

【詩】まっすぐに明日へと続く道の歩き方

一度繋いだこの手を
もう一度ギュッと握りしめて
ふたりが決して離れないように
先の見えない暗い闇でも
ふたりなら迷わずに進める

君が教えてくれたんだ
まっすぐに明日へと続く道の歩き方を
だからもう振り返らずに
ただ前を向いて疾り抜ければいい

一度は繋いだ手を
もしも離してしまっても
君のことは見つけられるよ

だって僕らの約束の場所には
僕と君が必ず一緒に居るから

【詩】Fine.

【詩】Fine.

駆け出した明日の空へと
Tシャツに目いっぱい追い風を受けてさ
ツバサなんかなくたって障害物は越えられる

さぁ、進め
夢の在処は羅針盤が射し示してる

胸いっぱいに酸素を溜め込んで
手も足も全部 空よりも大きく広げて
カラダの中いっぱいになるまで深呼吸して

そして手に入れた宝石は
宝箱の中にしまい込まずに
真上に向かって高らかに掲げろ

目が痛くなるほど鮮やかな空には
君の笑顔が乱反射している

【詩】ライトシアンの風

【詩】ライトシアンの風

ぽつんとひとり道に立って
僕は空を見上げている

君のいない この景色に
代わりに何を描けばいい

空の色はライトシアンを水で薄めて
白い雲は そのまま白紙でいい

やがてマゼンタに染まりゆく
今はまだ 透き通った蒼

手を伸ばしても届かなくて
いくつもの思い出が揺らめく

君の声が聞こえた気がして振り返る
風に揺れて 星が瞬く
それとも星の瞬きが風になったのか

しがない水彩画家の恋は
油絵の

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【詩】菜の花を一輪ください

【詩】菜の花を一輪ください

その菜の花を一輪ください
テーブルの花瓶に生けたいのです
家族に笑顔がこぼれるように

その菜の花を一輪ください
あの人のポケットに挿したいのです
あの人に笑顔が向けられるように

その菜の花を一輪ください
道の片隅に植えたいのです
街中に笑顔があふれるように

その菜の花を一輪ください
花束ではなく一輪でいいのです。
葉も茎も見ていたいから

【詩】辛口マスタード

【詩】辛口マスタード

君は辛口マスタード
その刺激で男を殺す

近づく男をしびれさせ
目にも止まらぬ
knock down

僕は甘い言葉で誘うけど
君のガードは固くって
容易く落ちるほど甘くない

君は辛口マスタード
僕のハートを粉々に
右ストレートで
knock down

【詩】君がいない

【詩】君がいない

君がいない夜には
あれこれと想いが巡る

独りが寂しいとか
辛く哀しいとか
そんな ことなんかじゃない

何をしていても
楽しいことばかりが浮かぶ

明日は何をしようか
その次は何をしようか

君と一緒に

【詩】100万本のキャンドル

【詩】100万本のキャンドル

あなたの声が風になり

わたしの心の炎を揺らす

わたしの声が風になり

あなたの心の炎を揺らす

人と人はこうして出逢い

ひとつひとつ灯した炎を揺らす

【詩】宝の地図

【詩】宝の地図

白紙の紙に

宝の在処だけを描いた

それを人は夢なんて言うけど

場所を示す標識も

方向を示す矢印さえなくて

道に迷った冒険者には

蜃気楼さえ輝いて見えた

【詩】つなぐ

【詩】つなぐ

ほら 君の手を見てごらん
とても小さくて まだ脆いけれど
そうさ それは僕の一部分を
君に託したのだから
少しづつ 少しづつ大きくなればいい

今 君の手を見てごらん
大きくて 力強くなっている
そうさ それは僕の命が
君の中へと流れ込んだから
少しづつ 少しづつ君が僕になる

そして 君の手の中を見てごらん
とても小さくて 大切なものがそこにある
そうさ その時に僕は
君の側にはいられないかもし

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【詩】食前食後おやすみ前に

【詩】食前食後おやすみ前に

白んでゆく空に
鳥たちの声と薫る珈琲

透き通るほどの翠と
羽ばたく高積雲

赤紫のグラデーションに
滲む三日月

食前食後おやすみ前に
あなたが処方した笑顔が効いてくる

そして優しい時間に包まれて
いい夢を
また夢の中で

あなたが処方した特効薬も
今の二人には効かないようだ

【詩】夢見るあじさい恋物語

【詩】夢見るあじさい恋物語

つばめが巣立った軒下に
今は揺れるてるてる坊主
真似して風に揺れてみる
水無月
白いあじさい雨物語

梅雨の合間の晴れた日に
透き通る青空見上げてる
こころに写った空の色
晴れの日
蒼いあじさい夏物語

月の綺麗な真夜中に
一緒に游ぐ水鏡
闇に溶けてしまわぬように
十六夜の月
紫あじさい夢物語

私に水をくれる人
私に命を与えてくれる
あなたの笑顔が見たいから
想いの限りに咲き誇る

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【詩】あめあやめ

【詩】あめあやめ

あめやあやめや

あめあやめ

皐月の空のひと休み

濡れそぼつ街に

ポゥと灯る

あめやあやめや

雨 菖蒲