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フィルムクリップの選び方と代用

フィルムクリップをご存知でしょうか。
フィルムの自家現像をする際に使用する道具で、現像後のフィルムを乾燥させる際、乾燥でフィルムがカールしないように重さを掛けて吊るすのですが、その時に使うのがおもり付きのクリップ、通称フィルムクリップです。

今回は、僕が所有しているフィルムクリップの種類の紹介と、おすすめのフィルムクリップの選び方、フィルムクリップの代用品として使えるグッズの紹介をします。

フィルムクリップの種類

フィルムクリップにも種類があります。
と言っても、用途を使い分けるような違いではなく、メーカーの違いからくる僅かな構造の差のことです。
ただし、このわずかな差が非常に大事でもあります。

僕はネットオークションやカメラの中古屋で見つけて拾ってきたフィルムクリップを主に使っています。
1セットだけ新品をヨドバシカメラで買ったこともあります。
改めて種類を調べてみると、主にクリップの爪の構造の違いで3種類に分別することができました。

左ISE、中不明、右CHERRY
CHERRYのみ若干のデザインの違いがみられるが、裏面刻印は同じ

一種類目がこちらのタイプ。
外観はほぼ同じですがメーカー違いで3種類ありました。
恐らく製造は同じで販売元が変わったとか、そういう事情だと思われます。

クリップの爪部分。
この爪をフィルムに突き刺すことでツルツルのフィルムから滑り落ちないようにして固定します。
このタイプは爪の反対側がドーム型になっていて、フィルムを突き刺した爪が直接手指に触れない安全設計となっています。
後述する他2種と比べて、これが一番安全なタイプです。


LPL製。恐らく現行品と比較して旧型製品と思われる。

二種類目はこちらのタイプ。これが一番危険なタイプです。
先程のタイプと比較すると爪の部分のドーム部がなくなっていて、爪が剝き出しになっています。

最初はドーム部が剥がれ落ちたとかそういうものかと思っていましたが、どうもそんな感じでもなさそう。最初からこういう仕様な気がします。


LPL製。確か現行品。

三種類目がこちらのタイプ。恐らく現行のLPL製のフィルムクリップだったと思います。

こちらは爪の構造が他2種と異なっています。

比較
上2種が爪だけ起こしているのに対して
LPL現行品は爪のついたプレートごと90°曲げてある

上2種は洗濯ばさみ同様に面でフィルムを挟み込んだ上で爪を食い込ませる構造になっているのですが、こちらのLPL現行品は爪だけを突き刺す構造となっています。
これは使い比べてみるとよくわかるのですが、現行品は材質の板厚もしっかりとしていて変形しにくく、且つ確実に爪をフィルムに突き刺せる構造となっていて、さすが現行品と思わされる使い勝手の良さがあります。


フィルムクリップの良し悪し

フィルムクリップに善し悪しがあるのか、というお話なのですが、実はこれがあるのです。
広く言われている説ではありませんが、少なくともこれらのフィルムクリップを日々使っている中で、僕個人としては明確に良し悪しを感じるものがあります。

フィルムクリップはこのように、クリップを開いてフィルムを差し込んで使います。
その際、フィルムの表面が滑りやすく、クリップを挟んだだけでは滑り落ちる可能性があるので、爪をフィルムに貫通させて固定するのですが

このように、フィルムクリップの構造によっては貫通した爪が反対側に突き出してくるものがあります。

ただ挟んだだけではフィルムを貫通しないため、クリップ先端をぐっと押さえて”パチン”とか”プチッ”とか言って爪を貫通させなくてはならないのですが、その際にフィルムクリップの持ち方が悪いと、フィルムを貫通した爪が指を直撃して出血沙汰になることがあります。

これが非常に危険なことで、僕がフィルムクリップに対して感じる良し悪しというのは、この突き出た爪が安全に処置されているか否かというところなのです。

この点を踏まえて、上記3種のフィルムクリップをあらためて振り返ります。

現行品ではないですが、比較的中古でよく見るタイプのフィルムクリップです。爪が貫通しても手指に触れない構造をしており、非常に安全性が高いものとなっています。
ただし、古いものがおおいため爪先が丸まっていたり曲がっていてフィルムへの貫通力が弱くなっている場合が多く、多少の手直しが必要な場合があります。

一番危険なタイプ。中古市場でどれくらい流通しているのかわかりませんが、扱いには非常に気を付けるべきタイプです。
握りどころが悪いとフィルムを貫通した爪がそのまま指まで突き刺さります。

現行品のフィルムクリップ。
突き刺す性能が高いですが、クリップよりも爪が飛び出てくることがない構造のため、指を貫くリスクはかなり低いです(ほぼ無い)。
間違いなくこの3種の中でなら一番使いやすいのでお勧めです。


フィルムクリップの代用品

こういうわけで、どのフィルムクリップがおすすめかと聞かれると現行品のLPL製品がいちばんおすすめと答えるのですが、それにしても高価な製品なので、フィルムを吊るすだけの道具に何千円も払わせておすすめとは、なかなか言いにくいものもあります。

新品にこだわりがなければオークションやフリマサイト、中古店で探して入手する方がコストは抑えられますが、もしかすると不良があったり、多少工具をつかって手直しをしなければならないケースもあるので、それを承知できる人にしか、中古という選択肢も勧められません。

そこで、フィルムクリップの代用になるアイテムを紹介します。
僕が実際に自家暗室で今尚使い続けているものなので、一時しのぎではなく長く使い続けられるものだと思います。

カーテンクリップです。
キッチンの小窓とかに突っ張り棒を張って小さなレースカーテンや自作の布カーテンを吊るす用途で売られている、100均で購入したカーテンクリップです。
使い方は見たままの通りで、突っ張り棒に通して、そこにフィルムを挟んで吊るします。
下端には市販のフィルムクリップを使用していますが、いままでカーテンクリップが重さに負けてフィルムを落としたことはないので、固定力は充分あると思います。製品によって耐荷重量が表記されているものもあるので、500g以上の耐荷重があれば充分フィルムは吊るせます。

同様のクリップにおもりがついた、テーブルクロス用のウエイトがあります。
それをフィルムの下端に取り付けることでフィルムクリップ同様の働きをしてくれるので、わざわざ専用の暗室用品を購入せずとも割安ですませることができます。


筆者は100均で買ったものを愛用中

これらカーテンクリップやテーブルクロスウエイトを購入する際に選ぶポイントは、なるべくクリップの歯がギザ歯になっていて鋭いことです。
このギザ歯をフィルムに噛ませた後、”パチ”とか”プチッ”と歯がフィルムを貫通する音がするまでしっかりとクリップを押さえて”歯形をつける”ことで、フィルムの脱落を防ぎます。
そのために、クリップのバネが強くて摩耗や圧力にも強いステンレスやスチール製であることもお忘れなく。

突っ張り棒にカーテンクリップとテーブルクロスウエイトでフィルムクリップの代用が可能です。
これからフィルム現像を始める方や、まとまった数量が必要な時に、試してみてください。

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