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【第4回】プットオプションの基本と特徴

みなさん、こんにちは!いつも、こちらのnoteをご覧いただきましてありがとうございます。

前回はコールオプションについてお話をさせていただきました。今回は、もう一つのオプションであるプットオプションについて説明させていただきます。

今回も前回同様に盛りだくさんの内容となりますが、最後まで宜しくお願いします。

1)前回までのおさらい

前回、オプションは2つの種類に分けられることを説明しました。一つは、前回説明した『購入する権利』であるコールオプション、もう一つがこれから説明する『売却する権利』であるプットオプションになります。

また、オプションには買い手と売り手が存在し、買い手は権利を行使する権利を持ち、売り手は、それに応じる義務を持っていることを説明しました。

また、コールオプションの権利行使は、満期日の価格が権利行使価格よりも大きい場合に権利行使すると利益が出せることを学びました。

コールオプションの損益図ですが、コールオプションの買いの場合は、損失は限定され、利益は無限大。また、コールオプションの売りの場合は、反対に利益は限定され、損失が無限大になるのでしたね。思い出しました?

上図の損益図(コールを買った場合、売った場合)のグラフの形を頭でイメージできるようにしておくと、とても便利ですよ。理屈は後でもいいので、コール買いは上図青、コール売りは上図赤のグラフの形を、その都度イメージするようにしましょう!

2)プットオプションの取引例

それでは本日の本題であるプットオプションの説明をしたいと思います。プットオプションもまずはどのような取引になるか簡単に確認してみましょう。

ある方が以下のようなことを考えておりました。

今後、石油の価格が下がりそうだな… 現在の価格(100円/L)で石油を売る権利があれば、将来、価格が下がった場合に儲かりそうだな。『2か月後に100円/Lで売却する権利』を100L分購入したい。

それを聞いたもう一人が、以下のように考えました。

30円/Lをくれるのであれば、2か月後に100円/Lで売る権利を売ってもいいよ

そして、二人の思惑が一致したので、この取引は合意されました。

その後、2か月が経過しました。今年はとてもいい天気が続いております。そうです暖冬になっておりました。そして、現在の石油の値段を確認すると50円/Lと2か月前の半分の値段になっておりました。

そこで、100円/Lで石油を売る権利をもっている買い手は、市場で50円/Lで石油を購入します。そして、その購入した石油を100円/Lで売る権利を行使することにより、50/L円の利益を出すことができました。

ただ、事前にその権利を30円/Lで購入しておりますので、実際の利益は20円/L(50円/L-30円/L)の利益となりました。実際は、100L分購入しいますので2,000円の利益となりますね。

これがプットオプションの取引例になります。コールオプションは石油を100円/Lで買う権利でした。一方、プットオプションは石油を100円/Lで売る権利だったというわけです。

3)プットオプションの損益

それでは、コールオプションの時と同様に、満期日の石油の価格によって、プットオプションでは、どのような取引になるのか確認をしてみましょう。

【ケース1】満期日の石油価格が50円/Lの場合

ケース1ですが、これは今説明した取引例になりますね。石油の価格が半額の50円/Lとなりました。買い手は、100円/Lで売る権利を持ってますので、まず、市場から50円/Lで石油を購入します。

そして、その購入した石油を現在もっているプットオプションである「石油を100円/L売る権利」を利用して売れば、差し引き50円/Lの利益となりますよね。ただ、プットオプションを購入するときに30円/Lを支払っておりますので、20円/Lの利益というわけです。

一方、売り手は、市場で購入すれば50円/Lで買えるにもかかわらず、買い手がプットオプションの権利を行使したので、100円/Lで買わなければなりません。なぜなら、前回お伝えしたとおり、オプション売り手は、買い手が権利を行使した場合、それに応じる義務があるからです。

但し、事前に権利金(プレミアム)として30円/Lを受け取ってますので、合計で20円/Lの損失になるというわけです。

今回は買い手が利益を獲得するという結果になりました。

【ケース2】満期日の石油価格が120円/Lの場合

次に、ケース2の場合です。今度は石油の価格が2か月後に120円/Lになってました。この場合はどうなるでしょうか。

まず買い手の立場で考えます。市場価格が120円/Lです。もし、石油を持っていれば120円/Lで売ることができるのに、わざわざ100円/Lで売る権利を行使する必要はありませんね。

よって、買い手はこの権利を放棄します。これもコールオプションの時と同じで、オプションの買い手は、権利を行使する義務は持ってないので、有利な場合にのみ権利を行使すればよいのです。ただ、最初に権利金(プレミアム)を渡しておりますので、その権利金代(プレミアム)の30円/Lが損失となります。

一方、売り手の方ですが、無事、買い手が権利を放棄することになりましたので、最初に受け取ったプレミアムが利益となりました。

今回のケースでは売り手が利益を獲得したわけです。

【ケース3】満期日の石油価格が70円/Lの場合

それでは、ケース3です。今回は石油の価格が70円/Lになってました。この場合はどうなるでしょうか。

まず、買い手の立場で考えましょう。市場価格が70円/Lであるので、70円/Lで石油を購入して、100円/Lで売る権利(プットオプション)を行使すれば、30円/Lの利益となりますね。ただ、事前に払っている権利金代(プレミアム)が30円/Lですので、利益は±0となります。

売り手は、買い手が権利行使をしたので、これに応じる義務があります。市場から70円/Lで石油を購入して、それを100円/Lで売却しました。▲30円/Lの損失です。ただし、権利金代(プレミアム)が30円/Lを事前に受け取っているので、利益は±0となりました。

つまり、双方利益なしという結論になります。

満期日の価格(A)と権利行使価格(B)の関係

以上のことを纏めてみます。満期日の価格を(A)、権利行使価格を(B)とした場合、

満期日の価格(A)< 権利行使価格(B)の場合に権利行使

上記が成り立つ場合に、買い手は権利行使をしました。一方、満期日の価格(A)>権利行使価格(B)場合は権利を放棄したわけです。

コールオプションは満期日の価格(A)> 権利行使価格(B)で権利行使すると利益が得られたわけですが、プットオプションはコールオプションの逆になるわけです。

また、権利を行使した場合は買い手が利益、権利消滅した場合は売り手に利益がでました。

ただ、買い手は事前に権利代金(プレミアム)を支払ってますよね。つまり、プレミアム分だけ利益多く利益を出さないと結局、損益はマイナスとなってしまうわけです。

ここで重要な事は、プットオプションは満期日の価格(A)が権利行使価格(B)より小さい場合に権利行使すると利益が出ると言うことです。(正確にはプレミアム分プラスである必要がある。)

上図をご覧ください。こちらはコールオプションの際にも説明した図になります。一番上のメモリは満期日の原資産(今回は石油)の価格になります。

コールオプションでは、満期日の価格(A)>権利行使価格(B)の場合、つまり、(A)-(B)がプラスの場合に権利行使をしておりましたが、プットオプションの場合は逆で、満期日の価格(A)<権利行使価格(B)場合に権利行使を行いますと利益が得られるわけです。逆に(A)-(B)がプラスの場合(0含む)は権利放棄となり、売り手が利益を得ることができます。

ただし、プレミアム(C)を買い手は事前に支払っておりますので、このプレミアム(C)以上の利益を上げないと買い手は利益にならないわけです。

これを纏めると下図のようになります。

ケース1の場合、つまり、満期日の価格(A)が権利行使価格(B)からプレミアム(C)を引いたものより小さい場合、この場合は買い手の利益となります。

ケース2の場合、つまり、満期日の価格(A)が権利行使価格(B)からプレミアム(C)を引いたものより大きい場合、この場合は売り手の利益となります。

ケース3の満期日の価格(A)が権利行使価格(B)からプレミアム(C)を引いたものと同じ場合は、どちらも利益がないという結果になるわけです。

プットオプション買い(Holder)の損益図

これまでの内容をグラフで確認してみましょう。まずは、プットオプションの買い手の場合の損益図です。縦軸に損益、横軸が満期日の株価になります。

①満期日の価格(A)>権利行使価格(B)の場合
この場合、満期日の価格(A)が権利行使価格(B)より高いため売る権利を放棄することになります。よって、最初に支払ったプレミアムが損失となります。

上図において、満期日の価格(A)が権利行使価格(100円/L)以上の場合、30円/Lで損失が一定となっているのが確認できます。

②満期日の価格(A)=権利行使の価格(B)-プレミアム(C)の場合
この場合、満期日の価格(A)が権利行使の価格(B)より低いので買い手は売る権利を行使します。権利行使して得た利益と事前に支払ったプレミアムが同額であるので利益はゼロとなります。

上図において、満期日の価格(A)が70円で利益が0円、70~130円の間は、買い手の損益がマイナスになっているのが確認できます。

③満期日の価格(A)<権利行使価格(B)-プレミアム(C)の場合
この場合、②のケース同様に買い手は権利行使をして利益を獲得します。また、支払ったプレミアムを差し引いても利益となります。

上図において、満期の価格(A)が権利行使の価格(B)からプレミアム(C)を引いた70円/L以下であれば、利益が出ていることが確認できます。

つまり、プットオプションにおいては、権利行使の価格(B)からプレミアム(C)を引いた価格が損益分岐点となります。

このように、プットオプションの買い手は、損失が限定(支払ったプレミアム)であり、また、獲得する利益は無限大という特徴があります。

プットオプション売り(Writer)の損益図

次は、プットオプションの売り手の場合の損益図です。先ほど同様に、縦軸に損益、横軸が満期日の株価になります。

①満期日の価格(A)>権利行使価格(B)の場合
この場合、満期日の価格(A)が権利行使価格(B)より高いため買い手は売る権利を放棄します。よって、最初に支払ったプレミアムが売り手の利益となります。

上図において、満期日の価格(A)が権利行使価格(100円/L)以上の場合、30円/Lで利益が一定となっているのが確認できます。

②満期日の価格(A)=権利行使の価格(B)-プレミアム(C)の場合
この場合、満期日の価格(A)が権利行使の価格(B)より低いので買い手は売る権利を行使しますので、その同額を売り手が損失を負うことになります。権利行使により支払った損失と事前に受け取ったプレミアムが同額であるので利益はゼロとなります。

上図において、満期日の価格(A)が70円で利益0円、70~130円の間は、売り手の損益がプラスになっているのが確認できます。

③満期日の価格(A)<権利行使価格(B)-プレミアム(C)の場合
この場合、②のケース同様に買い手は売る権利行使して利益を獲得しますので、その同額を売り手が損失を負うことになります。ただし、受け取ったプレミアム(C)がありますので、それを加えたものが売り手の損失になります。

上図において、満期の価格(A)が権利行使の価格(B)からプレミアム(C)を引いた70円/L以下であれば、損失が出ていることが確認できます。

このように、プットオプションの売り手は、利益が限定(受け取ったプレミアム)であり、また、損失は無限大という特徴があります。これはコールオプションと同じになります。

4)2種類のオプションと4種類の売買

これまでのコールオプションとプットオプションを纏めてみましょう。下図をご覧ください。

まず、オプションにはコールオプションとプットオプションの2種類のオプションが存在します。そして、それぞれのオプションには、買い手と売り手が存在します。つまり、2種類のオプション×2種類の売買で、4種類の取引があるわけです。

オプションの買い(コールでもプットでも)は、損失限定・利益無限大。オプションの売り(コールでもプットでも)は、利益限定・損失無限大となります。

5)まとめ

以上、本日はプットオプションの説明をさせていただきました。下記のまとめをコールオプションと比較しながら理解してくださいね。

前回のコールオプション、プットオプションは話の内容が似ているので、最初は混乱することもあるかと思いますが、本日の講座までを理解できれば、オプションの基本をほぼ理解したと考えて結構かなと思います。

「買う権利を売る」、「売る権利を買う」等、多少頭が混乱する部分があると思いますが、時間が建てばそのうち覚えてますので大丈夫ですよ。ちなみに「買う権利を売る」の最初の買うは原資産を買う、最後の売るはオプションを売るという意味です。つまり、「石油を買う権利であるコールオプションを売る」ということです。

本日も最後まで御覧いただきましてありがとうございました。次回の記事も御覧いただければ幸いでございます!

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