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【ガンマトレード①】ガンマの基本を習得しよう!

みなさん、こんにちは!いつも、こちらのnoteをご覧いただきましてありがとうございます。

久しぶりの『米国株オプション取引入門(補講)』の更新となります。今回のテーマは『ガンマトレード』です!ガンマ(γ)と言えば、グリークスの中でも一番取っ付きにくい印象があるのではないでしょうか?実際、私も最初は分りづらくて嫌いでした。

ただ『オプションを買うことはガンマを得ることと同義』という言葉が、オプショントレーダー界隈では有名な言葉となっており、ガンマ(γ)を理解することはとても重要なことであり、オプショントレードの魅力でもあります。

私も最近ようやく「オプションの買い=ガンマを得る」の意味を体感的に理解することができましたので、今回あらためて、皆さんに説明をさせていただきたいと思います。

1)ガンマ(γ)とは

グリークスの最低限の基本については、米国株オプション取引入門の第13回目で説明をさせていただきました。

一番つまらない話だと思うのですが、意外にも「スキ」のクリックが多くて驚きでした。まずは、ガンマ(γ)について簡単に復習をしておきましょう。

ガンマ(γ)の特徴

ガンマ(γ)の定義ですが、ガンマ(γ)とは株価の変化に対するデルタの変動率という意味になります。例えば、ガンマが0.05で合った場合、株価が100ドル上昇すると、デルタが5増えるということになります。また、ガンマの特徴を箇条書きにすると以下のとおりとなります。

特徴① 必ず正の値を取る
特徴② ATMで最大値となり、FOTM、DITMではゼロに近づく
特徴③ 残日数が減るにつれて、ATMでの値が大きくなる
特徴④ ボラティリティが低いと値は大きくなる

 ガンマ(γ)の特徴

それぞれの特徴を確認していきましょう。

特徴① 必ず正の値を取る

まず最初の特徴ですが、ガンマ(γ)は必ず正の値を取ります。コールもプットも正の値となります。※ちなみに、ベガも必ず正の値ですよね。

下記画像はSPY(S&P500ETF)のオプションチェーンのとなります。両端にガンマ(オレンジ色数値)が表示されておりますが、コールもプットも正の値になっていることが確認できます。

【出典】Market Chameleon

ガンマ(γ)の数値が常に正であるということは、コールであろうとプットであろうと、オプションを買った場合は常にガンマ(γ)がプラスのポジションを持つという意味になります。逆に、コールやプットを売った場合は、ガンマ(γ)がマイナスとなるポジションを持つということになります。

具体的な例で確認してみましょう。下記はSPYの権利行使価格390ドルのプットオプションを買った場合の建玉のグリークスとなります。

390Pロングの建玉グリークス

プットオプションであるのでデルタ(δ)は常にマイナスです。また、ガンマ(γ)、ベガ(V)がプラスになっていることも確認できます。セータ(Θ)は、常にガンマ(γ)と相反する性質を持ちますので、符号はマイナスとなります。

今度は、同じ390Pをショートした場合の建玉のグリークスを確認してみましょう。

390Pショートの建玉グリークス

ショートポジションでは、建玉欄を「-1」と表記するケースが多いです。ロングした場合と比較すると、すべて符号が反対になっていることがわかります。つまり、ロングポジションに建玉の「-1」を掛けたものが建玉のグリークスとなるわけです。

纏めると、通常オプションチェーン上で表示されているグリークスはロングした場合のグリークスが表記されており、ショートした場合は、符号を反対にして考えることになります。

オプション自体が持つグリークスの表記と自分の建玉のグリークスの表記で考え方が異なりますので、注意してくださいね。

特徴② ATMで最大値となり、FOTM、DITMではゼロに近づく

下図はガンマ(γ)と株価の関係を図示したものとなります。縦軸がガンマ(γ)、横軸が株価となります。権利行使価格100ドルのコールオプション(100C)のガンマ(γ)が、株価が変化した場合にどのような数値になるかをグラフ化したものになります。

例えば、株価が100ドルの場合、100CはATMであり、ガンマの数値が最大値を取ることが分かっております。また、株価が150ドルまで上昇した場合は、100CはDITMとなり、その時のガンマ(γ)はゼロに近づいていくことになります。株価が50ドルと大きく下げた場合(FOTMの場合)も同様にゼロに近づいていく性質をもっております。

特徴③ 残日数が減るにつれて、ATMでの値が大きくなる

下記は、LEAPSの特徴を説明した際に用いたグラフです。こちらのグラフも縦軸がガンマ(γ)、横軸が株価となります。

このグラフから、満期までの残日数が少なくなるにつれて、ATMのガンマ(γ)の値が大きくなっていくことがわかります。反対に、FOTM、DITMのガンマ(γ)は、小さくなっていくことも重要な特徴となります。

これはとても重要な特徴であるので、なぜ、そうなるかのイメージを持っておくと便利ですので、私のイメージをお伝えしておきますね。

ATMでガンマ(γ)が最大値になるイメージ
例えば、100Cの満期が残り10秒としましょう。その時の株価が100ドルであったとすると、100CはATMであり、ATMはOTMの一種であるので本質的価値を持ちませんから、株価が変わらなければ10秒後にはプレミアムがゼロになります。

しかし、満期まで残り1秒の段階で、株価が100ドルから101ドルに上昇したとします。10秒前までは100Cの価値はゼロになる可能性が高かったのですが、1秒前になって本質的価値1ドルを獲得する可能性が高まったのです。

0ドルで終わる可能性が高かったものが、1ドルの本質的価値を持つことになります。つまり、株価が1ドル上昇することにより、1ドルのプレミアムが得る可能性が高まったということです。これは、デルタ(δ)≒1.0であることと同義です。

ATMのデルタ(δ)は通常0.5であるので、デルタ(δ)が1になるというのは、とても大きな数値です。つまり、満期直前のATMではガンマ(γ)の力で一気にデルタ(δ)を押し上げる力があるということです。逆に、101ドルであった株価が100ドルになると、本質的価値がゼロになりますので、デルタ(δ)を一気に押し下げる力があるわけです。

このように、ATMでは本質的にガンマ(γ)を押し上げる力が最大であり、かつ、満期が近いとより最大化するということです。

FOTM、DITMでガンマ(γ)がゼロになるイメージ
ATMでガンマ(γ)が最大になるイメージが理解できれば、FOTM、DITMでガンマ(γ)がほぼゼロになるイメージは湧きやすいかなと思います。

先ほどの例と同様に考えてみましょう。満期まで1秒という状態で、株価が50ドルであった場合、100CはFOTMになります。当然、100CはOTMになりますので、残り10秒以内に、株価が50ドルより多く上昇しないと価値はゼロになります。当然、そのようなケースは起こりにくくなりますので、多少株価が変動してもデルタ(δ)は変化しません。つまり、ガンマ(γ)がゼロに近いということです。

DITMの場合も同様に考えることができます。満期まで残り10秒という時点で、株価が150ドルとなっていれば、100CはITMで終わる可能性が高まります。株価が151ドルになれば、100Cのプレミアムは51ドルになるでしょう。つまり、デルタ(δ)≒1.0の状態であり、ガンマ(γ)でデルタ(δ)押し上げたり、押し下げたりする力はさほど必要がないということです。

ただ、万が一、株価が150ドルから100ドルに急落したりすると、100CはATMになるので、本質的価値50ドルを持っていたものが、ゼロになる可能性が高まることになるので、ガンマ(γ)によって、一気にデルタ(δ)を押し下げる必要がでてくることになります。

このようにガンマ(γ)は、株価の変動で、ATMから近づくか、もしくは離れるかによって、とても変動するということを理解してください。

直感的に、自分が持っているオプションの権利行使価格に株価が近づいてきた場合は、ガンマ(γ)の数値が大きくなるんだな!と思うようにしてください。

特徴④ ボラティリティが低いと値は大きくなる

ガンマ(γ)とボラティリティの関係については、これまで説明してきませんでしたが、こちらも重要な特徴なので、この機会に覚えておきましょう。

下記グラフは、異なるボラティリティ(IV:インプライド・ボラティリティ)の時のガンマ(γ)の値をグラフにしたものです。こちらのグラフも縦軸がガンマ(γ)、横軸が株価となります。

このグラフ自体は、異なる満期のガンマの比較と似てますね。(まあ、同じグラフ使ってますがw)当然、ATMでガンマ(γ)が最大となることは、これまでの説明のとおりですが、このグラフを確認すると、ボラティリティ(IV)が低い場合の方がガンマ(γ)の値が大きくなっていることが確認できます。

この関係を意外と感じた方もいるかもしれません。私も『ボラが大きい⇒相場の変動が大きい⇒ガンマ(γ)が大きい』というような印象があり、最初はなかなかイメージが湧きませんでした。こちらについても、私のイメージをお伝えしてきますね。

ボラティリティ低い=ガンマ(γ)の値が大きいイメージ
これは結構単純に考えていて、ボラティリティが大きいということは、株価の変動が大きいことと同意ですので、逆に考えると、ガンマ(γ)の力は必要ないということです。

ボラティリティが大きいということは、ベガ(V)によるプレミアムの変化が大きいということです。

ベガ(V)について簡単におさらいしますと、ベガ(V)はボラティリティが変化したときのプレミアムの変化のことであり、ボラティリティが大きいとベガ(V)の値が大きくなるという性質があります。(※但し、ATMのベガ(V)は一定)

つまり、ボラティリティが大きい場合は、ベガ(V)によるプレミアムを増減する力が大きく、逆に、ボラティリティが小さい場合は、ベガ(V)の値が小さいので、ガンマ(γ)によるプレミアムを増減する力が大きいということになります。

ちょっと難しいでしょうか?私は『ボラが大きい時はベガ(V)が頑張って、ボラが小さい時はガンマ(γ)が頑張る!』とイメージしてます。

2)まとめ

今回はガンマトレードの紹介前にガンマ(γ)について復習を兼ねて説明をしてみました。「ガンマ(γ)がどのような変化になるのか?」という説明は学者の方にお願いするとして、我々オプショントレーダーは、ガンマ(γ)の性質を理解してトレードすることが重要かと思います。

下記のガンマ(γ)の特徴をもう一度確認しておいてくださいね。

次回は、いよいよ「ガンマを得る」ということがどういうことか?について説明をさせていただきます。

本日も最後まで御覧いただきましてありがとうございました。次回の記事も御覧いただければ幸いでございます!

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ありがとうございました!