見出し画像

人生の夏休み(詩)

夏休みには形がなかった
日時計の錆は滲んでいた

都会には生活がなかった
予定があるだけだった

線は真っ直ぐ続いていた
僕は上手く乗れなかった

深夜の風が気持ちよかった
生きている事が嫌になった

夏休みには形がなかった
今は予定の詰め物ばかりだ

夏休みだって予定が入った
それは決して一つじゃなかった

深夜の風が気持ちよかった
生きている事が嫌になった

腹を出して眠りたくなった
風邪をひく事は許されなかった

僕には労働が向いてなかった
けど働くのは義務になってた

深夜の風が気持ちよかった
生きている事が嫌になった

まともな人間になれなかった
急には人は変われなかった

そろそろメッキが剥がれていた
僕はぼんやり夏休みの事考えてた

人生には夏休みが必要だった
それは永遠に続くものだった

目を閉じればいつでも入れた
迷い込んだらおしまいになった

夏休みには形がなかった
日時計なんか必要なかった

Amazon.co.jp: 過去に失望なんかしないで (Dustpan) 電子書籍: 村井ちりとり: Kindleストア

短編集「過去に失望なんかしないで」発売中!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?