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夏っていうから

もくもく雲は白過ぎる、ひかる青のスクリーン

ストローをさすときまって溢れるクリームソーダ、マスターのしゅわしゅわ片恋慕

ひとつの海に並ぶ白のワンピース、壁掛けのカレンダーは永遠(とわ)の七月

きみはすぐに夏のせいにしたがる、だまって棒アイス食べたらいいのに

虫刺されのあとをかぞえる、愛しかわいい武勇伝

蝉は苦手よ、ほらちょっとだけ切なくなるから、ほんとは突然飛ぶからだけれど、これも夏のせいってことで

線香花火でだけ叶う恋があったっけ、火をつけちゃうなんてずいぶん寂しがりなのね

夏の匂いはお祭りの音、たこやき、やきそば、しゃんしゃんしゃん

あんな夏やこんな夏、あれこれそれどれ?思い出しちゃってわんわんわん

あの子の浴衣はなにいろだったかしら、やあね、気にしてなんかいないのよ

ファーストキスは冷やしパイン味、三ツ矢サイダーで濁しちゃった味、ふりふりポテトはコンソメ味

夏が透けていく、走馬灯にうつらないようなじりじりとした空白を過ぎていく

夏のせいにしないでほしいの、ぜんぶわたしのせいにしてほしいの

ほんとはちょっと冬が恋しいの、手を繋いでいたいの

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