見出し画像

ハタチの憂鬱

机に齧り付いて、角の折れた参考書に夢中になっていたのは、遥か昔。
スカートは長く、髪は短く、朝は早く、黒いリュックは登山用。

自由が欲しかった。
適当な時間に起きて適当な時間に寝たかった。
どんな家具をおいても、匂いをさせても、
誰を呼んでもいい場所が欲しかった。
あわよくば誰もが知るそれを
自分の名前と組み合わせて自慢げに歩きたかった。
真夜中に煌々と光るネオンが本当はどんな色か見てみたかった。

実際のところ、手に入れてみればなんだか呆気なく、ただ淡々とすぎる毎日の中に少しの憂鬱と発見があるくらいで、一か月前のことなど覚えていない。

美味しかったものは、インスタグラムで確認してね。

大学生になって3年目。
サンジョ、なんて異名を与えられて、それらしい服を買うにはお金がかかる、酔えば早めに水を飲み、余裕のフリをして財布を開くようになった。

知ってた?みんな時給は一緒なんだって。先輩って魔法使いなんだよ。だから大丈夫。

せっかく手に入れた所属。あんなにも輝いてみえた海の中に、ぷかぷかと浮んでいる。欲しいものを手に入れるのは簡単じゃなかったはずでしょ?

どうやら、この世界はなんでも賞味期限があって、溶けて消えてなくなってしまうらしい。遥か昔の私が掴み取った今の、この場所も。次を見つけなきゃね、今の私。

流れてくるのは、辛さ?難しさ?現実?

好きなことは食事入浴睡眠だし、
好きな人が生きててよかったになる毎日をつくることがミッション。
私が大学生活で頑張ったことですか?面倒くさい恋愛を捌くことです、人間関係には自信あります、あとはコミュニケーション能力なんて有り余るほどです。にっこり。
そうそう、私が何者かと言いますと、超絶可愛い愛されキラキラ女子大生(迷走の場合あり)です。

憂鬱は尽きず、希望は溢れやすく。
なんかどんより曇ってるな、山手線。

この世の多くがハタチで歓喜し、祝福され、どん底へ落とされ、泣き喚き、救われ。
何もない人生なんてつまらないなんて、
本当にそうなのだとしたら
幸せ多めでお願いいたします。
御社が第一志望です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?