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教える聖書箇所にある神様の目的

(参照:創造的な聖書の教え方9章「ギャップを埋める」)

聖書を教える目的を、自分の目的とすげ変えてはならない。神の目的を知ることから始めよう。

こちらの続き。




「聖書を教える現場で、聖霊がどのように働いてくださるか、そのときになってみないとわからない・・・・だから事前の準備は不要。」 

そのように考える人は、たぶん、カリキュラムも作成しないだろうし、利用しないだろうし、準備なしでクラスに臨むだろう。けれども私たちは、カリキュラムの準備のときから働いてくださっている聖霊を信じ、クラスでのお話準備をしている時にも働いてくださる聖霊を信じる。かなり詳しい想定問答集を、クラスの子供たちの顔を思い浮かべつつ、祈りつつ、作成するときにも、聖霊が働いてくださっていることを信じている。

それは、語るべき内容を、まず、自分自身が実践しているかどうかを探られるときでもある。自分が悔い改めずしては、他人に語ることはできない。限られた聖書箇所が、どのような内容を持っているのか、何を目標としているのか、まず自分が受け止めて、自分が造りかえられる事を経験して、はじめて、確信を持って語ることができる。

「人生のおもな、最高の目的は何ですか」という問いがプロテスタント改革派教理問答書の最初に掲げられている。「目的」を明確にすることは、ぶれない人生の今を歩むために重要な要素。どう生きるかを聖書から教える上で、聖書箇所の目的を明確に把握してそれを伝えることは、忍耐を要する仕事だが、避けて通れない部分。

教えることは、教師自身も一人の弟子として聖霊の導きに従っていることであり、生徒と一緒に歩んでいる者としてそのあかしをすること。

教授目標の開発

聖書を読むにあたり、私たちは、御言葉によって生活が変えられることを常としているか。ただ知識を得ることだけに終始していないか。実践すべきことを聖書から読むことが習慣づいているとき、聖書を教えることもまた、そのように教えられるべきであることが、自然に身についていく。

「わたしのこの命令は、清い心と正しい良心と偽りのない信仰とから出てくる愛を目標としている。」(1テモテ1:5)
「また人知をはるかに越えたキリストの愛を知って、神に満ちているもののすべてをもって、あなたがたが満たされるように、と祈る。」(エペソ3:19)
「わたしたちすべての者が、神の子を信じる信仰の一致と彼を知る知識の一致とに到達し、全き人となり、ついに、キリストの満ちみちた徳の高さにまで至るためである。」(エペソ4:13)
「しかし、堅い食物は、善悪を見わける感覚を実際に働かせて訓練された成人のとるべきものである。そういうわけだから、わたしたちは、キリストの教の初歩をあとにして、完成を目ざして進もうではないか。」(ヘブル5:14-6:1)
「あなたがたは、この世と妥協してはならない。むしろ、心を新たにすることによって、造りかえられ、何が神の御旨であるか、何が善であって、神に喜ばれ、かつ全きことであるかを、わきまえ知るべきである。」(ローマ12:2)
「しかし、御霊の実は、愛、喜び、平和、寛容、慈愛、善意、忠実、柔和、自制であって、これらを否定する律法はない。」(ガラテヤ5:22,23)

教授目標に焦点をあわせる

毎回の学ぶべき聖書箇所は、全体の中のごく一部。その積み重ねによって、全体の目標が達成される。全体のテーマと目標を理解し、把握することは、教師の学びの第一である。

その上で、各箇所で示されているその部分に特徴的なテーマと目標とを理解するように努めなければならない。

小事に忠実であり続けることが、大事に忠実であることだ。

授業目標の種類

(1)内容の目標:何を知るべきか

「わきまえる アナクリノー(1コリント2:15):識別する才能を信者は神との和解した関係によってすべてのことを識別する才能を潜在的に持っている」「見分ける ディアクリノー(ヘブル5:14):すべての信者にとって才能であるものが成熟した者において能力となっている)」べき事柄、が、数多く、聖書に教えられている。第一は、情報が伝えられること。

聖書全体に対する組織的な理解が積み重ねられるような学びの継続が必要。

(2)インスピレーションの目標:心を突き動かすのは何か

イエス・キリストの福音が、信じるものに救いを得させる力を与える(ローマ1:16)。御言葉を聞いて信じる原理は、すべての聖書箇所に適用される。「御言葉」が主イエス・キリストの権威によって与えられ、罪人に適用されるように伝えられていることは、福音によって確信させられる。

その理解のうえに、各聖書箇所が伝えている、神の愛に応答するようにという、心を動かす目標がある。神の心を理解し、受け止めるような聖書理解が大事である。

(3)応答の目標を立てるために実際に何をすべきか

マルコ10:21(13-27)

 A.その聖書箇所の目的を理解する

 文脈に沿った理解
 (生徒が「持ち物を売り払う」が目的ではない。「良い行いをする、良い行いをしている自分、物質的に恵まれている自分を信じる」ではない、救いを与えるイエス・キリストに信頼する。)

 B.学習者に対する意味合いを理解する

 学習者の年齢相応の生活状況を把握し、その文脈に沿って聖書箇所の意義を考える。
   生徒の日常生活をできるだけ知る努力をする。家庭訪問、個人的な会話
 (マルコ10:21、イエス様に信頼することと別に、救いをもたらすものとして信頼しているものがないだろうか;これがあったら安心、というものは何か)

 C.応答の目標を書き留める

 短く、覚えやすい文で
 (マルコ10:21、本当に安心できるのはイエス様に信頼することによる)

 *自分を含めて、クラスのみんなに共通した目標を考えられるだろうか。


目標達成のための教案の構成

先に、コロサイ1:9,10で見た、授業の段階に従った教案を作成する。限られた時間内で、最大限の効果を願って準備する。不要な言葉を極力排する。無駄なおしゃべりをしている時間はない。

4つの段階

A.釣り針(FOOK)

1.授業のスタート。直前までのさまざまに分散している思い、考えを捨てさせる。すべての参加者が可能な方法を用いて、これからのことに集中させる工夫をする。参加型の活動をさせることも一法。(7章A1)

例)「先週は・・」あるいは、先週欠席した生徒がいるかもしれない。前回の内容を引用することが必要であれば、今回の内容目的に沿ったことだけに焦点を当てて、引用する。

2.この聖書箇所に示される目的に沿って、学習者が強い動機を抱いて御言葉を学びたいという意欲を掻き立てる時間。なぜ学ぶのか。自分にとってなぜ大切なのか。生徒が達したいと思う目標を設定して、期待感を促す。(7章A11)

例)「今日の聖書箇所はカリキュラムで・・・となっている」人為的に決めたスケジュールで授業をしているのではない。今日、語るべき内容、目的が、神から与えられているから、それを語る、という確固たる姿勢で、語らなければならない。

3.聖書に、解決のための必要な情報があることを知らせ、神様に聞きたいという気持ち、御言葉を熱望する気持ちを促す。

B.聖書(BOOK)

目的に沿って、聖書箇所の理解を促す。

論述、視聴覚教材、学習者の理解度にふさわしい方法をとりつつ、参加しているすべての学習者が必要な理解に到達するようにする。

理解できているかどうか、確認する。

限られた時間内で、学習者が理解できる内容は、非常にわずかであるかもしれない。物語をすることに時間を費やし過ぎないように。全体の授業時間の中で、聖書の理解を得させる部分は、大きすぎては、次の段階に至らないままに終わる可能性もある。分量をよく検討しておく必要がある。

(7章B、ピリピ書の比較的長い箇所を一回で済ませるためにグループに分ける)

C.洞察(LOOK)

聖書内容を学習者が理解できるようにという祈り以上に、適用に関して目が開かれるようにという祈りは重要。該当聖書箇所が、どのような意義が自分にあるのかを、学習者一人一人が自覚するように促す時間。

(7章C32-51)

学習者たちの生活については、教師はごくわずかしか知りえない。どのような状況の中にあるのか、それぞれに語らせる時間をとる。それが各自の自覚を促す。

聖書箇所の目標にしたがって、あらかじめ、質問事項を用意しておく。

聖書理解を、実際的な部分にまで突っ込んで考えることにこそ、聖霊の助けが必要。聖書の正しい理解のために祈る以上に、学習者たちが自分自身の生活を自覚して真理を受け入れるように、祈る必要がある。その祈りと共に、クラスの指導準備を進める。

D.効果(TOOK)

聖書で教えられたことにしたがって、具体的に、どんな行動を起こすか。今週のうち、いつ、どこで、何をするか。そこまで、学習者たちが決定し、計画するように、教師が促し、導く。日時まで細かく質問しながら、計画を立てあげることの手助けをする。

人は、聖書を読んだだけで具体的な行動を自ら計画していけるほど、霊的に進歩していない。訓練されなければならない。それが、クラスでなされるべきこと。

最後にクラスで、学習者たちがお互いに作った計画のために、互いに祈りあう時間をとることも有効。教会とは、互いに励ましあい、祈りあい、助け合う集まりであることを、クラスで実践する。もし、週の半ばに行われる祈祷会で、実践の経過報告がなされるのであれば、なお、強い動機付け、励ましとなる可能性がある。

クラスの仲間同士が、互いに裁きあうのではなく、主にともどもに期待しながら祈りあえる者となれば、さらに、御言葉に従って変化していける可能性は大きくなる。

単元の構成

4つの段階が、1回のクラスの中ですべて行われる場合。2回とか4回とかにわけて、行われる場合がある。小さい子供の場合は特に、多くのことを押し付けることは無意味である。

毎日集まれる環境にある子供たちであれば、4つのステップを、毎日少しずつ進めることも可能。内容により、相手によって、臨機応変に組み替えることは可能。

授業構成の利点

授業方法を確定する:各部分でなすべきことを把握していたら、比較的楽に決められる。

計画立案を容易にする:授業の流れを思い描いて、語るべきこと、質問すべきこと、視聴覚教材などの準備、等、それぞれの部分に従って決めやすい。


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