見出し画像

一番好きな人とは結婚できなかった

昔、恋愛小説で有名な女性作家が「男性の言葉がネタになることが多い」とインタビューで答えているのを読んで、とても納得したことがあります。
私自身、恋愛の話で印象に残ってるのは圧倒的に男性の言葉だからです。女性はあまり残らない。
別に彼女たちの話がつまらないわけではなく、彼女たちは私と似たような考え、つまり共感の連続になるから、その場では盛り上がるけど忘れてしまうんでしょう。
それに対し、男性の話は「そんなこと考えるの?」と驚かされるし、インパクトも大きい。
今でも忘れられない言葉が多くあります。

例えば……

「そういうとき、女は男に怒ってほしいもんじゃないのか?」


誰の言葉かは書きませんが、彼のご両親の話をしていたときに言われました。
これは今でも私にとって答えがでない謎のままです。

詳しい事情は書けないので、よくありそうな例え話に置き換えます。実際の話はもっと複雑で、女性にもっと都合のいい展開になっていますが。

他に好きな人ができたという理由で、家庭を離れ、別の男性のところへいった女性がいます。夫に非はないです。あくまで女性の勝手な恋愛です。
でも女性は後悔し、結局、夫のもとに戻ってきます。
そのとき、女性は夫にどういう態度をとってほしいものでしょうか。

彼のお父様は何も言わず、ただただ受け入れたそうです。
私はそれがとても立派なことだと思ったんですよ。「あなたのお父様はすごいね。なかなかできることではないわよ」と。

でも、彼は否定的でした。

「そうかな。母は父のそういうところが寂しかったんだと思う」

最初は意味がわかりませんでした。
理解できない私に、彼が続けて言ったのが上記の言葉です。
彼のお父様の行動は、愛ゆえだということは彼もよくわかってはいるのですが、そこに男女のすれ違いを見たんでしょう。

「あなたにそういう『愛している』は伝わる?」と言われて、気持ちが揺らぎました。

子育てをして気が付いたのですが「怒る」「叱る」は好きだからできる行動でもあるんですよね。
「好き」の反対は「嫌い」じゃなく「気にならない」だからです。

私ならどうしてほしいだろうと考えるんですが、実は今もわかりません。

「一番好きな人とは結婚できなかった」


これ、実は三人ぐらいに言われました。
ちょっと!あなたたち!そういうこと私に言うのやめてよ。
違うもん、夫は私が一番好きだもん(笑)

失礼しました。

顔がよくて、国体に出るぐらいスポーツが得意で、名門の国立大学を卒業して、誰もが知ってる一流企業に就職して、結婚して子供に恵まれて、出世街道まっしぐらの高年収。
彼のこと「すごっ、全部もってる」(←俗な感想ですみません)と思ってました。
あるとき、恋愛のことで落ち込んで、ぐずぐず泣いて私が彼を羨んだことがあります。
「あなたはいいな。私とは全然違う」みたいなことを言ったと思います。よく覚えてないですが、みっともないですね~(恥)

「僕にだって大きな失敗もあるし、今も後悔してることだってあるよ」と言われました。
「あなたにもそんなことあるの? 例えば何?」ときいたら、上記の言葉を言われました。

恋愛は不思議なもので、どんなに完璧な人でも上手くいかないときはある。
いや、むしろ彼らはモテるがゆえに恋愛には苦しんでいた気がします。
恋愛は相手あってのこと。
自分の意志ではどうしようもできないことを最も学べるのは、健康と恋愛かもしれません。

ところで、私が感心したのは彼らに言われるまで全く気がつかなかったことです。
彼らは奥さんを大切にしてるし、家族に何不自由ない生活を送らせようと頑張っています。家庭をとても大事にしている。
奥さんは、まさか彼らが私にそんなことを話しているなんて夢にも思ってないでしょう。

彼らは見事に隠してる。

彼らをみて、できる男性は行動力のような「動の力」が大事だって思ってましたが、案外、忍ぶ力といった「静の力」が重要かもしれないと思わされました。

あっ、あとですね。

「僕、一番好きな女と結婚できた~」なんて言われたら、完璧すぎてちょっとムカつくので恋愛でそれぐらいの影があってくれてもいいわね、と意地悪な私は思いました(笑)

ごめんなさい。反省してます。
これからもよろしくね(ニコッ)