凛子

小説と映画、そして書くことが好きです。 昔のことをどんどん忘れているようなので、古今問わず失いたくない大事な記憶を記していこうと思います。

凛子

小説と映画、そして書くことが好きです。 昔のことをどんどん忘れているようなので、古今問わず失いたくない大事な記憶を記していこうと思います。

マガジン

  • ヨーグル殿の13人

    昔、趣味で小説を書いていました。私が書くきっかけとなったある小説家のこと、彼から学んだこと、彼との昔と今を書いていきます。

最近の記事

娘よ、フレミングの左手はかっこいいぞ

写真をイラスト加工してくれるアプリを見つけたので、いろいろ試してみました。 私のアルバムは大半が娘との写真なのですが、久々に眺めてみて「娘、大きくなったな~」としみじみ。 娘が小学一年生のころの写真。 撮影した夫が、この写真をすごく気に入って長らくスマホの待ち受け画面にしてました。 娘も今や中学生。 外食のときは私と娘が隣同士。向かいに夫が座り、私と娘の写真を撮るのがお決まりになってます。 私たちの写真は、やたらにピースサインが多いことに気がつきました。 ピースサインば

    • 僕は陰キャ

      前回の記事の続きです。 子供同士の喧嘩から、微妙な関係になってしまったママ友のYちゃん。 Yちゃんとのことをキョウに相談しようと思ったら、突然、彼女との関係がママ友の域を出なかったように、キョウとの関係も大学時代から進化がないのでは?と、実に私らしいネガティブ思考にまみれた記事になった。 その記事を読んだらしいキョウから、夜にlineが届いた。 長いlineだったが、そこにはこんな言葉が記されていた。 「僕は陰キャだ」 ?陰キャって、ちょくちょく耳にする言葉だね。 対義

      • ありがとうとさよなら(後)

        いつごろからだったか。 悩みがあるとキョウに連絡する癖がついた。 落ち込んだり哀しいことがあったら、キョウにメールしたり、今はlineを送る。 キョウは非常にマメな人で、すぐに返信をくれるし相談にのってくれる。 彼の「おおっ」と目から鱗的な発言は、私の悲しみや怒りやモヤモヤをとても小さなものだと思わせてくれる不思議な説得力をもっていた。 ときどき「ん?何を言ってるのかしら?」みたいな難しいことを言われたりもするけど、その「ん?」が心に新たな縺れを与えて、私の頭の中はいつしか

        • ありがとうとさよなら(前)

          「ママ友」という言葉にいいイメージがなかった。 世間からどこか馬鹿にされているように思えたし、女性特有の怖さやいやらしさを煮詰めたようなイメージがあったし、何より薄っぺらい印象があった。 私はママになってたくさんの友人ができた。 長い人とは10年の付き合いになる。 最初は子供を交えて遊んでいたけれど、いつしか私たちだけで会うようになり、いろんな話をするようになった。子供のことだけじゃない。自分たちの生まれ育った土地のこと、学生時代のこと、いいことも悪いことも、何でも話せた。

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        • ヨーグル殿の13人
          12本

        記事

          親同士が決めた許嫁

          私のママ友の一人、Aちゃんには同い年の従兄がいる。 お互いの母親が姉妹で近所に住んでいたこともあり、小さなころからよく行き来していて、今も仲がいい。 昔から、Aちゃんはとてもケーキが好きだった。今も大好きだ。 先日、Aちゃんが大学時代、自分のささやかな野望を叶えたときの話をしてくれた。 Aちゃんのささやかな野望。それは。 「ケーキしか食べない一日を作りたい」 彼女は従兄さんを誘い、神戸で朝から晩まで三食ケーキだけを食べるというなにかの罰ゲームみたいなデートに誘った。 こ

          親同士が決めた許嫁

          ある小説家の秘書日記

          某月某日 先生と「エイリアン・ロムルス」を鑑賞。 〆切を控えていたけれど、夏に「原稿を書き上げたら『オッペンハイマー』を観に行こうね」と約束してたのに、原稿を書き上げたときには上映すでに終了間近。夜のみ上映という事態に。 時間が合わず、結局、鑑賞できなかったという失態をおかしたため、今回は「さっさと観に行ってしまおう」と原稿そっちのけで行ってきた。 エイリアンは面白い。 毎回、期待を裏切らない。私は「4」から全て映画館で鑑賞しているのだが、まさに映画の醍醐味を味わえる。

          ある小説家の秘書日記

          第一印象はなかなか変わってくれない?

          昔、知人男性の恋愛話にすごく共感したことがある。 彼が初めて付き合ったときの話なのだが、バイト先で店員同士の喧嘩を止めたことがあるらしい。それがキッカケで同僚の女の子から告白されたとのこと。彼女は、彼が冷静に喧嘩を止める姿に惹かれたらしい。 ところが微妙なすれ違いが出てきた。 彼女の脳内では、どうも彼は「超クールなキャラ」となっているのだ。 だが彼はそういうキャラではない。 すごい饒舌だし、ちょっとチャラッとした感じもするし、少なくとも私の中では明るーい三枚目だ。 一ヵ月

          第一印象はなかなか変わってくれない?

          「今、褒めるのは嘘くさいと思うのが僕の悪いところだ」

          夫と喧嘩して、部屋にこもって泣きながらキョウにlineしたことがある。 「私の悪いところを教えてほしい」 夜中に突然こんなメッセージがきたら、ある種のホラーだな。 キョウからは、すぐに「情報が少なすぎるね」と返信がきた。 でも私のホラーはなおも続く。 「じゃあ、私のいいところを教えて」 「たくさんあるよ。でも、今、褒めるのは嘘くさいと思うのが僕の悪いところだ」 不思議なもので、そのメッセージを読んだとき「私にはいいところがいっぱいあるんだろうな」と思えた。 キョウ

          「今、褒めるのは嘘くさいと思うのが僕の悪いところだ」

          私のソウルメイトについて

          先日、娘のことで大変に落ち込み、夫に相談するも今度は夫と険悪な雰囲気になるという「泣きっ面に蜂状態」になった。 全てが嫌になり寝室へ向かう。こういうときは寝るに限る。 でも眠れない。 キョウにlineした。 「落ち込んでるの。あなたの中学時代の話をきかせて。元気がでるから」 「落ち込みは落ち込みで気になるけど」と前置きして、キョウはこちらの期待以上の面白エピソードを披露してくれた。 にわかに信じがたい話に、一人で布団の中で笑い転げる。 あまりにも面白いので「これ、夫に

          私のソウルメイトについて

          彼の小説

          ヨーグルから「これから書く小説のことなんだけど、凛子の意見をきかせて」と言われた。 彼が私に執筆の相談をする場合、大きく3パターンある。 ①書きあがるまで何も話さないパターン これが一番多い。 書き上げてから私に「読んでくれ」と原稿を渡してくる。そして「意見を聞かせて」と言われる。 書きあがるまでどんなものを書いているのか、内容についてほとんど語らないので、私はただ待つばかりといった感じ。 悩んでる姿を目にして「私も読みましょうか?」と申し出るが、たいてい「まだいい」と

          彼の小説

          「ぼくは勉強ができない」に救われたこと

          ヨーグルに「出会ったころ、凛子と書店に行って『ぼくは勉強ができない』をすすめられたね。僕はそれで初めて山田詠美を読んだ」と言われたのだが……思い出せない。 確かに私は「ぼくは勉強ができない」が好きだ。 一番好きな山田詠美の小説は「風味絶佳」だけど「ぼくは勉強ができない」は「好き」というだけでなく、どん底にあった私のプライドを救ってくれた恩人のような本でもある。 主人公は、高校生の時田秀美くん。 母子家庭で、お母さんと祖父の三人で暮らしている。バーにお勤めの桃子さんという年

          「ぼくは勉強ができない」に救われたこと

          体じゃないのよ、顔なのよ

          夫のチームに新入社員君がやってきた。 夫は「僕にこれぐらいの子供がいてもおかしくないんだね」と妙に感慨深げ。 その子は趣味がボディビルらしい。 「すごく小さな子なんだよ。凛子さんぐらいかな」 私の身長は160cm半ばだ。確かに男性にしては小さい。 「背が低いのがコンプレックスだったみたいで、大学に入ったときに体を鍛え始めたんだって」 大学時代からボディビルの大会に出場していたという彼。 自己紹介のとき、社員の一人が「大会でかけられたら好きな言葉はなんですか?」と彼

          体じゃないのよ、顔なのよ

          ここは楽しいです

          腰が痛い。シクシク痛い。 ぎっくり腰ではないし、我慢できない痛みでもないので生活に支障はないが、それでも湿布を貼り続ける毎日に気が滅入る。 母からいい接骨院があると聞いて、早速行ってみることにした。 先生はかなりのご年配。 やたら日焼けしてるおじいさん。 趣味は釣りらしい。年齢は八十代に入るかといったところ。 先生、私の腰に触れ「あぁ、ちょっと悪くしてるねぇ」と言って…… ゴキゴキッバリッビリビリッ(私の身体の声)ぎぇぇぇぇぇーーーーー(私の心の声) ドッと汗が出ました

          ここは楽しいです

          お酒が飲めるようになりたい?

          私は父の影響を多大に受けた人間なのだが、これだけは影響を受けたくなかったと思うことの一つに「お酒」がある。 実は、私はお酒がほぼ飲めない。 別に体質的に飲めないわけじゃない。 チューハイ(アルコール3%)なら飲める。めったに飲まないけど。 精神的に飲めないのだ。 毎晩毎晩、浴びるように吞みまくり、夜中に近所迷惑顧みず騒ぎまくり、物を壊しまくり、夜中にタクシーで帰って来てはピンポンを連打して眠っている家族を叩き起こす。 そんな過去を思い出すたびに、お酒が憎くなる。 ドア

          お酒が飲めるようになりたい?

          賢い女

          朝ドラと大河ドラマをみていると、今年のキーワードは「賢い女」だな、と思う。 寅子もまひろも、性格やタイプは違うが、二人とも知的で論理的で非常に聡明だ。 だが、どこか抜けているところがあるし、女性という理由だけでその並外れた知能を活かすのに苦労している点など、視聴者が応援したくなる要素もあって大成功なヒロイン像だと思う 夫と結婚して子供が生まれ、今の家に越してきて、近所にたくさんの友達ができた。 最初は子供を通じて仲良くする、いわゆるママ友だったが、子供が大きくなった今では大

          呪いの言葉と遺伝子(終)

          夫は温和な人だ。 非常に論理的で、物事はじっくり考えるタイプ。慎重な性格だけど、すぐに私に結婚を申し込んできたり、家を建てたときや、娘のことや親のことなど話し合うときには「決断力のある人だな」といつも感心する。 感情的になって大きな声を出すことはない。 あまり喋らない。人の話をよく聞く。お酒はたしなむ程度。外でみんなでワイワイ呑むなら、家で本を読みながら一人で静かに呑みたい人。 まだまだあるが、要は全てが父と正反対なのだ。 その夫が珍しく「馬鹿なことを言うな!」と大きな声

          呪いの言葉と遺伝子(終)