凛子

小説と映画、そして書くことが好きです。 昔のことをどんどん忘れているようなので、古今問…

凛子

小説と映画、そして書くことが好きです。 昔のことをどんどん忘れているようなので、古今問わず失いたくない大事な記憶を記していこうと思います。

マガジン

  • ヨーグル殿の13人

    昔、趣味で小説を書いていました。私が書くきっかけとなったある小説家のこと、彼から学んだこと、彼との昔と今を書いていきます。

最近の記事

年齢重ねて、私もやっと追いついた?

私は人の本棚を眺めるのが好きなのだが、ヨーグルの本棚はその中でも群を抜いて好きだ。 例えば落語の本がいっぱいある。 落語は聴くもので読むものじゃないと思っていたので驚いた。 話していると彼がオチのある話が好きなのがわかる。だから話にオチがないと気が済まない(と言われる)大阪育ちの私と合うのかもしれない。 また彼の書いているものを読んでいると、落語の影響を受けているのもわかる。オチが洒脱でキレイに決まってる。その着地点が読者の予想を大きく裏切るところが彼の持ち味だろう。 シ

    • 女の覚悟はすごいぞ

      前回の記事の続きです。 以前、夫は多忙を極めていた。 同僚の女性たちの育児休暇&時短勤務が重なったからだ。 夫のチームは女性が多い。 もともとは男性のほうが多かったのだが、仕事が大変なので辞める人もいて(環境というより、頭脳的についていけなくなるらしい)結局、残ったメンバーを数えたら女性のほうが多くなっていたらしい。 女性が辞めない理由を夫はこう話している。 「男はここを辞めても、また同じような条件で働けるって思うんだろうけど、女性はここを辞めたらもうこんな好条件(特に

      • お母さんのような生き方はしたくない

        朝ドラ「虎に翼」が面白くて、毎朝の楽しみになっている。 来週から、主人公の寅子は法律を学び始めるのだが、学友もいろんな意味で濃そう(笑) ますます面白くなりそうで期待が膨らむ。 さて、私がこれほどまでに心動かされたのは、きっと私が寅子と同じく母をみて女の生き方に首をかしげたことがあるからだろう。 今朝の放送で、寅子とお母さんとのやりとりに、思わず「わかる。わかるけど、トラちゃん(主人公をすでに「ちゃん」づけで呼ぶほどのハマりよう)それは言っちゃいけないわ」と、くぅぅぅぅ~

        • 記憶力とフック

          キョウが面白いことを話していた。 「僕は記憶力に自信があるんだけど、そう言うと『覚える力』があるって思われがちなんだよね。実際は『思い出す力』がある、なんだけど」 どっかで似たようなことを聞いたなと思って記憶をたどったら、夫が娘にアドバイスしていたことを思い出した。 娘が歴史の勉強をしていたときのこと。 「あー、こんなん全部、覚えられへん」と頭を抱える娘に、夫が「記憶はフックをいっぱいつけるといいよ」と話していたのだ。 「フックがたくさんあると、記憶の海から釣りあげや

        年齢重ねて、私もやっと追いついた?

        マガジン

        • ヨーグル殿の13人
          13本

        記事

          あなたのそういうところは好きなんだけど

          ヨーグルはとても質素な人だ。 そして真面目で素直だ。一緒にいてつくづく思うのだが、とても性格がいい。ある意味、どういう育ち方をしたんだろう。 だから安心して一緒にいられる。意地の悪い言動が一度もないので、嫌な気持ちにさせられたことはない。 私をすごく大切にしてくれるし、変な言い方すると女性をお姫様扱いする人だ。私にだけそうなのか、女性みんなにそうなのかはわからないけど。 だから、ときどき他の男性に対して「こいつ、性格悪っ」と驚くことがあるが、おそらく彼らは性格が悪いわけで

          あなたのそういうところは好きなんだけど

          私とあなただけの世界ではないこと

          凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」を読んだ。 凪良さんの小説を初めて読んだのは「流浪に月」。 今までに読んだ恋愛小説とは一風変わった展開に興味を覚え、続いて「滅びの前のシャングリラ」を読んで、面白い作家を見つけちゃったと嬉しくなった。 文体が軽くて、ライトノベルみたいだなと最初は慣れなかったが、今ではそこに優しさを覚えるし、透明感のある文章は作品の重く痛い内容をこのうえなく切なく美しいものに昇華させる役割を果たしていると思う。 「わたしは愛する男のために人生を誤りたい」とい

          私とあなただけの世界ではないこと

          他者の言葉が怖い(後)

          前回の記事に、ご丁寧なコメントをいただき本当にありがとうございました。 夫に相談したとき「あなたの記事をよく思わない人はもちろんいると思うが良いと思う人も必ずいるから」と言われました。 温かいコメントを読み、夫の言葉を目の当たりにした気持ちです。 この件にかんしては、もう何も書かない方がいいのかもしれませんが、ヨーグルとキョウからもらった言葉、そこから考えた私なりのnoteへの思いを書いておこうと思います。 ヨーグルと私には「書く」という共通点がありますがプロとアマチュア

          他者の言葉が怖い(後)

          他者の言葉が怖い(前)

          小説を書いては文学賞に応募を繰り返していた。 小説家になりたかった。 ヨーグルをみていたら自然と彼みたいな小説家になりたいと思うようになった。 それほど書いている彼は素敵だった。 彼の様々な姿に自分を重ねた。 小説を書いて、ゲラを直して、担当さんと打ち合わせして、出来上がった本にサインして、インタビューを受けたり対談したり講演したりドラマ化されたり海外翻訳されたり。 そんなきらきらした未来を想像してわくわくした。 先日、フォロワーさんの伝手で、ある記事で私のことを書いて

          他者の言葉が怖い(前)

          不安な夜のあなたへ

          不安な夜を過ごしている10歳の私へ。 お父さん、帰ってきたね。今夜もうるさいね。 お隣さんの犬がめちゃくちゃ吠えてる。お父さん、犬に怒鳴ってるし。 明日、隣の子がきっと何か言ってくるね。 怖いね。学校行きたくないよね。 でも、あなたは真面目な子だから行くんでしょ。 そして何を言われても我慢する。何も言い返さず、ただ勉強する。 お母さんはよく「強い子になりなさい」って言うけど、あなたは誰よりも強いよ。そしてあなたの周囲は弱い人ばかりだ。 あなた、今、一人で生きて行こうっ

          不安な夜のあなたへ

          「忙しい」

          ヨーグルのことをたくさん書いてきたので、それらをまとめてマガジンを作った。 タイトルは「ヨーグル殿の13人」 これは彼の担当編集者さんの数が、たまたま大河ドラマ「鎌倉殿の13人」とかぶったので、これ幸いとタイトルにしたのだ。 大手出版社になると部門別(文庫担当とか海外担当とか)に担当さんがいるので、実際は13人以上いるのだが一社に一人、メイン担当さんのみを数えて13人にした。 さて、現在、ゲラ直し真っ最中のヨーグル。 彼にホワイトデーを兼ねて食事に行こうと誘われた。 「

          「忙しい」

          愛されるだけで終わらない

          絶賛、ゲラ直し中のヨーグル。 来月の頭には昨年から続いている連載の〆切も控えている。 その中で、別の出版社から新シリーズが始まったのだが、こちらはスケジュール的に連載は厳しいので不定期連載になった。 先日、やっと一作目を書き上げたのだが、終わるや否や、担当さんから「二作目と三作目はいつごろ(原稿を)いただけそうですか?」ときた。 「いつごろ、(二作目と三作目に)取りかかれそうかな?」と、ヨーグルにきかれた。 それ私の台詞です……とツッコミたいところだが、ヨーグルはなぜか部

          愛されるだけで終わらない

          仏語はお若いうちに

          高校時代、世界史の先生に「大学ではドイツ語かフランス語を勉強しとくといいよ。あれは若いうちにやっておかないと頭に入らんから」と言われた。 その時の私はさして興味なく聞いていた。 バカバカ、私の馬鹿。 その言葉をすっかり忘れて、大学では中国語を選択した私。 当時の中国は大躍進の最中。オリンピックも控えているし、勉強しておくと何かと便利だろ、と考えたのだ。 でも、今は後悔している。 私はフランス語を勉強するべきだった。ドイツ語でもいい。欧州の言葉に触れておくべきだったのだ。

          仏語はお若いうちに

          普通の男の子でいてくれてありがとう

          初めて付き合った彼を思い出すと、私の頭の中に「ひらがな表」が浮かぶ。 小学校の卒業アルバムに収められていた生徒たちの作文で、お題は確か「宝物」だったか「大切なもの」だったか。 みんな友達のことや、学校行事の思い出などを書いているのに、彼はひらがな表を書いていた。 あいうえお   かきくけこ     さしすせそ…… 最後は「わ を ん」で終わっている。 意味がわからなかった。 彼にきいたら「僕の宝物は言葉ってこと」と言われた。 面白い人だなと思った。 私は自分の両親を

          普通の男の子でいてくれてありがとう

          結婚指輪してますか?

          夫は結婚指輪を長らくしていなかった。 左利きなので邪魔になるし、指輪が傷つきそうだったからだ。 ところが、ある日、仕事から帰ってきた夫が「結婚指輪をする」と言い出した。 事情をきくと、どうやら独身と勘違いされたらしい。 確かに夫はパッと見た感じ、独身に見えるかもしれない。 友人たちは夫をみると「すごく若く見えるねんけど?」と驚くし、ある人は私たち夫婦をみて「同い年ですか?」ときいてきた(殴)あの言い方から察するに、おそらくかなり年下に見えたのだと思う。ショック。一生忘れん

          結婚指輪してますか?

          今まで見えなかったものが見えた

          キョウと娘の勉強のことで話していたら、彼が中学生のとき、読書感想文で友達の「人間失格」の感想文の感想文を書いた、という話になった。 タイトルは「『人間失格』を読んでを読んで」 内容は、友人数人の「人間失格」の感想文から、それぞれの着眼点や考察などを比較したものらしい。この視点はこの人、独自のものよね、とか。 読書感想文の感想文が読書感想文になるのかはわからないけれど、面白い試みだと思う。 「人間失格」があらためて名作だと思わされた。 娘が小学生の時、娘と私は「銭天堂」と

          今まで見えなかったものが見えた

          私たちの結婚を支えたもの

          先日、新しい本棚を買った。 本棚に入りきれない本が床に積み上げられていたので、夫の部屋に大きな可動式の二段本棚(?)を買ったのだ。これで我が家の本棚は13台になった。まだ足りないので、近々14台目がやってきそうだけど。 早速、組み立てて二人で本の整理をする。 「村上春樹は凛子さんのほうが好きだろ?凛子さんの部屋にもっていく?」 「そうする。貴志祐介さんも私がもらおうかな」 「この本はどこにする?」とか「この本、ここに置いておくね」という会話はだんだんと本の思い出話に変わ

          私たちの結婚を支えたもの