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体の中に国家を持つ政治家

あんたは政治ってやつに目を向けているかい?

俺の低めのアンテナでもショッキングなニュースってのは飛び込んでくるもんだ。
中曽根康弘氏が亡くなられた。

俺たちオッサンが子供の頃からずっと政治家として活躍なさってきた御仁だ。
政治とカネの問題では常に嫌疑をかけられながらもギリギリの綱渡りで政治家として大成した御仁だ。

今回は中曽根康弘氏という人物を振り返って、改めて今の政治家の皆さんに自分が一体何を期待しているのかってことを振り返ってみようと思う。

政治って、マジで難しいよな。

中曽根康弘という人物

今回、中曽根康弘氏という人物を振り返ってみると、意外なほど「何をした政治家」と一言で言うことができにくい人物だと思った。

小泉純一郎氏であれば、郵政民営化であり、今のデフレの流れを確定した人物だという印象があるが、中曽根氏については、あまりにも多くのことを成し遂げてきているので、その政策のどれを指して「これが中曽根康弘だ」と言って良いのかがわからないわけだ。

中曽根康弘氏は日米同盟を決定的に深化したし、国鉄、電電公社、専売公社、日本航空の民営化もしたし、消費税導入の足がかりを作ったりもしている。

民営化を推進していることからもわかるように、中曽根内閣は小さな政府を目指していた。
財政健全化を目指して、緊縮財政をひた走っていた内閣だと言える。

中曽根内閣は1982年から1987年だから、バブル景気(1985年~1990年)にスマッシュヒットしている内閣だ。
つまり経済が拡大路線にあるときにきちんと緊縮財政をひいていたという意味では、財政面で非常に正しい選択をしていた内閣だって言えると思う

ただ、消費税のきっかけを作った売上税法案を提示したことによって、日本の貧富の格差の土台を作ってしまったとも言えると思う。

そんな実績もさることながら、政治とカネの問題には常に姿が見えていたような気がする。
ロッキード事件といえば、政治とカネの問題で首相経験者が逮捕されるという前代未聞の大事件だ。

そのロッキード事件にも中曽根康弘氏は関わっていたのではないかと捜査が入ったそうだ。
結果として、中曽根康弘氏の関与は認められず、中曽根康弘氏は晴れて潔白を証明した形になった。
だが、「塀の上を歩いて内側に落ちたのが田中角栄、外側に落ち勲章までもらったのが中曽根」と揶揄されることもあったことから、政治とカネの問題はシロかクロかというシンプルな話じゃないことは想像に難くないよな。

自ら行動する

中曽根康弘氏の政治家人生を振り返ってみて、一番に思ったのはそのバイタリティだ。

彼の人生を振り返って、あえて一言で表すとすれば波乱万丈。
でも、その一言で言ってしまうには、あまりにも自らが行動した結果としての激動が見て取れる人生のように見えるよな。

色々な活動を見てみると、その良し悪しというか、俺たちの感覚とのズレのようなものは当然ながらあるが、そのいずれもが「意思」をもってやっていることを感じさせる。

どれだけの思いがあればこんなにも多くのことに「意思」を注ぎ込めるんだろう?

そんなふうに思っていたら、竹村健一氏の中曽根康弘氏への言葉にこんな物があった。

「体の中に国家を持っている」政治家

これだ。この言葉こそが中曽根康弘氏をもっともよく表している言葉なんじゃなかろうか?

自らの中に国家を持つ政治家。

それは傑出した存在に違いない。そして、今の政治家の中でその言葉を当てはめることができる人物は誰になるだろう?

最近読んだこんな本がある。

うむ?何だこの値段。
こっちのサイトなら、¥550だから読むならそっちだな。

で、この本に書いてある安倍首相との対談の内容を見て、ある意味絶望に近い感覚に襲われたんだよね。

この本に書いてあるのは「なぜ安倍内閣は緊縮財政路線になっているのか」って理由だった。
で、その理由は「第一次安倍内閣が緊縮財政路線だから、今の安倍首相も緊縮財政派のはずだ。だから緊縮財政OKって態度で臨んどこうって政治家が多数派だから」だそうだ。

それに対して安倍首相は本当は緊縮財政をやめたいのに、多数派が緊縮財政になっているもんだから、身動きが取れないってことらしい。

もぉね。「体の中に国家を持っている」政治家がいたらこんなことにはなっていないよな。

日和見、風見鶏。
そんな言葉しか思いつかない。

俺自身が政治家でもなんでも無いので、政治の世界について俺ごときが言葉にするのはお門違いかもしれない。
でも、そんな訳のわからない忖度で得られるものってなんなのか?

少なくとも国家の益ではないよな。

中曽根康弘氏は亡くなってしまった。

なあ、あんたはどう思う?

俺たちの国に再び「体の中に国家を持つ政治家」は現れるんだろうか?

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