王様ランキングに見る出世への意思
あんたも王様ランキングを見てたりするかい?
実に絵本チックな絵柄に対して、内容は非常に教訓的かつヘビーだ。
まあ、逆にそういうのが絵本だろって言われると、そんな気もするけどね。
で、このアニメを見ていると、ちょいちょい「おい、マジでそれ考えないといけないやつじゃんか」ってテーマがぶっこまれてくる。
今回はそんなテーマの一つである出世欲について考えてみる回だ。
俺らの生き方にも関わるかもしれないテーマ、ちっと考えてみようぜ。
ボッジはなぜ出世したいのか?
物語の冒頭から、ボッジの笑顔が俺たちを魅了する。
自分を追い剥ぎしている相手が自分の言葉をわかると見るや、その追い剥ぎに全力で自分の持ち物を渡すときも、結果パンツいっちょになって街を歩いていたときに後ろ指刺されたときも、母親に冷たい言葉を投げかけられたときも、いつだって笑顔だ。
なぜあの笑顔はボッジからなくなることはなかったのか?
物語が進むと、ボッジは実に感情豊かに恐れ、悲しみ、そして笑っている。
つまり感情が欠落しているとかそう言う理由じゃなく、あの笑顔はボッジの意思によって表現されているものだと思うんだよね。
ではその意思とは?
それこそが「出世したい」だと思うんだ。
ボッジの場合は「王になりたい」って言う究極の出世だ。
なんでそんなに出世したいんだろうか?
物語をまだ途中までしか見ていないからなんとも言えないとは思うんだけれど、今の所は「多くのヒトを幸せにしたい」という思いが一番強い様に思える。
ここにボッジの特殊性がある。
キャラクター設定等に詳細な年齢は見つけることが出来なかったけれども、大体10歳だとか12歳だとか、その辺に見える。
そのくらいの子どもが「ヒトを幸せにしたい」と思うって、どうしてそんなことが可能なんだろう?
偉大な父親を目の当たりにしていたから?
優しい母親の愛を一身に受けていたから?
今はまだわからない。
普通に考えると書いたような理由だけでは子どもが「ヒトを幸せにしたい」という欲求を持つことってどんだけ達観しているんだって思うんだけどね。
何れにせよ、ボッジの出世の動機は「民の幸せ」という夢にあるってことのようだ。
ダイダはなぜ出世したいのか?
ダイダの場合はもう少しシンプルだ。
ダイダの出世欲の源泉は「力」だ。
世界最強の父親に憧れてなのか、そのへんの詳しい動機はよくわかっていないけれども、それでもダイダの源泉は「力」だと思う。
ポイントはその「力」の意味がどんどん変わっていっているってことなのかもしれない。
物語の最初はシンプルに「剣技の力」というものに傾倒していっている様に見える。
ところが実際に即位して、王様になったあとに行われたランキング査定の際に完膚無きまでにやられてしまう。
そのことによって、ダイダの中で力というのが剣技だけで実現できないことを思い知る。
この段階で、おそらくはダイダの中ではまだ剣技の力が全てだったので、ダイダの喪失感はこの上ないものだったんだと思う。
そして、ダイダは「組織の力」というものに目を向ける。
それは忠誠心という言葉でも良いかもしれない。
ソードマスタードーマスに対して、自分への忠誠を誓わせるためにボッジ暗殺すら命じたりしている。
そして、力を手に入れられるという秘薬を目の前にして、ダイダの力への認識はまたも変容する。
今度は「意志の力」だ。
忠誠を誓ってもらっても自分の揺るがぬ意思がなければ、それは烏合の衆と成り果てるってことを肌で感じているってことなのかもしれない。
そう言うふうに表層の認識はどんどん変わっていっているダイダだけれども、その本質は「力の象徴」というのがダイダの出世の動機ってことなのかもしれない。
その力で何をなしたいということではなく、シンプルに力に魅了されている様に見えるんだよね。
俺たちは出世したいと思っているか?
じゃあ、俺たちはどうなのか?
俺の場合は出世というのは、実のところあまり興味を持てなかった。
それは「偉くなってどうすんだよ、ケッ!」とかひねくれた感じってよりも、シンプルに怖かったんだ。
俺の判断で何か失敗して会社や仲間に損失を与えはしないか。
ってね。
言い換えれば、俺は誰かを幸せにする喜びよりも、誰かを不幸にする原因になる恐ろしさのほうが大きかったんだ。
じゃあ、世の中の出世しているヒトたちはそんな恐怖を感じていないんだろうか?
そんなわけないと思う。
多かれ少なかれ、そう言う恐れに立ち向かっているんだと思う。
ボッジのような夢がそうさせているのか。
ダイダのような憧れがそうさせているのか。
それはわからない。
でも夢も憧れも持たないやつは、出世を目指したりしないと思う。
その二つを持っているやつが全員出世を目指すとは言わないけれどもね。
夢と憧れは周りを巻き込む。
ボッジの様に。
ダイダの様に。
なあ、あんたはどう思う?
俺たちの中にはまだ夢や憧れがくすぶり続けているんだろうか?
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