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[プロット][小説][バラッド]―序章―あらすじ⑤


しこうのおと
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たぶん、序章のあらすじはここで区切りになるはず。
ほな頑張ってこか~。
前回のはこれね。



田中、動く

風間は自分の代わりにリサがなりうる器だと考えていた。

だが、橘は全く別のことを考えていた。
風間が居なくなったら、この会社は保たない。
なら、今のうちに次につながる人間関係を気づく必要がリサにはあるべきだと。

風間のことは自分が支えになれば良い。 リサはこんな俺の所で埋もれていいやつじゃない。

しかし、リサは自己をそこまで肥大化することが出来ない自分に嫌気が差している。

リサ、風間、橘はお互いがお互いを思い合う故にすれ違ってしまったってわけだ。

トムはそのことを概ね見抜いていた。
だが、どうすることも出来ない。

タカもトムの説明と聞こえてくる心音がその事が現実であることを雄弁に物語っている。

「しゃあねぇなぁ」 田中が重い腰を起こす。

「ママ、わりいが、ボトルもう一本キープだ」

「……やるの?」

「しゃあねぇだろ。こういうのは思いが残っちまったら、落ちるところまで落ちちまうもんだ。そんなの俺は嫌だね」

そういうと、ママからボトルと4つのグラスを受取ってリサたちの席に近づく。

「お取り込み中、申し訳ないんだけどさ。何も言わんで俺の酒飲んでくれる?」

そう言いながら俺は4つ並べ得たグラスにバーボンをそそぐ。

「………良いから、黙って飲めよ。たまにゃあ年長者の言葉に乗せられるのも良いもんだぜ」

ほとんど聞き取れないような低い声で俺は言った。
その今までいるのか居ないのか分かってない感じの男が見せる迫力みたいなものを感じていたのかも知れない。

「いや、別に怪しいもんじゃないんすよ」

声色を変えてみる。
まあ、大抵の怪しいやつがそう言うんだけれどさ。

それを逆手に取った俺の高度なギャグが分からん奴らでもあるまい。
でも、3人の表情は固まったままだ。

後ろで大笑いしそうなのをこらえているトムとタカの空気感が伝わってくる。

あんにゃろうども、後で言い逃れできない何かを掴んどかないとあぶねぇな。

マージ

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