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2度目のサブ3奪取!なぜ「51歳で最速」を実現できたのか?

2022年1月23日。「東京チャレンジマラソン」冬大会に参戦した。会場は東京・荒川河川敷の周回コース。51歳にして自分史上「最速」の結果を獲ることができた。その裏側を詳しくお伝えする。

前回、2020.11.28の初サブ3達成(2時間59分39秒)から「57秒」の更新となる。
https://note.com/dude_19701117/n/n3b4e0b626593


約9年間のマラソンレースの中でも、ここまでプラン通りに走れた経験はあまりない。なぜできたのだろう?結論から言うと「失敗レース」をどん欲に「改善」に活かせた。その過程を、今後のためにもしっかり振り返っておく。まず、昨秋から年明けまでの「失敗の履歴」から…

①21.11.28 東京チャレンジマラソン 3時間16分56秒(30k失速
②21.1.9     ハイテクハーフマラソン 1時間35分20秒(15k失速

①は前回の「撃沈記」で記載した通り、己の過信からペースを上げて失速して撃沈。
https://note.com/dude_19701117/n/nc00d7e08c394

②は突如、レースの朝に食欲不振に見舞われ絶食で参戦。ハンガーノック状態でフラフラになって撃沈した。年末年始の練習振り返ってみると、12月の忙しい時期にも関わらず練習を詰め込みすぎ。20k・30kの「ペース超走」の頻度を増やしたものの、ストレッチ不足で身体が硬質化。右膝裏に故障が発生し、5日間のランオフを余儀なくされた。

練習の「量と質」を見直し

故障・撃沈はあったとはいえ、毎月の練習はメニュー通り積み上げてきたので、サブ3ペースで走る土台はできていた。この土台を広げ、高く積み上げるために何をしたのか?サブ3ペース・4'15/kmの余裕度を効率的に高めた。16k〜ハーフ4'00〜4'10/kmで週に1回。30k走は2時間5分以内で4'05〜4'10'/km残り12Kをイメージして疲労の感じ方、余裕度を身体に叩き込んだ。

こうした実戦的な設定ペース・タイムでミドル・ロング走をこなしつつ、常にレース序盤の入り方を意識。スタートから突っ込まない、呼吸とペースが安定するまで、10k以降で体がほぐれてから上げていけばいい、と落ち着いたレース運びを練習から試した。

補給(食事)戦略の見直し

加齢に伴う血糖値上昇やダイエット目的で、夕飯は糖質制限を続けてきた。また体質なのか、ランをしているためか、中性脂肪の値はいつも平均値より低い「異常値」。しかし、1月のハーフでハンガーノック状態を経験したことで、レース前1週間前からしっかり炭水化物を食べるように見直した。
レース前日夜は、うどんをメインに。当日はご飯2杯・赤飯2個・羊羹1個、そしてスタート30分前にジェルを摂取。これも初めて取り入れた。「糖質」を満タンにした自覚を持ってスタートラインに立った。

そして、迎えた1月23日の東京チャレンジマラソン冬大会。レース展開を5km毎のラップで区切りながら反すうしていく。

スタート〜5Km   21分7秒(4'14/km)

今回は581人のランナーが参加。ウエーブスタート直後、30人程度のサブ3集団が形成された。4'15/kmのサブ3ペーサーが1人つく。心強い。今レース用のシューズはmizuno Wave Duel Neoから、アディダスジャパン6に変更。練習での使用感が良く脚への負担が少ない。スピードよりゴールまで巡航ペースを維持することを優先する目的で、ジャパン6を選択した。想定通り、5Kmまでに呼吸・ペースを落ち着かせ、集団の中段に入る。

ミズノwave duel neo  adidasアディゼロジャパン6


5Km~10Km 20分57秒(4’11/km)

コースは荒川沿い約5kの周回。風速は約13m。追い風・向かい風のペースコントロールが肝だ。向かい風ゾーンは周囲のランナーを楯にヘッドを下げ、追い風はリラックスして楽に走る。「30Kまでは寝て行け」の格言通り、ボーッと集団を追う戦略。先行するランナーのシューズや、フォームを眺めながら何も考えない。いいリズムだ。今回はランニング&アームウォーマーを着用。スタート20分で汗が出てきた。寒かったが、ちょうど良い。

10km〜15km  20分51秒(4分10秒/km)

身体が解れてくる時間帯。寒さで固まっていた足裏が温まって、シューズのソールと馴染んできた。上半身をほぐし、腕・首を回す。給水で遅れても、慌ててペーサーを追って脚を使わない。追い風ゾーンで詰めておけばいい。余計な思考は、糖質を消費する。このペースで30kmまで、何も考えないランをKeepし続けるのだ。

15km〜20km 20分59秒(4分12秒/km) 

ハーフが近くなってきた。向かい風ゾーン。ペーサーは時計をよく見ている。追い風ゾーンでは4'05/kmまで上げつつ、向かい風でもきっちり4'15/km以内をキープしてる。35km以降の貯金を考えてペースコントロールしてくれてるんだな、と思う。ペーサーの真後ろについて、リズム良く刻んでいく。

20km〜25km 20分31秒(4分06秒/km)

18km時点で、毎回のレース恒例「メイタンサイクルチャージ 梅肉エキス カフェイン200mg」を投入。30k以降の「覚醒」を促すため、30分前に摂取する。ハーフのラップは、ペーサーが付いているので見なかった。
恐らく1時間27分台だろう。ここまで疲労は感じない。脚がよく廻る。もっとペースを上げたくなる。「抑えろ!」と心の中で念じる。グッと、ガマンの時間帯だ。と、その時、集団の中にいた唯一の女性ランナーが、スパートをかけた!ここで行く!?あ…ハーフレース参加だったのかー。リズム感のある良い走りをしていた。

メイタンサイクルチャージ カフェイン200gを18k地点で使用

25km〜30km 20分52秒(4分10秒/km)

勝負所の30kmへ。追い風・向かい風のパターンにも慣れた。そろそろ「寝ている状態」から覚醒する時だ。心がザワザワし始めた。ペーサーの真横について並走するほどペースも上がる。でも、ここから集団を飛び出すのはまだ早い。行けても35km過ぎまで。必ず失速だ。冷静に身体の状態を把握する。プラン通り、30km過ぎてからだ。安定ペースを刻む。

30km〜35km  20分20秒(4分04秒/km)

30kmの通過タイム、2時間6分23秒。プラン通り。ここから、12kmを52分で走れるのか?「覚悟はできている、行ける!」自分との闘いの始まった。加速・・・!すっと、ペーサーを追い越し、サブ3集団の前に出る。追い風ゾーンを最大限に使い、ギアを上げる。「脚が廻る!シューズの反発が気持ち良いぜ!!」カフェイン入りジェルのおかげか?アスリートでいう
「ZONE」に入った状態か?
最速ラップで、30kmの壁をブチ破る。何も考えずゴールまで突き進む!自己ベストを掴みとるために。。。ところが…

35km〜40km  21分43秒(4分21秒/km)

30km〜35kmは、最速ラップで刻んだ。練習を積んで、マラソンに挑む市民ランナーにとって誰もが理想とする至高の展開。この時の心理状態は、まさにBeast Mode(無双状態)だった。いわゆる「ゾーン」に入った状態だ。疲労は全く感じない。集中力の高い、研ぎ澄まされたRUNが続く。しかし…
その時間は、長くは続かなかった。

37km手前で、ガクッとペースが落ちた。「ゾーン」に入った揺り戻しがきたのか⁉︎終盤でのスパートは、ラスト5kmにすべきだったか…
「ザッ、ザッ、ザッ」と音がする。後を振り返った。えっ?サブ3集団が迫っているじゃないか!かなり離したつもりだったのに。39km近くで抜かれた。「ちっ、、スパートが早過ぎたか!!」時計を見た。慌てるな…キロ5まで落ちても、サブ3はまだギリ達成できる。4'30/km以内をキープだ!冷静になれ。全身に命じた。

荒川のレース会場 ゴール付近

40km〜ゴール 9分48秒 (4分28秒/km)

40km地点。今回のレースで初めて重い疲労を感じた。腰が落ちている。フォームが崩れている。「クソが!またここで終わるのかよ!」もう時計は見ない。周回コースなので、落ちているランナーたちが眼前にいる。ターゲットにさせてもらう。一人ずつ追いつき、抜きながらゴールに向かうことだけを考える。すると、サブ3集団を前に行かせたペーサーに遭遇。「付いて!付いて!」と声をかけてくれた。そうか…サブ3の先行集団はすでにバラけて、ラストスパートしたのか。残存・サブ3圏内ランナーのために、戻って励ましてくれたのか。彼を追えば、望みはある!

ラストの約2K。絞り出せ、フォームを立て直せ!気合を入れ直す。
どんなレースでも、ラストは精神力だ。気持ちの強さがタイムを削り出す!

そしてゴールは・・・2時間58分42秒。自己ベストを57秒更新していた。
また終盤に励まされて、サブ3を達成をさせてもらったな…。

「サブ3」は、本当に高い壁だ。自分だけの力では成し遂げられない、大いなる何かを感じる。活かしてくる人々の存在あってこそ、市民ランナー最高の栄誉を手に入れられるというか…。ただ今回、数々の失敗を重ねて改善、レース展開に活かせたのは大きな自信になった。そして、レースを開催・運営してくれた人々に篤く感謝を申し上げます。次は本番の東京マラソン。「サブ3」へのチャレンジはまだまだ続く。(了)




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