医療保険

〈米国オハイオ州に駐在帯同の障害児について、関連情報をまとめています。〉

とうとう医療保険について書かなければいけない時がきてしまいました。
アメリカの医療保険、正直に言ってとても面倒くさいです。そのせいで、医療を受けること自体も面倒くさいと思ってしまう。それだけは避けたいのと、そう思う人が減るといいなと思い、知っていることをまとめました。

まずはじめに、セントラルオハイオ居住の日本人の何割かを占めるはずの、某メーカーにお勤めの方とそのご家族は、この記事は読む必要がありません。
なぜなら、貴社の保険はアメリカの医療保険としては最高レベルで、保険を通せる医療行為のほとんどが自己負担ゼロ、つまり100パーセント保険会社がカバーしてくれるからです。保険について心配なことがあった場合は、逆にどんな場合に自己負担が発生するのか、を会社に問い合わせた方が早いと思います。
ちなみに泣くほど羨ましいです。決して嫌味を言っているわけではありません。

現在、我が家は二つの保険を使っています。
一つ目は、渡米当初から入っていた保険です。赴任と帯同が決まった時、私はもちろん医療保険の心配をしました。そして主人に会社に問い合わせてもらい「救急車を呼んでも自己負担ゼロの保険だそうだよ」との説明を受け、当時は大変安心しました。金額の大きさだけが問題だと思っていたからです。
しかし渡米してきてホームドクターを受診したところ、日本で診断された疾患などは保険適応されないということがわかりました。持っていたのは海外旅行者保険だったのです。現地で発生したものなら事故にあって救急車を呼んでも自己負担ゼロですが、生まれた時からの発達遅滞に対するリハビリなどはカバーされませんでした。
あと、海外旅行者保険は日本のものなので、アメリカ仕様のinsurance card(保険証のカード)がなく、日本語で書かれた紙が加盟の証拠です。当然、現地の薬局などのスタッフはそれが読めないので、使えずに何回かセルフペイした記憶があります。
この状況は、赴任する会社が設立されたばかりで、スタートメンバーとしての赴任であったことが大きな原因だと思います。

二つ目の保険は、現地の医療保険です。
はじめは海外旅行者保険しか持っていなかった我が家ですが、赴任先の会社に現地採用のスタッフが増えたため、現地の医療保険に加入する運びとなりました。ホッと一息です。今回まとめるのは、この現地の医療保険の仕組みと、医療行為を受ける際に留意していることです。

アメリカの医療保険の大きな特徴として、以下の3つが挙げられます。
○医療行為の中でも、保険を通せるものと通せないものがある
○通せるものでも、金額、回数の制限があったりする
○同じ医療行為でも、病院/先生によって負担率が違う
順番に説明していきます。

○保険を通せるものと通せないもの
保険適用か自費か。これはなんとなく、日本の医療保険の感覚でもわかりやすいかと思います。問題は、加入する保険によって、保険が通る医療行為が変わってくるということです。加入した保険資料に詳細は載っていますが、わからない場合はコールセンターに確認すると良いと思います。さらに、保険適用になるかどうかは、病院のレセプトスタッフと保険会社の交渉で決まる場合もあるため、請求されるまで払う金額がわかりません。支払いのマックスは自費(セルフペイ)で、その金額は病院に聞けば容易にわかるので、心の準備をしようと思えばできます。
ちなみに年に一度の健康診断は負担ゼロでカバーしている保険が多いと聞きました。

○金額、回数の制限
アメリカの医療保険には免責(deductible)というものがあります。日本でも、車両保険などでは設定されていますが、日本で車両保険に入ったことがないため、同じ制度何かどうかは分かりません。
deductibleは年間自己負担限度額と言って、保険会社が設定したdeductibleの金額(例えば家族合算で1000ドル)を超えたら保険金給付を始めますよ、という制度です。つまりdeductibleの金額に届くまでは自費。この国で医療保険未加入の方が結構いるというのも納得です。我が家はこちらで斜視の手術をしたので、deductibleを軽く突破し保険金給付が始まりました。突破した場合に過去の医療行為が遡及して保険給付されるのかは・・・謎です。正直自分では怖くて確かめられないので、ご存知の方は教えてください。

保険適用になる場合でも、年間の回数制限があるものがあります。息子のセラピーがまさにそれで、我が家の保険はPT/OT/ST合算で年30回が限度でした。それ以降は自費です。STは英語なので受けないとして、各月一かあ、療育施設からはきっと隔週で提案されるだろうな、と電卓片手に頭を悩ませる日々です。しかし医師からの処方箋があった場合は保険適応回数が追加される場合もあるそうなので、相談してみる価値はあると思います。

○負担率の違い
国民皆保険で点数制、その場で明確な支払額が決まる日本と違い、アメリカでは病院と保険会社で協議の上、患者への請求額が決まります。病院を受診すると、後日請求書が送られてくるのです。私は生まれも育ちも日本なので、これはかなりの恐怖でまだ慣れません。
このアメリカの制度のせいか、保険会社が多めに負担してくれる病院が存在します。(おそらくリベートのようなものや支払い実績、協議システムの有無など多くの要素が絡んでいるのだろうなと勝手に想像しています。)その、保険会社が多めに負担してくれる(患者である私たちの支払いが少なくて済む)病院を、in-networkと呼びます。対義語はout-of-networkです。大体の相場は、in-networkの病院だと患者負担2〜3割、out-of-networkの病院だと3〜5割とのことです。現地保険を使って病院を受診する際は、in-networkかどうかを確認することをお勧めします。また、始めから自己負担(セルフペイ)すると申告すると、リハビリなどは多少のdiscountがあるという噂を耳にもしました。
そしてさらに面倒なのが、大きな病院だと、同じ病院内でも先生によってnetwork内外が変わってくる場合もあるそうです。ここまでくると確認の手段が想像つきませんが、実態だけ書いておきます。
ちなみに、他記事で紹介したNationwide Childrens Hospitalは、Aetnaのネットワーク内の病院です。Aetnaとはアメリカの保険会社の名前で、日系の現地保険がたくさん提携しているそうです。

他にもco-payや、歯科は違うシステムであったりなど、いろいろな制度があります。現地の人でも「医療保険は難しくて面倒くさい!」と言っているので、日本人には特にハードです。いろんな人に話を聞いたり、病院や保険会社に何度も電話しましょう。しない後悔よりもした頑張りがちょっとだけ勝った、とお伝えしておきます・・・。

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