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無小─掌編小説

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2022年10月の記事一覧

無小─縋り

無小─縋り

 コンコン。
 僕は深夜のファストフード店のドライブスルー用のガラス扉を叩いて店員を呼んだ。
 すぐに駆けつけた店員は怯えた表情で、恐る恐る僕に要件をたずねた。
「注文です。なんでもいいんでセットを一つ。お金は気にしなくていいです」
 僕は用意していた台詞を吐いた。店員は先程の怯えに困惑が混じった表情になった。僕はそんな店員などお構いなしに、商品が届くまで壁にもたれかかって待つことにした。
 ポケ

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