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累計取扱高100億円から約半年で「200億円」を突破。その成長要因を考えてみた

弊社バンカブルは、2023年9月終了時点でYELLシリーズの累計取扱高が200億円を達成しました。(※累計取扱高=弊社サービス「AD YELL(PRO)」「STOCK YELL」を通じて取引された広告費と仕入費の総額)

100億円に達したのが今年の2月末時点ですから、そこから7か月と約半年での達成になります。弊社が目指しているビジョンやミッションを考えると、累計取扱高200億円はほんのつま先が一歩前に出たぐらいの状況ではあるのですが、1つの区切りとして、今回も前回同様noteに残しておこうと思います。

PoC中にお客様からの紹介が続いた瞬間が、「PMFしたな」
と思えたときだった


1つの節目ということで、改めてこれまでを振り返ってみます。

「AD YELL」は2021年10月にβ版をローンチ、資本金2億円からのスタートでした。覚えているのは恐怖心ですね。とにかく怖かった。

当然、世の中の誰にも知られていないし、サイトを立ち上げてはみたものの、PVなんてない。仮説を立て、デプスインタビューを含めて、いろいろなリサーチをし、「どうやら事業者様の抱えているであろうペインを解決できそうだな」と思いつつ、「これ、本当に売れるのかな?」「利用していただけるのかな?」と思っていました。

サービス設計をしていく過程において、ペインはある。それを「AD YELL」で解決できるとは思っていました。でも、事業を成り立たせるには、「お金を払ってでも解決したい」と思えるほどの深い困りごとなのかどうかが重要です。

僕らはよくペインをケガに例えて話します。
絆創膏を貼れば治るレベルなのか、集中治療室に入らないと命を落としてしまう程度のケガなのかというイメージです。誰の何を解決するんだというロジックを組むことと、本当に選ばれるサービスなのかは別問題だと考えていました。
痛みのレベルが大きくなければ選ばれないだろう。当時の僕らは「ここまで考え抜いたのだから」という自信と、「本当にトラクションが出るだろうか?」という狭間にいました。

結果的に、「これがなかったら事業成長が危ないよね」と思えるところにイシューをおきにいけたのが功を奏したのでしょう。テストマーケティングを含めたPoC期間に数社に利用していただいたところ、利用顧客からの紹介が立て続けにありました。β版ローンチ後の年末、トラクションが出た時点で資本金が2億円じゃ足りないことが見えていて、弊社はいきなり調達をしないと立替資金がなくなるところでした。「これはきたな」という肌感覚を覚えています。

プッシュ型で何かしらのセールスをしたり、広告やイベント出展など自分たちで案件を取りに行ったりしたのではなく、「AD YELL」を使ったお客様が、新たなお客様を呼んでくださる。そして、そのお客様がまた別のお客様を呼んできてくださる。この連なりが生まれたとき、「あ、これはPMFしたかも」と思えました。そこで、当初抱えていた怖さがなくなったんです。

そのため、追加調達をし、5月に正式ローンチに踏み切ったときには、気持ちの面ではだいぶ落ち着いていました。

覚悟を持って、マーケティング投資のアクセルを踏んだ。それが今の顧客基盤に繋がった

PoCの途中に8億円を増資し、正式ローンチ前の4月に追加増資、グループ内でのデッドファイナンスと、弊社はこれまで3回調達をしています。今は調達サイズ的にはシリーズBぐらいですが、イメージとしては非常に大きなシリーズAを終えたタイミングといった感じです。

調達した資金の使途は、先ほども述べた事業運転資金。広告宣伝費を立て替えますよというサービスですから、より多くのお客様にサービスを届けるには立替資金が必要です。

もう1つは、弊社自身の広告宣伝費、マーケティング投資。当時は、自分たちが分割・後払いをしたいくらいでしたね。

トラクションが出て、紹介が連なって、世の中にとってもいいサービスだと胸を張って言える。PMFをしたなと思えたタイミングで、僕らは怖がらずにマーケティング投資のアクセルを踏むことを決めました。

知ってもらわないことには人力開拓しかなく、パートナーセールスを頼もうにも、知らないものを売ってもらうのは厳しい。テレビCMに出稿しよう、タクシー広告もテストしてみようと、2022年の夏明けから年末にかけて、私たちなりの規模感ある予算を投じてチャレンジしていきました。界隈認知を広げるため、メディアへも投資。結果、ペインの解決度合いが大きいからという前提はありますが、間接的に多くの人に知っていただくきっかけづくりができました。

これは覚悟が全てだったなと思います。結果論ではありますが、あのときにマーケティング投資を抑えていたら、今のような顧客基盤は作れなかったでしょう。

顧客体験を突き詰めよう。でもUI/UXで数字を作れるとは思うなよ

僕が今年の頭に宣言したのは、「顧客体験(UX)を突き詰めよう」でした。累計取扱高100億円手前ごろの時期のことになります。

社内フローやルール、仕組み、サービス設計、お客様にサービスを届ける取り組み自体は一定作れていて、あとはやるだけなわけですが、そのポイントはUXだとずっと社内に言い続けていたんです。

今も発展途中ではあるんですが、当時は先にデリバリーを優先したので、ボタン1つとってみても、本当にイケてなくて。今期はマーケティング費用の次に大きな金額をUI/UXの開発に投資し、ページを刷新したり、ボタンを変えたり、マイページを改修したりしてきました。

「ペインをちゃんと解決できるサービス設計を突き詰める、それをちゃんとお客様へデリバリーすること」「顧客接点であるUI/UXにこだわること」。当たり前のことではあるんですが、この両方が重要なんですよね。前者を突き詰めてきたあと、後者に投資をしたことが、100億円を突破したあと、200億円に行き着くスピードが加速した1つの手立てだったのかなと思います。

ただ、矛盾する言い方ではあるのですが、「仕組みや戦略、UI/UXで数字を作れると思うなよ」といったことも忘れずにいようと心に誓っていました。今の弊社は、つらくても諦めずに、泥臭くやり切れた人が突破できるフェーズにいる。結局はやりきった人が勝つんです。

僕らは祖業がマーケティングなので、ストラテジーを書いてマーケティング戦略に落として、フルファネルでコミュニケーションをデザインして、いち手段として広告を出して……といったことがどちらかというと得意分野ですし、解像度も高いんです。

でも、仕組みや戦略は結局のところ机上の空論。それよりも熱量を持ち、実行する覚悟を持ってやり切れるかどうかのスタンスが1番なんじゃないか。僕が言わずとも、みんな結構そのあたりを理解していまして、それが実は良かったんだろうなと思います。

先ほども出した「覚悟」というワードは、すごくウェットで定性的で、再現性のない話ではあるんですが、スタートアップの立ち上げ期において、本当に重要度が高いものなんだと思っています。

まだ道半ば。成功している感覚はない

はじめにも申し上げたように、累計取扱高200億円到達はつま先だけが一歩前に出たぐらいの感覚なので、まったく成功している感覚はありません。ミッション・ビジョンからバックキャストして本気で取り組んでいるので、この先、累計取扱高が500億円を突破しても成功した感覚は得られないでしょう。500億円を突破したとしても、目指す世界がつくれているわけではありませんから。会社にとっては1つの節目ですが、成功からは程遠い。そんな感覚があります。

ただ、感慨深さはありますね。3人で会社を立ち上げた当時は、事業もない、サービスもない、ホームページもない、ロゴもない。提案書も当然ない。本当に何もかもがない状態から2年半、正式ローンチからは1年半ぐらいで流通額200億円を突破したこと自体に対しては、やはり単純に感慨深さがあります。

経営陣のなかでは、ずっと「絶対にうまくいったって思わないようにしよう」と言い続けてきたんです。紹介の連鎖が上手く連なり始めたときも、「一喜一憂しないようにしよう」と言い合ってきました。当初のことを振り返ると、やはりしみじみした想いにはなります。でも、くどいようですがやはり目指す世界観には全然届いていないので、ひとつの通過点だなという感じですね。

「石橋をたたき割るくらい叩こう」と、役員含めて言ってきました。「調子に乗らない」「奢るなよ」といったことはいろいろな方から言っていただけますし、その通りだと思っています。先行投資をかけられる体制を、余剰ができるほど作りたい。覚悟を持ち、奢らない。今後もそうやって歩んでいきたいです。

やっぱり「結局は人」に行き着く

今回、再び言語化してみたあと、100億円突破時のnoteを振り返ってみたら、まったく同じようなことを言っていたのですが、やはり結局は人が大事だと思っています。僕だけでできることは限られていて、1人じゃ本当に何もできない。中途社員のメンバーには「弊社を選んでくれて、ありがとう」と伝えたいですし、グループ内で異動してきてくれたメンバーにも感謝しています。

あとは、当然のことながらお客様。利用してくださるお客様がいなければ、事業は存続できません。ここまで歩んでこられたのは、メンバーとお客様がいてくれたからこそ。弊社に関わってくださる皆さんに「本当にありがとう」と伝えさせていただきたいです。新しく広告費ではなく在庫の仕入費を対象とした「STOCK YELL」もローンチしたバンカブル。これからも目指すビジョン実現まで、突っ走ってまいります。