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「経営者としての成長」について、自己成長に関心のない経営者が考えてみた

「経営者として、どうすれば成長できるのか」。そんな問いをもらったのを機に、あらためて成長について考えてみました。今回のnoteは、経営者×成長について考えてみたことを書いてみようと思います。

僕はそもそも「自己成長」に関心がない

そもそも、僕自身はどういうときに経営者としての成長を感じるのか。改めて考えてみて思ったのは、極端な言い方をすると、「実感したことってあんまりないな」でした。

自身の成長に意識が向かないタイプなんですよね。「自己成長意欲」なんてものは、初めて部下を持って組織の長を務めたのを機に、遠くにいってしまいました。僕が成長して3倍の成果を上げられるようになるより、優秀なメンバーたちがそれぞれ1.5倍の働き方ができたほうが成果が大きい。自己成長って重要じゃない。そう思うようになったので。

今、僕のなかにあるのは他者の成長や事業成長。ベクトルが自分の成長に向いていないから、たとえ成長できていたとしても認識することがないのかもしれません。

バンカブルをスタートさせてから、唯一あるとすれば、スキルや能力ではなく「自分はどういう経営者でありたいのか」の問いかけによる成長、でしょうか。

これは外圧あってのことです。「経営者としてどうありたいのか」「なぜ代表をやるのか、現場のほうがやりたいようにできるのではないか」「なぜこのグループで働き続けるのか」など、いろんな問いかけを受けるんですよ。だから、自然とその問いに向き合う時間が多いですし、どうありたいのか問い続けたいという思いは持っています。

「こういう経営者になりたい」に近付けることが成長だと捉えるならば、じゃあ僕はどういう経営者になりたいのか。

これは、まだ明確に見つけられていないんですよ。そもそも答えなんてない気がします。「あの人みたいな経営者になりたい」という思いもない。グループの経営陣や優秀な経営者の先輩、同世代の仲間など、話していて気付きを得られる人はたくさんいます。でも、彼らはロールモデルではないんです。

唯一あるのは、「我が子の世代に価値を残せる経営者でありたい」という想いです。ふだん口にしているわけではありませんが、「世のため人のため」という感覚を持って経営しています。その想いを叶える手段がバンカブルの代表という役割であり、その役割をまっとうすべく会社や事業の成長に熱狂しているのが今である。そんな自己理解をしています。

堕落していく経営者が陥る不健全な投資

反対に、「成長を阻害するもの」というか「経営者として良くないのでは」と考えているものという話になりますが、これはもう「酒」「車」「異性」だなと思いますね。

これらに不健全に投資してしまうと、経営者として堕落していってしまうというのが僕の考えです。ですので、そんな経営者を見るたび、「自分はああはならないようにしたい」と自戒の念を抱いています。

会社の役員や代表は、規模やフェーズ関係なく公人である。これが僕の認識です。「公人として、その言動はOKか?」と意識することは、公私のメンタリティを線引きする1つの方法でしょう。

社会課題の解決に繋がる事業をやっていることだけが素晴らしい経営なわけではありません。酒や車や異性に投資するお金がほしくて会社を作ったという人もいるでしょうし、事業売却によりお金を得たことで、個人的な欲に使いたくなるケースもあるでしょう。

ただ、個人的には、酒・車・異性への不健全な投資は、あるべき代表の形から逸脱していると思っています。どこで誰が自分を見ているか、本当にわからないものです。襟を正して適切な投資をしていきたいものですね。

経営者の糧になるのは「事業ドメイン外の経営者に会うこと」

私が経営者として自分の糧になると感じているのは、自分のやっている事業ドメイン外の経営者に会うことです。違う業種業態の方と話す機会が多い経営者ほど経営の質が上がっていくというのは、一ついえることだと思いますね。

私の経験で印象的だったうちの一つが、「小児科オンライン」というオンライン医療相談サービスを展開している株式会社Kids Publicの橋本代表にお会いしたときの会話です。

橋本さんは小児科医出身で、ご自身の実体験から感じた「負」から起業した、「湯気を持つほどの熱量を持つ」創業者なんですね。この「湯気を持つほどの熱量を持つ」というのは、弊グループの社外取締役の方が「経営者に必要なもの」として挙げているもので、個人的にも納得できる要素です。

そんな橋本さんは、同じような課題意識を持っている小児科医仲間を繋ぎ、サービスを拡大していった。今では小児科医の仕事を減らし、経営者としてビジネス拡大に熱を注いでいます。

こうした創業ストーリー、経営への想いは同じ業種からだと聞けない話です。湯気の出るほどの熱を浴びれることは、自分の糧になるものなんですよ。

では、どうすれば異なる業種業態の経営者に会えるのか。

私は事業特性上、さまざまな業種業態の会社代表に会える恵まれた環境にあります。それ以外でいうと、ミートアップや会合への参加ですね。弊社の場合はそういう場に同業種があまりいないので、積極的に出向くようにしています。

経営者は結局のところ自分次第。目の前のことに全力で向き合うのが殻を破る一手になる

経営者として一皮むけたい。殻を破りたい。階段を一段上がりたい。

そのための手段はたくさんあります。人と会うのもそうですし、本を読んでもいいでしょう。メンターに相談に行ってもいいし、セミナーに参加してもいい。

でも、重要なのは「答えはもらえない」と認識しておくこと。誰も答えを与えてはくれません。経営者は、結局のところ自分次第なんです。

とりあえず大切なのは、目の前のことに「これ以上ない」と思えるほど取り組むことでしょうね。モヤモヤ考えていても時間は過ぎゆくばかりで、明日は必ずくる。考え続けて動かないでいるより、まずは手を動かしたほうがいい。

「事業のためにできることは?」「お客様に対してやれることは?」

立ち返って考えてみましょう。絶対にあるはずです。そこに全力で取り組めば、結果的に殻を破れるんじゃないかと思います。

ベクトルを向けるのは自分の殻ではなく、顧客や提供すべきバリューや事業。自分自身・自己成長にばかり目を向けてばかりいるのは、時間がもったいない。これが僕の「経営者としての成長」への考えです。