見出し画像

電気は輸出入すればいい!?-自然エネルギー100%を可能にする画期的方法-

皆さんに、100%関わっているお話をします。
皆さんにとって、有益で、ハッとさせられるであろう新しいアイデアを提供します。

テーマはタイトルの通り、電気についてです。想像するに「使ってないぞ」という人は居ないのではないでしょうか?この記事を見るのに電気は必須なはずなんです笑。

当然ですが、私たちが毎日使うような膨大な電気は自然に沸いたのではありません。誰かが作っているわけです。この「電気の作り方」(発電方法)を巡って、日本では様々な議論があります。そして、その議論に参加しているか否かは別として、私たちの誰もが、その議論と無関係ではありません。「電気の作り方」の議論の結果に、私たちは大きく左右されるのです。だからこそ、今回の記事を皆さんに読んでいただきたいと思うのです。

難しくはありません。「皆さんの、そのスマホやタブレットやPCを動かしている電力の作り方、、変えませんか?」という身近で、単純で、しかし大きな話をしたいと思います。読むのにかかる5分充電の1%はきっと無駄になりません。

加えて、このお話には「環境問題」が関わります。
多くの日本人は「環境問題」について日本が各国から非難を浴びようとも、「化石賞」なる賞を受賞しようとも、地球温暖化に強い危機感を抱こうとも、何も現状を変えようとしませんでした。そこには「仕方ない」「手の打ちようがない」という諦めや絶望があるのだろうと思います。
しかし、この記事ではあなたの「絶望」を「希望」に変えます。
たった5分で、現状を打開できるかもしれないという「希望」があなたの元にやってくるのです。

1. 高まる自然エネルギー利用の必要性と可能性

画像1

写真︰東京電力(事故後の福島第一原子力発電所・4号機原子炉建屋)

2011年の福島第一原発事故以来、原子力発電が大きなリスクを持った発電方法であるということは、ほぼ全国民の共通認識となっています。思えば事故以前は「原発事故の確率は1000万年に1度」と言われてきました。しかし、実際にはチェルノブイリやスリーマイル、そして福島第一と、大規模な事故を繰り返し、多くの犠牲と損害を生んでいます。加えて、大規模な事故に繋がりかねなかった事案も東海村や美浜原発の例など、日本だけでも数えきれないくらい頻繁に起きているのです。こうした状況を鑑みて、それでも原子力発電を利用したいのであれば、それなりの規制や対策が必要です。「絶対に事故は起きない」という厳しい規制と対策なくして、それを「将来に責任あるエネルギー利用」と呼ぶことなど到底できないわけです。


一方で、それほどの規制のもと、対策を厳に行えば「コスト」がかかります。これまで原子力発電といえば「コストのかからない電力」の代名詞でした。しかし、厳しい規制のなかで対策を実施すれば莫大なコストがかかります。様々な意見が出ていますが、既に我が国の原子力発電コストは火力発電や一部の自然エネルギーを上回っている、あるいは今後まもなく上回るとも指摘されているのです。実際にコストの高さから原発の廃炉を決定する電力会社も近年は相次いでいます。また「どんなに厳しい規制や対策を行っても不測の事態は起こりうる」「核廃棄物の処理が難しいのではないか」などといった指摘も原子力発電には上がっています。いずれにしても、我が国のエネルギーの主体を今後、原子力に求めることは厳しいでしょう。

画像2

現在および2030年の太陽光発電コスト(自然エネルギー財団試算)

画像3

発電方法別のコスト(米国投資銀行Lazard試算)

近年、技術の進歩などにより、火力発電や風力発電、太陽光発電などの発電にかかるコストは低下傾向にあります。そのうち火力発電(特に石炭を利用したもの)については環境面でのデメリットが大変大きな発電方法でもあります。異論も様々あるわけですが、現状の様々な研究から科学的に判断すれば、火力発電による温室効果ガスの大量排出が地球温暖化に大きな影響を与えていることは間違いないでしょう。(それが地球温暖化の主因であるかは議論がありますが、少なくとも環境にとってマイナスにしか作用しないことはトランプ大統領でさえ同意いただけるはずです。)この地球温暖化が将来にもたらす問題の大きさは大変なものです。したがって火力発電の多用も「将来に責任あるエネルギー利用」とは言えないのです。


結論を言えば、私は自然エネルギーの利用こそ「将来に責任あるエネルギー利用」ではないかと考えています。

ええ、わかります わかります。少し詳しいみなさんの反論、罵詈雑言が聴こえてきます。あまりに簡単に言うものだから、グレタさんにも怒られそうです。

画像7

そうです。もちろん、自然エネルギー利用にもデメリットが存在します。だからこそ、今回はそのデメリットを解消し、日本のエネルギーの将来を明るく照らす、大胆な戦略を提案したいのです。



その前にまず、自然エネルギー利用のメリットを確認しておきたいと思います。

①環境に優しい。

②高度な技術を要し、のびしろも多く、新規の発電施設の建設も必要であるため、国内の雇用や産業や技術の発展を見通せる。

③発電する場所が細分化されるため、自然災害や人災などによる電力不足やブラックアウトのリスクが減る。

④海外の資源に頼らずにエネルギーを確保できる。等々…

様々ありますがもっとも注目すべきは4つ目です。日本のエネルギー自給率は10%に満たない数字です。石炭や天然ガス、原子力資源すら、海外からの輸入に依存しています。そしてその多くが中東からの輸入に依存するのです。これは我が国のエネルギー安全保障上の大変なリスクと言えます。一方で、自然エネルギーは海外の情勢にほとんど左右されません。

2. 自然エネルギー利用にあたって立ちはだかる壁

画像4

さて、風力や水力や太陽光といった自然エネルギーには、たったひとつ、めちゃめちゃ大きなデメリットがあります。

それは「電力を常に安定してGETすることができない」ということです。

こうした発電方法は天候や時間帯、季節などの影響を激しく受けます。天気が悪い日は太陽光での発電が難しく、晴れが長く続けば水力発電は難しくなります。中国やモンゴルやロシア、インドネシアやフィリピンでは自然エネルギーの利用が活発になっていますが、それは国土が広くて、国全体が同じ天候であることが少なかったり、地熱などの安定的な自然エネルギーが容易に利用できるからです。日本などの国土の狭い国では「列島の半分が全部くもり」なんてことが往々にしてあります。自然エネルギーではこういった環境に左右され、余るときは電気がめちゃめちゃ余り、不足するときは電気がめちゃめちゃ不足するなんてことが当然考えられるのです。余る分には良いわけですが、不足すれば停電です。(※実際はもう少し複雑です)それは避けなければなりません。「じゃあどんな天気でも不足しないくらい沢山、太陽光パネルや風車を設置すれば良いじゃないか」と言われても、日本の国土や沿海にそこまでのスペースがあるかは甚だ疑問です。

3. 電力を海外と融通し合えば良いのでは?

そこで、私はひとつの提案をしたいと思います。

「電線(送電線)をアジア各国と結び、電力を融通(輸出入)し合えるようにしてはどうか」という提案です。「アジア国際送電網プロジェクト」とでも命名しましょう。

自然エネルギーを利用するなかで、電力が不足したときは電力を他国から光の速さで輸入し、余ったときは不足気味の他国に光の速さで輸出する。そうして電力を各国で融通し合えば、自然エネルギーの不安定性の問題を一気に解決できます。



例えばモンゴルには太陽光や風力の高いポテンシャルがあり、今後の整備次第では中国と日本の電力需要の合計をはるかに上回る自然エネルギーを産み出せることが明らかになっています。中国の風力発電や、インドネシアやフィリピンの地熱発電など、他のアジア各国における自然エネルギーのポテンシャルの高さも広く認められており、電力をアジア各国で融通しあえる環境さえ整えれば、日本も含めた各国は気兼ねなく自然エネルギーへの転換を進め、これを自然エネルギー輸出や投資のビジネスチャンスとすることも可能になるのです。

「そんな夢物語、可能なの?」そんなみなさんの声が聞こえてきそうです。

4. これは夢物語ではない。現実に可能なプロジェクトである

一見、この「アジア国際送電網プロジェクト」は大変な夢物語です。しかし、それほど難しい訳ではありません。海底を通る長距離の送電を、ほとんど電力ロスなく行う技術はとうの昔に確立されていますし、なんといっても、同じことをヨーロッパはすでにやっているのです。

画像5

図︰欧州各国間の電力潮流状況(2015年)出典 ENTSO-e, Statistical Factsheet 2015より引用(凡例等の和訳は自然エネルギー財団による)

このようにヨーロッパでは各国間を多くの送電線や海底送電線が結び、電力のネットワークが張り巡らされています。これは電力の需給安定性を高め、自然エネルギーの普及に大きく貢献しています。



また、こうしたアジアにおける国際送電網のあり方については実は多くの民間や各国研究機関の研究が存在します。例えば、自然エネルギー財団は「アジア・スーパーグリッド計画」を発表し、アジアにおける国際送電網の可能性や具体策について研究しています。また、中国国家電網公司やソフトバンクなど、日中韓ロの電気事業者は「グローバル・エネルギー・インターコネクション計画」を発表するとともに研究を進めています。



このうち、自然エネルギー財団はアジア国際送電網研究会の報告書をまとめ、これまでに第三次報告書までがまとめられています。

この研究会では、アジア国際送電網に十分な採算性があること、具体的な海底送電線の配置とそのコスト、アジアにおける自然エネルギーのポテンシャル、懸念事項とその解決策 等々、様々な研究がこれまでなされてきました。どれも、このアジア国際送電網の試みが夢物語ではないことをリアリティーをもって示しています。

5. 導入に向けての課題

既に中国とモンゴル、モンゴルとロシア、ロシアと中国は送電網が存在します。中国と韓国の送電網導入計画も進んでいます。よって、アジア国際送電網の完成には日露間、日韓間、日中-台湾・東南アジア方面の送電網の整備が必要となります。これらは関係国がゴーサインを出せば技術上・国際法上いつでも可能です。



一方で、こういった技術分野・法規分野以外の面に、このアジア国際送電網実現の障壁が存在します。

まず第一に、国内にこうした国際送電網に関する議論がほとんどありません。天下の国会ですら議論されたことがほとんどないのです。このプロジェクトの実現には、まず国民や政府に広く認識される必要があります。



第二に、アジア各国がこの国際送電網について話し合い、調整し、運用する場がありません。どのような計画を実行するのか、ルールはどうするかを話し合う場は当然必要ですし、「今どの国でどれくらい電力が不足しそうで、どの国とどの国でどれくらい余りそうだから、どの国のどの送電線を通して電力を優通するか」などなど、運用する国家横断的な組織やシステムも必要です。



第三に、日本国内の送電事業者があまりに細分化されています。他のアジア各国では特定の国営企業が国内すべての送電事業を担っている場合が一般的ですが、日本は地域ごとに北海道電力や関西電力、東京電力など細かく分かれ、統合運用はなされていないのです。これでは、今どの送電線が利用できるか、今どこでどれくらい電力の過不足があるかといったリアルタイムでの情報共有や迅速な調整が各国と行えません。国内の発送電事業の分離や所有権の分離も進んでおらず、こうした国内体制面での不足は、アジア国際送電網プロジェクトにおける最大の障壁とも言えます。発送電事業の迅速な分離や、地域横断的に全国の発送電状況をリアルタイムに把握し各国との電力融通を行う国内機関や企業等の設置が求められます。

6. おわりに

画像6

100年、200年先の将来を見通すことは大変困難です。しかし、この人類文明の続く限り、電力の重要性は確実に増え続けるでしょう。一方で、我が国の既存のエネルギー戦略は大きな環境・防災・安全保障上のリスクを負っています。これらを転換し、新たな「将来に責任あるエネルギー戦略」を構築するには、この「アジア国際送電網プロジェクト」の実行は必要不可欠と言えるのです。それは決して夢物語ではありません。人々の認識と決断さえあれば実行可能なのです。そしてその先には、災害に強く、平和的で、将来の子どもたちに誇れる電力システムが完成するのです。

加えて、この政策は究極の環境対策でもあります。「火力発電をやめようって言われても、原発は動かせないし、自然エネルギーは論外だから仕方ないじゃないか。」という多くの日本人やアジア人の諦めや絶望を希望へと変えうるものです。

もちろん、これを実現したヨーロッパ各国でさえ、大変な苦労の上に実現しました。中には歴史的な軋轢と葛藤を抱える国同士で送電線を架けねばならない事もありました。しかし、国際送電網は外交政策でもあります。国際送電網の準備や建設やその後の運用を通じて、どうしても生じざるをえない相互依存・相互協力・相互連携の強化は、ヨーロッパをまとめる架け橋となり、今、地域の平和と繁栄を後押ししていることでしょう。アジアでもそれが実現できれば、なんと理想的でしょうか。これは実現不可能な夢ではないのです。

つづく


尚、「政治的に中国や韓国と対立したらどうするんだ」などなど、様々な疑問点があるかと思います。自然エネルギー財団のQ&Aが最も的確だと思うのでそちらに疑問点の回収はお任せしたいと思います。

https://www.renewable-ei.org/activities/qa/ASG.php

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?