苦痛を歌う天使になりたくて。#3
皆様、こんにちは。24歳女、カヤノです。
こちらは、2021年12月12日、北仙台ペニーレーンさんにて行われた「SENKAN NIGHT」というイベントに出演したお話の第三話です。
『苦痛を歌う天使になりたくて。#1』からお読みになるのをオススメします。
本日は、こってり醤油家系ラーメン(当社比)なかゃちワールド展開です。
ステージに立つ上で
様々な葛藤や孤独の寂しさなんかを抱えながらも時間というのは過ぎるもので、ライブ当日を迎えました。
バンドマンの頃からステージに立つ前に必ず心の中で唱えるのは「この中で今、私が誰よりも最強」という言葉。
私以外の方々が素晴らしいということも、私なんかより相当技術に優れていることも重々承知していても、ライトを浴びている間は「誰よりも強く、美しく、無敵だ」と思うことにしています。
そうでもしないと、足の先から背中にビリビリと伝わる震えを飼い慣らすことが出来なくなる気がするのです。
時には、本番直前までそう思い込めない時もありますが、私のことをじっと真剣に見つめてくれている皆さまの姿をステージから見下ろすとなんというか……、一国の女王とかになった気分になって、自分の情けなさみたいなのはどうでも良くなってくる。
今度は鞭とかでも持って……それは別の女王様か。
(仄かにセンシティブな発言)
リーダーだから
でも、アイドルをしていると……というか、リーダーとしてステージに上がると、そうもいかないものです。
私にはかけがえのない仲間がいて、私は私だけじゃなく、その仲間の素晴らしさもみんなに知ってもらいたい。
これは、グローティアリーダーの私の紛れもない心からの願い。
だから「誰よりも最強」では身勝手で自分ばっかりの人になってしまうのでは、と思って、私は心のどこかで1歩引いた存在になってステージにいる。
そうすると飼い慣らしたかった不安が顔を出してしまうのでした。
そんな気持ちでいるとメンバーが知ったら「そんなことされなくたって私たちは大丈夫なのに!」と言われてしまうかなあ、と実は少し心配しています。
それくらい、彼女たちは本当に出来る子たちです。
でもいいとか、悪いとかではなく……
私は好きで選んでそうしているし、それが今最もグループのために結果、なっていると思っているから私はまだ当分それをやめるつもりはない。
でも、ただそんな一歩引いた姿しかあの頃は見せることが出来なかったことも確かだったのです。
私にとっての「ぶちかます」
私の今回のライブの目標は「アイドルの時の自分とは違う姿を見せること」であるゆえに、先述したようなリーダーとしての立ち振る舞いをするつもりもありませんでした。
誰にも何も譲らないし、可愛くもなくて、愛嬌もない。
そこはかとなく暗くて悲しいのに、滲み出る強さに圧倒されてしまうような姿を届けたかった。
……元々、わたくし、本当に口が回るタイプでうっかりすると永遠に一人で喋ってしまうし、喋ったからにはどこかでオチがなければ、と強迫観念にも似た気持ちに襲われてしまう質。
沈黙が苦手なコミュ障です。
今やそれを逆手に取って「私の目が届く範囲にいる愛すべき人たちが笑ってくれれば、結果私もハッピーだ!」とかいう、私の身勝手な幸福を叶えるべく。
口を開けば残念とも言われてしまう形で笑顔を届けるアイドルをしている……のかも知れません。
本当に最近は、キャッチコピーである「口から生まれたかぐや姫」の名を恣にしていきたいと考えておりますよ。
応援している人が楽しそうに幸せそうに過ごしてくれることで感じる幸福。
大好きな人から与えられる励ましの言葉や、明るいメッセージの込められた音楽で湧いてくる勇気。
あの時の私がそうやって励まされたように、今度は私がその幸福や勇気を与える側で居られるのなら、この上なく有難い。
でも励ましの言葉だけで、過去の私の全てが救われた訳では無かったはずなのです。
私は、私の内に潜めた悲しみや苦しみも芸術として昇華した上で皆様に見て頂きたい。
なぜなら私は、そう言う芸術に触れたときの「みんな苦しんでいてよかった」という、可愛げに欠ける気持ちで昔、救われたから。
ただ笑顔になるだけでは心健やかになれない瞬間が、この世界には存在しているようです。
だからこの日はステージにおいて、私が吐き出す音や息、一つ一つの動きでポジティブな感情は表せなかった。
でも、私は心の中で唱えるのです。
「今の私は最強だ」と。
じめじめと湿った類の感情を、自信で飾り付けて皆さんに披露することが、苦痛を芸術にする方法だと思うのです。
私の見せれる表現は、アイドルの時の「さあ!盛り上がってこう!」だけじゃ無いことを示してみたかった。
私はみんなに、ただ単に私の前で笑顔でいて欲しいんじゃない。
私という存在が、みんなにとって悲しいことも辛いことも打ち明けられる友人のような相手になりたいのです。
結果、その日のステージでそれが上手くできていたのかは、みんなに感想を聞いた訳でもないしはっきりとは分かりません。
でも、こういう思いで歌を歌っていく中で私が誰かの救いになれる日が来たらいいなと、切に願うのです。
そんな思いを込めつつ、吹っ切れて立ったステージは「ぶちかます」ことができたものだったのかな、と今回は自分を褒めてあげることにしました。
さてそんな中、ライブ終わりに初対面の方から言われた『褒め言葉』で私はまたもや考えさせられてしまうのでした。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
次回は「『アイドルなのに歌上手いんだね』」をお送りします。
更新予定日は、2021/2/6(日)です。
かしこ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?