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【あお】プリシッチ、示した存在価値。覚醒した”鉄人”背番号10

日本時間2月23日早朝5時に開催された21/22UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメントラウンド16、チェルシー対リール1stレグ。連戦の中、離脱者が続出するチェルシーを救ったのは、覚醒しつつある背番号10だった。

試合開始から果敢にプレスをかけてくるアウェイチームのリール。開始10分ほどまでは設定したマークに遅れることが多く、好き放題に前プレをかわしチャンスを作り続けたチェルシーだったが、それ以降は激しいプレスとレナト・サンチェスを中心としたサイド突破に押され続けた。

自分たちの時間帯でハヴァーツがしっかりと先制ゴールを決めたことで先手を打つことはできたが、ビルドアップでは厳しいプレスで2列目にボールを送ることができない。

リールは4-2-3-1のCBを除く全員で半ば特攻とも言える前プレを仕掛け続けていたので、2列目までボールを運んで前を向ければ大チャンスになる。

その大きな役割を担ったのは、(本当のことを言えば全員だが)3-4-3の左ウイングに入ったプリシッチだった。

相手を背負った状態でボールを受けることが多かったボランチや両サイドハーフに顔を出し、相手ボランチを撹乱し続ける。リールのダブルボランチに入ったアンドレとシェカは前半通して上下動と高インテンシティの維持を強いられた。

前半終了段階でプリシッチの走行距離はチームトップ。対するリールのチームトップ走行距離を記録したのはマッチアップが多かったアンドレだった。

開始直後こそ再びボールを持ち出したチェルシーだが、段々とまた押し込まれる展開が続き、次第に硬直してくる。さらにコバチッチとシィエシュが負傷交代と、満身創痍の様相に。

救ったのはプリシッチだった。ロングカウンターで抜け出した”鉄人”カンテの独走に並走し、追走するシェカを振り切りフィニッシュ。試合を決める点を奪った。

80分で交代するまで試合通してハードワークとほとんどミスのないドリブルで相手を苦しめた。何より驚かされたのはその体力だ。チーム1の距離を走り回り、激しいプレスをドリブルで掻い潜り、チームを困らせ続けた厄介なレナト・サンチェスのサイド突破を食い止める場面もあった。

その後に約50メートルを爆走し、シュートを流し込む。線が細くプレミアリーグのフィジカルに苦しめられたアメリカ人の青年の姿はどこにもなかった。

試合から中3日、カラバオ杯決勝リヴァプール戦を控えるチェルシー。
クラブW杯などで過密日程を戦い、離脱者も相次ぐチームを救うのは、覚醒した背番号10だ。

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