見出し画像

なぜ東京で熱中症の検索割合が高いのか

こんにちは!
今年の夏は記録的な猛暑が続き、外出するとすぐに汗ばむ日々が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

暑い日には人々は何を求めるのか。
今回は、LINEヤフーのデータと気象データを組み合わせて、気温上昇と行動パターンがどのようにリンクするのかを見ていきたいと思います。

かき氷の東京、水遊びの京都

まずは、夏季の検索データと気温データ(気象庁)を用いて、暑い日の人々の関心事を大まかに把握してみましょう。分析の期間は、2020年から2024年の5年間の中で、夏季に該当する7月から9月の休日(週末、祝日、お盆)を対象にしています。

日毎の検索ユーザ数と気温推移との相関係数を計算し、気温が高くなった時に、どのような関心が高まるかを探ります。以下は、東京での検索キーワードの中で相関係数が特に高い上位10件です。
(気温推移は、気象庁 過去の気象データを活用)

かき氷」関連の検索が多く、その地域でどのお店が提供しているかに関心が集まっていることが窺えます。また、夏バテあせもといった季節特有の症状や、エアコンのトラブルに関する問題も見られます。

この傾向が東京特有であるのか、それとも全国的なのか、他の都市でも同様の分析を行い比較してみましょう。
次に示すのは、東京に加え、札幌京都福岡でも相関係数の算出を行い、相関係数上位100件の検索キーワードをカテゴリ分けしたものです。地域間の比較をする際に、相関係数では難しいため、カテゴリごとの各都市のユーザー割合を計算したものです。

どうやら、かき氷に関する検索が多いのは東京だけの特徴のようです。各都市間で異なる傾向が見られ、それぞれの地域の気候や文化が反映されていることが伺えます。

東京

  • 熱中症をはじめ、他都市に比べて症状に関する検索が多く見られます。

  • かき氷の検索が非常に多い一方で、夏野菜や麺類の検索は比較的少ないことから、東京の夏の食文化が他都市と異なることが示唆されます。

札幌

  • エアコンの故障や気象情報への関心が高いことから、夏の暑さに慣れていない様子が見て取れます。札幌は夏でも比較的涼しい日が多いため、急な高温に対応が遅れてしまうケースがあるかもしれません。

京都

  • 水辺のレジャー(プールや海・湖)への関心が高く、暑さを涼しく感じられる場所での過ごし方が好まれているようです。

  • 汗や夏バテに関する検索が少ないことから、京都では比較的暑さに慣れていると考えられます。伝統的な生活様式や建築が暑さへの対処を助けているかもしれません。

福岡

  • 山や川などの自然の中でのレジャーが人気であり、夏野菜に関する検索も多いことから、自然とのつながりを大切にする生活が見て取れます。

  • 日焼けへの関心が高いことから、屋外で活動する機会が多い一方で、そのリスク管理にも気を遣っていることが伺えます。福岡では日照時間が長いため、屋外活動と日焼け対策が重要視されるのでしょう。

いくつかの都市について大まかに見てきましたが、それぞれの地域特性が見え、様々な仮説が想像できて面白いですね。

旅行中に熱中症の症状が出やすい

もう少し深掘りしてみましょう。
他の都市と比較すると、東京は熱中症やかき氷といったユーザ割合が特に多いことがわかりました。これは何に起因するのでしょうか。

今度は、DS.INSIGHT Placeのデータを基に、どのような特性があるか見ていきます。
先に出した気温と相関係数が高い上位100件を検索したユーザに対して、どこから来訪しているか人数割合を表したものを次に示します。

東京では、他都市と比べ都外からの来訪者が多くなっています。ここに熱中症やかき氷のユーザ割合が高いヒントがありそうです。

さらに、対象ユーザ(気温と相関係数が高い上位100件を検索したユーザ)のうち、都民以外の来訪者がどこに訪れているかをPlaceのデータを使って見てみると、メイキング・オブ・ハリー・ポッターや葛西臨海水族園といった中心から少し外れた施設に特徴的に訪れていることが分かり、行動範囲が広めであることが伺えます。

これらのことから、旅行目的で訪れたユーザが、東京を満喫しようと普段よりアクティブに行動することによって、熱中症などの症状が普段以上に現れやすくなったり、かき氷を求めているということが言えるのではないでしょうか

おわりに

今回は、気象データと検索・位置情報データを掛け合わせた分析を行いました。このアプローチにより、暑くなった時の地域ごとの特性や行動パターンが明らかになりました。

このように、様々なデータをLINEヤフーのデータと掛け合わせることで、通常では見えにくい興味や深い示唆を引き出すことが可能です。例えば以下のような応用が考えられます。

・自社の売上推移と検索ユーザ数のデータを組み合わせて、売上に影響を与える要因を分析する。
・顧客の居住地分布とDS.INSIGHT Placeのデータを組み合わせて、より精密なユーザ像を推定する。
・ユーザが抱える悩み傾向と知恵袋の閲覧データを組み合わせ、ユーザの悩みをさらに深く理解する。

ただし、データの掛け合わせる場合は注意も必要です。
例えば、今回は気温に焦点を当てて分析を進めましたが、気温が高いと天気も良い可能性が高く、人々が外出しやすいという流れも十分に考えられます。つまり、気温ではなく天候が裏側に潜む要因になっていたと言えたかもしれません。
様々な要因を考慮し、多角的にデータを解析することで、より根本的なインサイトを得ることができますデータの組み合わせ方や分析のアプローチに工夫を凝らし、新たな発見を目指してみてください

熱中症含め、夏季の症状は旅行中のみならず普段の生活でも十分注意する必要があります。
まだまだ暑い日々は続きますが、どうぞお身体にお気をつけてお過ごしください。

※今回公開したデータを含め、ヤフー・データソリューションは、お客さまのデータを統計データとしたうえでデータの可視化や分析結果をご提供するサービスであり、個人を識別できるデータ(パーソナルデータ)については、お客さまから新たに同意をいただかない限り外部に提供することはありません。

※本記事の内容は公開日時点の情報です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?