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「○○ハラスメント」を調べてみたら、時代の変遷まで見えてきた話

こんにちは、データアナリストの小川知紘です。
「○○ハラスメント」という言葉をよく聞くようになりましたね。「ハラスメント」と付く言葉が多すぎて、全て把握できない!と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

新しい言葉が次々と出ている印象がありますが、実際はどうなのでしょうか。
今回はYahoo! JAPANの検索データを用いて、ハラスメントの検索変遷を見てみました。想像以上に年や時代背景が反映される興味深い結果が得られたのでご紹介します。


2023年のハラスメント関連検索は2014年の3倍以上に!

こちらは2014年と比較した「○○ハラスメント(とは)」の検索人数割合の推移です。

これを見ると、2023年は2014年と比べて3倍以上の検索数があり、2024年もまだ5月末にもかかわらず、2023年と近い水準を維持しています。※2015年はドラマ「エイジハラスメント」の影響で検索量が急増しています。

やはりハラスメントへの関心は年々高まっているようです。

年ごとにどんな「○○ハラスメント」がある?

では、各年で「○○ハラスメント」というキーワードにどのような変化があったのでしょうか?

今回は「○○ハラスメント(とは)」「○○ハラ(とは)」を集計対象とし、各年の上位10キーワードを抽出しました。ここからは、その登場頻度ごとに詳しく見ていきたいと思います。

ほとんどの年で共通する「ハラスメント」キーワード

※数字は順位、「○○ハラスメント」「○○ハラ」が両方存在する場合は上位を記載

モラハラ(モラルハラスメント):道徳や倫理に反した嫌がらせ
パワハラ(パワーハラスメント):優位性や立場を利用した嫌がらせ
セクハラ(セクシュアルハラスメント):性的な嫌がらせ
アカハラ(アカデミックハラスメント):大学などの教育機関における優位性や立場を利用した嫌がらせ
スメハラ(スメルハラスメント):体臭や香水の匂いなどが他人に不快感を与えること

このあたりのキーワードは、皆さんもどれかは耳にしたことがあるのではないでしょうか。個人的には、アカハラやスメハラがここまで長く多く検索されていることに驚きました。

数年間検索された「ハラスメント」キーワード

※数字は順位、「○○ハラスメント」「○○ハラ」が両方存在する場合は上位を記載

マタハラ(マタニティハラスメント):妊娠中や出産後の女性が職場で受ける不当な扱い
パタハラ(パタニティハラスメント):育児参加する父親が職場で受ける不当な扱い

2017年までは女性が職場で受ける不当な取扱いや嫌がらせが上位にあったものの、その後は男性への同様の問題も顕在化していることがわかります。こうした問題が徐々に社会的に認知され、解決へ向かう動きが進んでいるのが見て取れます。
一方で、「産休クッキー(産休前に挨拶のために配るクッキーも配慮が必要)」がSNSで話題になっているように、今度は反対に指摘を受ける側に変わる可能性もあったりと、社会の流れとハラスメントワードが対応している印象を持ちました。

※数字は順位、「○○ハラスメント」「○○ハラ」が両方存在する場合は上位を記載

カスハラ(カスタマーハラスメント):顧客による過度な要求や嫌がらせ

また、カスハラ(カスタマーハラスメント)は2018年から急上昇し、2024年ではモラハラに次いで2位になっていました。直近でも対策が多く出てきているカスハラですが、今後数年は話題の中心となるかもしれません。

特定の年のみ見られた「ハラスメント」キーワード

では、どこか特定の年でしか上位に入らなかったキーワードを見てみましょう。皆さんはどの程度ご存じでしょうか?

※()内は順位、短縮形が存在する場合は上位を記載

家事ハラ(家事ハラスメント):家事に関するダメ出しなど相手を不快にさせる行為
オワハラ(就活終われハラスメント):就職活動において、企業が学生に内定を辞退させるよう圧力をかける行為
ヌーハラ(ヌードルハラスメント):麺類を音を立てて食べる行為に対する嫌悪
時短ハラスメント:労働時間短縮を強制する行為
キメハラ(鬼滅の刃ハラスメント):『鬼滅の刃』の話題を押し付けてくる行為
ワクハラ(ワクチンハラスメント):コロナウイルスのワクチン接種に関する圧力や強制
マルハラ(マルハラスメント):メッセージで文末が「。」で終わることによる威圧感
大谷ハラスメント:大谷翔平に関する過度な話題への嫌悪感

2016年のヌーハラあたりから、不快な行為にはとりあえずハラスメントを付ける傾向が見られ、この傾向が2020年のキメハラあたりから強まっているようです。流行語にかけ合わせるだけで新たなハラスメントワードは生みだせるとも言えるでしょう。

終わりに

個人的にはここ数年でハラスメントの種類が急増した印象があったため見てみましたが、意外と毎年の特徴を表すハラスメントワードが見られました。また、時代の移り変わりや、ハラスメントの意味合いの変化なども見えてきました。

余談になりますが、2024年の上位30キーワードから2023年と比較して検索人数が伸びていたものを見てみたところ、「ハラスメントハラスメント」というキーワードが出てきていました。

ハラスメントハラスメント(ハラハラ)
「ハラスメント」だと過剰に主張する嫌がらせ

私は初めて耳にしたのですが、なんでもハラスメントと見做される風潮に対する嫌気が反映されているとも言えそうです。この記事を数年後に見返すと笑い話になる日も近いのかもしれません。

ハラスメントの世界は、その時代の一面を切り取る面白い鏡とも言えるのかもしれませんね。

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