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HSPの人は外出自粛を守りやすい?考え方の違いを他人に分かりやすく伝えたい

こんにちは、データアナリストの小川知紘です。

皆さんは他人との考え方の違いに悩むことはありますか?

家族や友人、仕事関係などどんなシーンにおいても、相手との考え方の違いを知ることが重要なのは間違いありません。
しかし実際には、そもそもの考え方が違うことを理解し合うのは非常に難しいことだと感じています。

そこで、人の考え方の特徴を具体的にイメージ出来れば、理解が深まるきっかけになるのではないかと考え、ヤフーのデータを使って試してみることにしました。


HSPとは

今回は、メディアで特集されたり公表する芸能人も出てきたりと、話題になることも多い「HSP(Highly Sensitive Person)」をテーマに考えていきます。

HSP:これらで特徴づけられる感覚処理感受性が極めて高い人たちのこと
認知的処理の深さ(grater depth of information processing)
刺激に対する圧倒されやすさ(greater ease of overstimulation)
情動的な反応性や共感性の高まりやすさ(increased emotional reactivity and empathy)
ささいな刺激に対する気づきやすさ(greater awareness of environmental subtleties)

出典:「ハイリー・センシティブ・パーソン」『ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典』2021年10月20日 (水) 08:31 UTC


これらの特徴を踏まえた上で、
HSP関連ワード検索者(以下:HSP関心者)の行動を深堀することで、特徴をよりイメージ出来る形で伝えられないか試してみたいと思います。

HSP検索者の特徴キーワード

まずは、HSP関心者が特徴的に検索している検索キーワードを見てみます。

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キーワードを見てみると、「大きい音が苦手」「おこられるのが怖い」「人が怖い」といった検索が見られます。これは刺激を受けやすく、人の感情変化にも気付きやすい特徴から来ているのかもしれません。
また想像にはなりますが、その結果として「優しすぎる人」になってしまったり、「人といると疲れる」「生きづらい」という悩みの検索に繋がっているようにも想像されます。
加えて深く考えることが得意なため、周囲の人が気付かない小さなことによく気が付くことから「完璧主義」かもしれないと考え、検索しているのかもしれません。

HSP関心者の特徴を深堀することで、HSPの特徴をより具体的にイメージできる可能性は見えてきました。
一方で、特徴による強みについては特徴キーワードからは見えづらかったため、別の観点からも特徴を見ていきたいと思います。

「面接」検索から見る特徴

考え方の特徴が見えやすいよう、具体的に1つのシーンに絞って特徴を見ていきます。

例えば皆さんは、面接を受ける前後では何を気にするでしょうか。

次のグラフは、「面接」を含む検索キーワードにおける、HSP関心者に特徴的なキーワード数の割合を表しています。

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恐らく、HSP関心者以外の方も面接前後では色々と気になって検索すると思います。しかしその何倍も、HSP関心者にとっては気になる内容があるということがこのグラフからは見て取れます。

実際にHSP関心者が特徴的に検索していたキーワードがこちらです。文字の大きさは検索者数の多さを表しています。

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具体的なキーワードを見ると、
服装、逆質問、お礼メール、何分前に行くか、リモート面接の注意点
など、面接に関して様々な観点から検索がされていることが分かります。

面接というシーン1つ取っても、HSP関心者にとっては気になるポイントが多く出てくるとイメージいただけるのではないでしょうか。

「コロナウイルス」関連行動から見る特徴

次に、コロナウイルス関連のキーワードでも同様に見ていきます。

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コロナ関連は世間全般で関心が高いためか、HSP関心者ならではのキーワード数はそこまで多くありませんでした。
しかしキーワードの中身を見てみると、コロナウイルスに感染したかもしれないという危機感や、電車、温泉など具体的なシーンでの感染リスクへの危機意識が強く見られます。

また別の視点からもコロナウイルス関連で比較をしてみます。

次の折れ線グラフは、2020年2月から2021年9月までの週平均移動距離をHSP関心者と関心者以外で比べたものです。
棒グラフは日本のコロナウイルスの新規陽性者数推移になります。

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これを見ると、1回目の緊急事態宣言中は特にHSP関心者の外出が減っていたことが分かります。この傾向は2回目の緊急事態宣言まで続いています。
3回目になると慣れてきたためか大きな違いはありませんが、陽性者数が大きく伸びたタイミングで再び減少している様子が見られます。

これらのことから、HSP関心者は危機意識を強く持つことができるという特徴があると言えそうです。

コロナウイルスの場合は気を付ければかからないというものではないため難しいですが、結果的に後悔や失敗が他の人と比べて少なくなるのではないでしょうか。

「心理」検索から見る特徴

もう1つHSP関心者に大きな特徴が見えたものをご紹介します。

こちらは「心理」を含む検索キーワードになります。

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グラフやキーワードから、HSP関心者は行動の背景にある心理への関心が強いことが見て取れます。

HSPの特徴とされている共感性の高さは、このような目に見える部分だけでなく内面にまで目を向けることができる強みとも関係しているのかもしれません。

人の内面にまで目を向けられる強みは、日常生活はもちろんのこと、仕事でも大きな強みがあるように感じます。

例えば仕事を含むキーワードを見てみると、「人のためになる仕事」「カウンセラー」「子供に関わる仕事」など、相手個人とコミュニケーションをとる仕事が特徴的に出ていました。
これらの仕事は相手と向き合うことが求められる職業なため、強みが活かしやすい職業とも言えるのではないでしょうか。

今後HSPのように伸びてくるかもしれない症状

最後に余談ですが、HSP関心者の特徴キーワードの中で気になったものを2つご紹介します。

皆さんは「apd」「ミソフォニア」という言葉をご存知でしょうか?

・apd(聴覚情報処理障害)
聴力は正常だが、ある場面では聞き取りにくく理解できなくなってしまう症状

・ミソフォニア
他人の咀嚼音やタイピング音など、特定の音に対して「過剰」に敏感に反応し、嫌悪感を覚える症状

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どちらのキーワードもボリューム自体はまだ少ないですが、徐々に検索数は伸びてきています。HSPのように今後認知が広がっていく症状かもしれません。

最後に

今回はHSPをテーマに、HSP関連ワード検索者の特徴をデータから見てきました。
具体的な検索や行動まで見えることで、より考え方の特徴を分かりやすくイメージ出来るようになるのではないでしょうか。

一人一人が生きやすい世の中になるためには、いかにお互いの特徴を理解して活かし合えるかが求められると考えています。

他人との特徴の違いを理解することに少しでもデータで貢献できることがあれば嬉しいです。

筆者プロフィール
小川 知紘(おがわ ともひろ)
2018年よりヤフー・データソリューションの立ち上げに従事。
現在はDS.ANALYSIS(オーダーメイドの課題解決サービス)にて、クライアントに対する分析企画・アナリスト業務を担当。
副業として、幼児教室の先生 と 事業会社でのデータ分析 を行う。
データ分析が身近に感じられるネタでnoteを投稿中。

twitterもやっています。ご連絡はこちらまで→@tomohogawa
他note記事→アナリストの分析日誌

※今回公開したデータを含め、ヤフー・データソリューションは、お客さまのデータを統計データとしたうえでデータの可視化や分析結果をご提供するサービスであり、個人を識別できるデータ (パーソナルデータ) については、お客さまから新たに同意をいただかない限り外部に提供することはありません

画像:アフロ

※本記事の内容は公開日時点の情報です。

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